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これまでの家づくりのメリット・デメリットと アフターコロナの注文住宅の考え方(3)

アフターコロナの家づくりの考え方

アフターコロナによって、これまでの家づくりの考え方が大きく変わりました。その理由の一つが、「ウッドショック」です。

ウッドショックとは簡単に言うと、建築用木材の価格の急騰のこと。1970年代に起きた「オイルショック」になぞらえたネーミングです。

新型コロナウイルスの感染拡大により、アメリカでは住宅建設が一時落ち込みましたが、2020年5月のロックダウン解除後から一転して、新築住宅の需要が一気に高まっています。リモートワークで自宅で仕事をする人が増えたことと、膨大な財政出動と低金利政策の結果、アメリカでは例年より高い水準の住宅建築が続いているのです。

もともと山火事やコロナ禍での製材所での休業のあおりを受けて、世界的に建築用木材の供給量が減っている中、アメリカでの建築件数の増加で需要と供給のバランスが乱れ、世界的な木造価格の急騰が引き起こされました。

日本でもアフターコロナでのリフォーム需要などで木材費が高騰。2021年時点で前年比の69%も価格が上昇しています。

そしてそのウッドショックに輪をかけているのが、ロシアによるウクライナ侵攻。世界的にも大きなシェアを占めるロシア産木材の供給が今後滞れば、さらなる木材価格の高騰は避けられません。

ウッドショックによって木材費が上がると、当然ながら建築費も上がります。大量仕入れ・大量生産の大手ハウスメーカーでも、ローコストの家づくりが難しくなってきているのです。

アフターコロナで家づくりに対する考え方が大きく変わったもう一つの原因は、エネルギー問題です。

世界的な脱炭素化が進む中、住宅にはこれまで以上に断熱性能が求められるようになっています。家の断熱性能が高ければ、それだけエアコンや暖房の使用を抑えられて、二酸化炭素の排出も減るというわけです。

より高性能な家づくりのためには、その分だけコストがかかります。家の性能に求められる要求が高くなっているため、どの建築会社でも新築住宅の価格を引き上げているのです。

また断熱性能や耐震性能の低い家を建ててしまうと、将来的な資産価値がものすごく下がってしまいます。そのため、ハウスメーカーのどの営業マンも、高性能住宅を建てることを勧めています。私だってそうです。だって、新しい省エネ基準に適合した家にするには、リフォームの時よりも新築時に施工したほうが圧倒的にお得だからです。初期費用を多少かけても、高性能で資産価値の高い家を持つ方が後々のことを考えても絶対におすすめです。

アフターコロナで家づくりに関する考え方が大きく変わった結果、これまでの方法ではローコストで注文住宅を建てることが難しくなってきました。

材料費の高騰によって大手ハウスメーカーのメリットが弱くなり、高性能住宅が求められるようになってきた結果、ローコストな家という選択肢そのものが無くなってきているのです。

では、本当にローコストで注文住宅を建てることは無理なのでしょうか?

そんなことは決してありません!

新しい家づくりの方法があるのです。

それが第4の選択肢、「リフォーム会社で新築を建てる」という方法です。

第4の選択肢「リフォーム会社で新築を建てる」とは?

これまでの注文住宅の建て方、

  1. ハウスメーカー、パワービルダーで建てる

  2. 大工さんのいるような工務店で建てる

  3. 建築家・設計事務所に設計を依頼し、工務店で建てる

に変わる新しい家造りの方法としてご提案したいのが、「リフォーム会社で新築を建てる」です。

え、でもちょっと待って下さい。リフォーム会社に新築物件って建てられるんですか?と思われるかもしれませんね。

そうなんです。でもそのことを理解するために、まずは日本における建築業界の歴史を少し振り返ってみましょう。

日本における家づくりは長い間ずっと、個人の大工(棟梁)さんが担ってきました。

それこそ江戸時代から明治、大正、昭和初期にいたるまで、家づくりというのは大工さんが全て行っていたのです。
そのため、家を建てたい時には近所の大工の棟梁に頼むのが一般的でした。

そして大工さんの家づくりとは、単に建てるだけではありません。その後の修繕や改装まで、家を建てた大工さんが一手に引き受けていたのです。
つまり日本における家づくりとは、近所の棟梁や大工さんたちと長いスパンで考えるもの。それこそ、一生涯の付き合いで行うものだったのです。

それが大きく変わったのが、戦後になってから。
戦後の大規模な復興と高度成長期によって、新規住宅建築の需要が一気に高まりました。

その需要に応えるため、そして欧米の建築様式・建築家が入ったことによって、工務店が登場することになります。

またバブルの時期に欠陥住宅や違法建築が次々に明るみに出たため、国が法律を整備するようになります。その厳しくなった建築基準法に対応しながら大量の新築物件を引き受けるようになったのが、いわゆるハウスメーカーやパワービルダーなどの大手企業です。

つまり、今の一般的な家の建て方である…

  1. ハウスメーカー、パワービルダーで建てる

  2. 大工さんのいるような工務店で建てる

  3. 建築家・設計事務所に設計を依頼し、工務店で建てる

これらはどれも、住宅が不足していて大量に新築物件を建てなければならない時代に生み出された方法なのです。

しかし、今はどうでしょうか?

日本では人口が減少する中、大量に家を建てる必要はなくなりました。
そこで、昔の方法に戻しませんか?という提案なのです。

次回は「リフォーム会社で新築を建てる」をもう少し掘り下げていきます。


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