仕事のペースをつくる(2): 計測する
昨日の「仕事のペースをつくる(1): 中断をなくす」に続く2本目。
昨日の内容、特に内的中断についての対処ができるようになってくると、ひとまず、目の前のことに集中できるようになってくる。
そうやって集中できるようになってくると、どんな仕事でも終えられるんじゃないかという気になってくる。そうして1日の計画にあらゆるタスクを詰め込んでみるものの、夕方になって、まだ盛り盛りと残っているタスクリストを見て「こんなはずじゃ…」とため息をつく。
そうなってしまう原因は、見積もりが甘いからだ。
甘い見積もりを立ててしまう原因はいろいろある。根本的に対処するためには計画を立てることに関する本を読んでみるのも良いだろうし、長い目で見ると、そうした方が確実に良い。
ただ、まず今すぐに何らかの対処をしたいという気持ちもあるだろう。
そう思っている人にオススメなのが、今回のタイトルにしている「計測する」ということだ。
成果をあげるためには時間の使い方を知る
知っている人には、すでに聞き飽きた感もあるだろうが、ドラッカーは『経営者の条件』の中で、成果をあげるために身につけるべき5つの習慣的な能力なるものを挙げているが、その最初にくるのが時間に関することだ。
何に自分の時間がとられているのかを知ることである。そして、残されたわずかな時間を体系的に管理することである。
(『経営者の条件』)
そして、彼は、成果をあげるための時間管理の基本の最初のステップは「時間を記録する」ことだと言っている。
昔から、時間を記録することを習慣にしている自分にとって、これはとても納得がいく話しだ。
時間を記録することの威力
「昔から」と書いたけど、どれくらい昔かというと、24年前になる。
当時、自分はとある私大に通いながら、元々第一志望だった大学を再受験する準備をしていた。いわゆる仮面浪人というやつだ。
日々、それなりに大学の授業に出ながら、基本は参考書とZ会で受験勉強をしていた。しかし、まったく強制力がないので、なかなかタスクがこなせない。
そんなときに読んだ受験生向けの本で書かれていたのが「ストップウォッチで自分の勉強時間を測る」ということだった。そして、本当にやってみた。
当時やっていたZ会のオマケとしてついてきた手帳にこんな感じで、毎日記録とコメントをつけていた(19歳の自分のコメントは恥ずかしすぎるのでモザイク)。
最初にストップウォッチで測ったときは衝撃だった。お手洗いに行ってる時間とか、机の上を整頓している時間を除くと、それまで「1時間くらいはやった」と思っていたのが、42分しかやっていなかったという感じで、容赦なくわかる。
それからというもの、きっちり記録をした上で、1日を終えるときに、5時間未満はダメ、5時間以上8時間未満は及第点、8時間以上は合格という感じで、毎日の合計時間を色分けして、1週間の平均も計算していた。
こうやってやると、ほとんどゲームをやっているような感覚で勉強をすることができた。しかも、これだけやっていると、スタート時点のレベルが散々だったこともあって、面白いほどに成績が上がっていき、なんとか第一志望に合格することができた。
これに味を占めてから、自分の「時間記録癖」が続いている。
時間を記録することによる効果
余計な話しを長々と書いてしまったけど、こうやって時間を記録すると、まずは自分が受験生時代に経験したように、自分の時間の使い方を正確に知ることができる。そうすることが自分を律するきっかけにもなる。これがひとつめの効果。
もうひとつの効果は、自分が作業をやる「標準時間」を把握することができること。
そうすると、これまでなんとなく「この企画書は、だいたい30分くらいでいけるかな」という感じで、あてにならない見積もりをしていて、結局、その時間に終わらずに、すべてが後ろ倒しになってしまうことから解放される。
そんな当てずっぽうな見積もりではなく、これまでやった似たタスクにかかった時間を参考にして、より確からしい見積もりをすることができる。
確からしい見積もりをすることができると、先の仕事の進み具合を見通すことができるというオマケもついてくる。
先の仕事の進み具合を見通すことができれば、例えば体調が優れないときなんかに「あと、これくらいの仕事が残っているけど、これだったら残り○分くらいで終わるから、今日は休んで、明日に回しても間に合う」という調整も確信を持ってできるようになる。
どうやって記録をするのか?
これだけスマホやウェブサービスがそろっている今となっては、当時の自分のようにストップウォッチなんて買ってこなくても済む。
この状況を「便利になった」と見ることもできるが、選択肢が増えた分、かえって迷ってしまうほどになっている。
しかし、大切なのは、ツール選びに時間をかけすぎないこと。なぜなら、ツールを選んだり、その使い方に習熟することが目的ではない。目的は、自分の時間の使い方を正確に知り、より正確な見積もりをできるようになり、自分の仕事のペースをつかみ、安心して仕事に臨めるようにすることだ。
そもそも、時間を記録するためのツールを探すために時間を浪費するというのは、なんとも皮肉な話しだ。
もちろん、最初はいろんな情報を元にしていろいろ試してみることは必要ではあるものの、一度、手になじむものを見つけたら、それを使い続けるべきだ。
ネットを見るといろんな人がいろんなことを言っている。ただ、ツールの良し悪しは、それ自体の良し悪しももちろんあるものの、最後は自分との相性だ。どんなに有名な人が絶賛していても、自分に合わないツールなんていくらでもある。
だから、あまり流行り廃りに流されずに、早いところ自分になじむツールを見つけて、ぜひ時間の記録を始めてほしい。
目指すのは、ツールを使いこなした先に得られる安心感なのだから。
(参考)時間を計測するために自分が使っているツール
そうはいってもツールが気になる人もいると思うので、一応、自分が使っているものを紹介。自分が使っているのはToggl。
たしか6, 7年使っている。
似たようなものは他にもあるけど、そんなに細かく比較したわけではなく、最初に使って気に入ったから使い続けている。
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Photo by Marcelo Leal on Unsplash
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