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映画感想「神在月のこども」

※ 今回のエッセイは「鬼滅の刃」と「竜とそばかすの姫」に対する、個人的な毒意見が入ります。悪しからずご了承くださいませ。

今日は、ハッピーマンデーで、イオン系の映画館が1100円で観ることが出来る日! 豊田市駅前のkitaraにて10月8日に公開された「神在月のこども」を観てきました。

良いアニメでした。登場する日本の風景と、神さまがたの姿も実写でなくアニメであることの良さがあって。諏訪湖の龍神さまの登場には、格好良すぎて鳥肌が立ちました。動物の姿でお出でになったり、お馴染みの姿でお出でになったりする、ほかの神さまがたも美しかったり、可愛かったり。

母を亡くした主人公が、神さま方にとあるお役目を与えられて、白兎のシロちゃんや、鬼の一族の夜叉と旅をしながらそれをこなすうちに、元気を取り戻して生きていくようになるロードムービーも兼ねたストーリーです。

と書くと、あの「竜とそばかすの姫」と「母を亡くした主人公」がかぶってるところあるよね、パクリ? なんてせっかちな方は思われるかもしれませんが。まあ、これだけたくさんの作品が出ていると、ストーリーがまったくかぶらないものを作ること自体が困難なので、ちょろっとそんな表現に見えてしまったとしても、ひとつひとつ目くじらを立てるのは、今のご時勢あんまりよろしくないかもしれません。あの「竜とそばかすの姫」にも、分かりやすいディズニーの「美女と野獣」を始め、これまでの自作品のエッセンスや、もろもろの作品へのオマージュがたくさん入っていますからね。

7月に公開されたとき、観に行った「竜とそばかすの姫」なんですが、個人的な感想を言わせて頂くと、音楽とうたと映像はスゴイし、作品の目指すところはとてもいいんですけど……。

最初のころの、仮想空間のこととして表現される軽率な罵詈雑言ともとれるほどの辛辣な批判を垂れ流すひとびとの描写がマジでうざくて、そこで受けた精神的なダメージが邪魔になり、そのあとの作品の流れを楽しむことが出来なかったんですよ、何を表現されても、ぶっちゃけて言うと。きつすぎる負の言葉の羅列表現、恐るべしです。

主人公を演じる中村佳穂さんの歌と声、YOASOBIのボーカル、いくらさんが重要な役どころの声優さんとして登場していること、仮想空間に登場するアバターのデザインを、さまざまなアーティストがやっていること、3D映像と、2Dというか手書きの表現の組み合わせ、社会問題をなかったことにしない姿勢など、さまざまな素晴らしい要素はあるんですよ、「竜とそばかすの姫」にも。実際、劇中歌はYOUTUBEで私も聞きました。

でも、物語の始めのノイズがひどくて、落ち着いて、良い精神状態で観られなかった。それが「竜とそばかすの姫」に対する、私の個人的な感想です。

同じ「母を亡くした」子どもという設定なので、どうしても比較をしてしまいますが、今回の「神在月のこども」では、大切なものを失ったことによる闇の感情の表現にもちゃんとスポットが当たっていて。闇の感情を乗り越えて、自分がもう「やめたい」と思っていた「走ること」を、ほんとうは好きだ、というシンプルなストーリーで表現されています。そして「走ること」は「生きること」の暗喩であることが、大人だと気づけるようになっています。

そして、登場する「鬼」の表現。

鬼と言えばみなさんご存知「鬼滅の刃」ですが、すみません。私、グロすぎる表現がダメで、まともに見れてないんです。マンガを一応は途中まで読んだんですけど、マンガの段階で首がゴロゴロ、血がブシャー、の内容に、もうおばちゃん、耐えられませんでした。若いときはそれなりに耐性はあったんですけどねぇ。そうやって、鬼は容赦なく殺せー、っていう価値観が押し付けられてくるのにも正直イヤな感情を抱いていて。映画館で「無限列車編」が公開されたとき、私がよく行く、さまざまな映画がかかっている映画館では「無限列車編」ばかりがたくさん時間帯を組まれて、それ以外の作品が、とっても肩身が狭そうな感じでちょろっとある、という状態なのも腹が立っていました。いくらニーズがあるといっても、そういうやり方が嫌い。

案外、そうしてグロいところが嫌だという話を聞いて、あ、じゃあ観るのやめよう、と思ったひともいて、私の行く美容院の美容師さんも見ない派で、髪をおまかせしているうちの話に、お互いブームに乗らない人間だよね、っていうところを楽しく分かち合っておりました(笑)

今回の「神在月のこども」では、鬼は倒したり殺したりする相手ではありません。競争相手の敵役としては登場しますけど、イカれたサイコ野郎ではないですし、主人公に協力もしてくれます。だからちょろっと、とあることで血がにじむ内容はありますが、グロい、というほどでもないです。

とまあ、今回の「神在月のこども」が自分の中で大好きな作品になりすぎて、商業的に大ヒットしていても自分のこころにまったく響かなかった今年のアニメ二大作品「鬼滅の刃」と「竜とそばかすの姫」にケンカを売っちまったのは、勘弁しておくんなまし。

本来は、アニメにしても実写映画にしても、表現されたものは本来芸術として、誰かのこころを支える内容で、それを完成させるために多くのひとたちが心血をそそいで作ったもの。自分に合わなくても誰かには合うものだと割り切って、文句を言いたくなるのは自分の了見が狭いせい、というのをわきまえておかないといけないですね、私も(笑)

芸術の秋。今年も実りの季節を迎えられた喜びを、神さま方に感謝してお伝えする季節です。私も、これからもライフワークである「古来からの神話や伝説を、現代に楽しく広めていくこと」を、感謝しながら続けていきます。

※ 見出しの画像は、みんなのフォトギャラリーよりted_ozawaさんの作品をお借りしました。ありがとうございます。

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