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映画感想「エターナルズ」

※ この記事は、若干のネタバレを含みます。

オミクロン株がどうなることやら。三密の可能性が高いイベントは、ふたたびなんとなく危ういような雰囲気も出てきたので、また映画がいきなり観られなくなってしまう前に、話題の作品「エターナルズ」を豊田市駅前のkitaraにて観てきました。とはいえ映画館はクラスターが出ていないですし、感染対策をしたこの映画館や美術館や博物館、観光施設や宿泊施設についてはこのまま続けていてもらいたいものです。

「エターナルズ」は「スパイダーマン」や「アイアンマン」など、ヒーローもののコミックや映画、そしてカプコンさんが作った「マーベルスーパーヒーローズ」などのゲームで人気を築いてきたマーベルシリーズの、最近の映画として11月5日から公開されたクロエ・ジャオ監督の作品です。

クロエ・ジャオ監督といえばアカデミー賞を獲得した「ノマドランド」で、その自然を抱き込むような美しさに定評がある方なので、アメコミのマーベルシリーズを観に行くというよりは、ジャオ監督の映像美を見てみたかったという私の思いは、これまでのマーベルファンの方々にはすこし申し訳の無い動機かもしれません。

この地球に降り立ち、7000年前から宇宙規模の災厄を払い続けてきた不老の宇宙存在エターナルズたち。いやね、ギルガメッシュとかふつうにいらっしゃるんですが(笑) 

わりと神話と歴史を踏まえたストーリーや展開になっています。特殊能力をもつ不老のエターナルズが、本来の目的である、人々を標的に襲うディヴィアンツというモンスターを倒しつつ、ときどき人類に技術を与えたりして導いてきたものの、だんだんと虐殺や原爆投下など、ひどい行いをエスカレートさせてゆく人類を見て、仲間割れを起こし、ひとまずディヴィアンツという存在を絶滅させたあとは地球の各地に散っていたのを、それが復活したためにふたたび戦い、地球の滅亡を防ぐために再集結する、という物語。

メソポタミアに宇宙船で降りてきて、人々を喰らうディヴィアンツというモンスター的な存在をバッタバッタと倒すシーン、これまでのマーベルを知らないのでアレですけど、そりゃ神々に見えるわ、という納得ができるようになっています。現実の地球の映像を背景に、CGで作られた武器や特殊能力を使う場面はアクションのハードさよりも、絵としての美しさが優先されているようにも感じます。

そして、近現代に近づくほどひどく争う人類のことで、揉めてグループを解散するエターナルズたちも、超人的ではなく、悩みや苦しみ、そして恋心もちゃんと持つ存在として描かれています。

好きなのは、ギルガメッシュとセナのファイター系の特殊能力を持つふたりのカップリング。セナという戦闘を得意とする人物は、めちゃくちゃ強いんですけど、ときどき暴走して敵味方を関係なく攻撃し始めてしまうという特性をもつようになっていきます。それを支えるギルガメッシュが、すごく格好いい。

ひとのこころを一瞬にして操ることのできるドルイグと、聴覚障害をもつ神速のファイター系、マッカリのふたりのカップリングも良いし、一般人の男性とゲイカップルとして、子どもを育てているファストスも良い。

エイジャック、セルシ、イカリス、スプライトといったひとびとの絡みに絡んだ関係もストーリーとして詰め込み過ぎなくらいに濃厚で、地球と人類を守るという主目的よりも、私、そっちに気が行ってました、ハイ。

これは愛の物語だよね?

愛するものを守りたい。だから戦う。それがたとえ、相手が途方もなく強いというか、絶対的な存在だとしても。

そうしたメッセージを受け取ったように思いました。

神話・歴史好きの私は、おお、新しい現代の神話だ! とワクワクしながら観ていました。

賛否の分かれる作品になっていますけれども、私と同じようなマーベル初心者でもって、神話・歴史好き、宇宙存在の話も好き、というコアなひとには面白い作品なので、おすすめです。

※ 見出しの画像は、みんなのフォトギャラリーよりKokoro UEKIさんの作品をお借りしました。ありがとうございます。

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