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本の紹介『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ【下】』

上巻は交易商人、布教師、冒険家の物語でしたが、本書(下巻)は戦士の物語から始まります。

戦士といったら響きは良いですが、実際には帝国、征服者の歴史です。著者が主張するグローバリゼーションの歴史は古く、その中で帝国が担ってきた役割は多岐にわたります。

民族、言語、宗教、物資、食料、動植物、知識や技術にいたるまでの様々な文化、もはや文明と言っていいのかもしれませんが、帝国により各地へもたらされました。

その他の章は奴隷、細菌、環境問題、世界各地で広がる格差などグローバリゼーションの負の側面を採り上げています。

グローバリゼーションは人類の繁栄に必要として現れたものの、決して万人に恩恵を与えるものでなく、時代に応じて激しい格差、不平等をもたらしました。

しかし、歴史をどこで切り取るかにもよりますが、今を切り取るならば、農業・教育・医療・政治・経済の発展により、生活水準は向上し、平均寿命も延びています。グローバリゼーションという大きな流れを抜きにしては語れないでしょう。

著者はグローバリゼーションを「自らの利益を求めるアクター(推進者)によって推し進められる一つのプロセス」であり、止められないものとした上で、「われわれはみな結ばれている」と大切な視座を与えてくれます。

■読了後の感想


なんとなくグローバリゼーションという言葉に興味があり古本で手に入れた本でしたが、たまたま今の世界情勢とも合致する内容で有意義なものとなりました。

トランプ現象、ブレグジット(イギリスEU離脱)、そして新型コロナのパンデミックなど、世界を揺るがす出来事が起きた理由をグローバリゼーションを介して理解の一助とすることができました。

出来事のそれぞれを深く理解するにはもちろん専門に採りあげている書には敵いませんが、今、世界で起きていることを包括的に理解するためには上下併せて優れた書であると思います。

最後に、上巻を紹介した際謎のクイズを出していました。「なぜiPhoneをトップ画にしたか」なんてどうでも良いものでした。今回もApple製品とスタバのコラボの素敵な写真をお借りしましたが、答えは「Appleもスタバも今やグローバリゼーションを代表する企業だから」です。

意図せずとも僕たちもグローバリゼーションのアクター(推進者)なんですね。


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