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本の紹介『人生を面白くする本物の教養』

 無知・無教養な僕は目下、教養について研究中(勉強するのは嫌いで、「研究」の響きの方がカッコ良いから、笑)ですが、教養と一口に言っても難しいですね。ということで、一般向けに書かれていそうな本書を読んでみました。

 著者はビジネス誌などの記事で散見されるライフネット生命CEOの出口治明氏です。

■内容

 
 さて、本書は出口氏の人生を通して教養がいかなるもので、どうすれば身につけられるのか説かれています。本書執筆の大きな理由に、出口氏から見た日本人、特に経営者や管理職の教養の弱さに対する危機感が読み取れます。

 教養が失われていった背景に、2つの要因が挙げられています。1つは戦後の復興において、アメリカという国を手本にしたこと。2つめは、戦後の経済成長を支えた企業の労働慣行(青田買い、終身雇用、年功序列、定年制)です。これら2つの相乗効果が考える力を奪い、企業にとって都合の良い没個性集団を生みました。

 著書がそれを顕著に感じたのがグローバル経験でした。国外に出た時、他国のビジネスマンとの比較、他国の教育の比較により日本の教養不足を痛感されたのです。

 そんな著者にとっての教養は、「人生を面白くするツール」。具体的には、知識を素材に自分の頭で考える力ということがわかります。その上で物事をタテ(時間=歴史)とヨコ(空間=世界)で考えることがコツとして挙げられています。

 著者が教養を培ってきたと考えられる方法には、読書をする、人に会う、旅をするの3点紹介されています。本50%、人25%、旅25%の配分で、それらに共通して中心にあるのは「人」ということがわかります。

 そして、教養を身につける目的は、より良い社会と、より良い人生の実現と締めくくられています。 

■読了後の感想


 内容の冒頭で「出口氏の人生を通して」を太字で強調したように、著者の教養観や教養を身につける方法などは主観的に描かれています。そのため、育ってきた時代や環境が違うので、そっくりそのまま応用できるわけではありませんが「思考や価値観の押し付けは嫌い」とあるので、その上で要所を参考にすると良さそうです。

 ただ、僕のような庶民には著者のエリート街道まっしぐらなところは共感しづらい部分もありました。でも、海外を練り歩いたり、美術館巡りしたり、そういったことで育まれる教養のプロセスは単純に憧れます。先日、上野で開催されたゴッホ展の長蛇の列に諦めることを余儀なくされた自分なんかには特に…

 教養を身につけるために「こうしたら良いと思うよ」と具体的に提示してくれたり、教養のために時事問題に関心を持つことも大切だと言ってくれているのは、現実的な教養を身につける上で参考になる一冊でした。

 万人受けするかどうかはわかりませんが、少なくとも一般的なビジネスピープルや、僕のようにこれから教養を身につけたいと考えている方には一読の価値があると思います。

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