文明の利器を手に入れる。ドイツで電子レンジ、ゲットだぜ。

 先日、日本人の方に電子レンジをお譲りいただきました。今の家に来て、既にいろいろな家具は揃っていたものの、自炊をするにあたり、重要なものがありませんでした。そう、電子レンジです。日本にいると存在が当たり前すぎて、電子レンジがない生活は想像できません。いざ電子レンジがない生活を3ヶ月送ってみたところ、かなり不便であるということが再認識されました。
 どうにかして電子レンジを手に入れようと考えました。1番簡単な方法は、家電量販店やアマゾンなどのネットショッピングで買ってしまうことです。調べてみると、安いモデルでもそれなりの値段をするようです。そこで、他の家具や家電を前の住人から引き継いだように、電子レンジも誰かに譲ってもらえばいいんじゃないかと思いつきました。けれども、譲ってもらうと言ったところで、そのあてはあるのでしょうか。日本ではフリーマーケットや、最近ではジモティといったサービスもあります。この慣れない異国の地で、同じようなサービスがあるかどうか不明です。
 とりあえずネットで調べてみると、ドイツ在住日本人向けの掲示板 https://kaigai-bbs.com/deu/thread/sell/ を見つけました。一つはドイツ全土が対象になっており、各都市を選んでお譲り情報を検索できます。もう一つは、シュツットガルトに限定した掲示板 https://sttgrt.bbs.fc2.com/。地域限定なので、より具体的な話が上がってきている印象です。今回は後者を使うことにしました。
 特に目玉なのは、日本へ帰国される方が開催しているムービングセールです。帰国の日時が迫っている場合、安くてもいいから貰い手がいれば譲りたいはずです。運良く開催中のムービングセールを見つけることができました。出品されているもののリストを見てみると、ありました、電子レンジです。しかも25ユーロとかなり格安です。とにかく、あまり後先考えずに出品者の方に連絡することにしました。運良くその電子レンジにはまだ貰い手が付いていないようでした。配送は使えないとのことで、自ら取りに行くしかないようです。お相手の住所を調べてみると、どうやら我が家からバスと市鉄を乗り継いで1時間半ほどの距離のようです。これなら何とかなりそうです。
 受け渡し当日の朝、自宅の最寄りのバス停からX82系統の長距離バスに乗り込みます。長距離バスといっても、数時間運行するようなものではなく、テュービンゲンとシュツットガルト郊外を結ぶようなものです。通勤や通学に利用しているであろうサラリーマンや学生らしき姿が目立ちます。1時間ほどバスに乗り、Leinfelden 駅前で下車。そこからシュツットガルトUバーンのU5系統に乗り、Degerloch 駅へ向かいます。駅から徒歩数分、お相手のご自宅に無事にたどり着くことができました。
 アパートの前には、日本人の優しそうなご夫婦がいらっしゃいました。かれこれ6年もシュツットガルトに住んでいるとのことです。それだけ在住していると、やはり物も次第に増えていくそうで、奥さんが頑張ってリストを作り、僕のような方にせっせと譲渡されていたようです。2日後に日本に帰国するとのことで、僕が最後の貰い手でした。玄関前で現金25ユーロを支払い、電子レンジを受け取ります。事前にレンジの規格をお伝えいただいていたのですが、元々なんと約200ユーロほどする物で、オーブン機能も付いている立派な電子レンジでした。こんなに安くお譲りいただいていいのかと申し訳ない気持ちがありましたが、受取手が見つかり安心したとおっしゃられていました。運搬用に大きめのリュックサックを持参していたのですが、どう見ても中には入らなそうです。持ち上げてみるとそこそこ重量はありますが、両手で抱えて何とか持ち帰れそうです。ご夫婦にご挨拶をし、帰路につきます。
 幸い、体力には自信があります。意気揚々と電子レンジを手にし、来た道を戻ります。ドイツに来てから日本では見たことないタイプの人をちらほら見かけていますが、電子レンジを小脇に抱えて歩いている人は見たことがありません。帰りの電車やバス内では、隣の座席にどっしりと電子レンジを置いている僕を見て変わったやつだと思ったのか、チラチラと訝しげな目で見られました。電子レンジを手に入れられたのですから、このくらいの視線はへっちゃらです。椅子に座らせた電子レンジが床に落っこちないように、終始大事に支えてあげていました。最寄りのバス停から自宅までが、1番の難関でした。この日は天気が良かったので、15度ほどはあろう坂道を、汗まみれになりながら登ります。自宅に着いたときには両腕が悲鳴を上げていました。車の免許を持っていないのですが、次に帰国する際にはなんとしても免許を取り、ドイツでも運転ができるようにしたいと思った所存です。

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