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1人親方経営者のKPI


私は兵庫県伊丹市で「スタイル新伊丹治療院」を開業しています。事務のアシスタントもいますが、経営に関することは基本的に全て一人でやっています。

「1人親方経営者」である私は、これまで設定した目標が達成できずに何度苦しんだかわかりません。しかし、今やビジネスマンが一般的に使っている「KPI(目標達成のための中間指標)」という考え方を知り、これは役に立つと感じました。

個人事業をやっている方で、「仕事が上手く回らない」「設定した目標が達成できない」と悩んでいる方にとって参考になると思い、文章にまとめました。是非ご覧ください。

■目標達成ができる人とできない人の差

皆さん、目標を決めた後でいきなり解決策や具体的なアクション(行動)を決めていませんか?

目標達成率を高めたければ、即行動の前にワンクッションを置くことが大切です。

ここが「結果が出る人」と「結果が出せない人」の大きな違いの一つです。

結果が出ない人の目標設定は 2Step が多いです。
1 目標を決める(=最終目標)
2 行動する(=行動目標)
この 2Step では、結果が出にくいです。

私は長年、2Step型でした。目標を決めて、即行動。上手くいかなければ最初からやり直し……。例えると、環状線や山手線をぐるぐる回っている感じでしょうか。いつも同じ景色を見ながら安心して走っているので居心地が良いのですが、目標達成という結果が出にくいです。

そこで、
1 最終目標
2 中間目標(重要指標)
3 行動目標
このように目標を 3Step にしました。

なぜこのようにするのかと言うと、いきなり大きな目標に向けて何をすればいいかを考えるよりも
「大きな目標=最終目標」をいくつかの
「小さな目標=中間目標」に細分化する
方が良いからです。

中間目標の一つ一つを達成するために「何をすればいいのか?」を考えた方が、
イメージしやすくなる!
   ↓
アイデアが出しやすい!
となり、目標達成の精度が高まります。

ここで大切なキーワードが「KPI(目標達成のための中間指標)」です。

KPIとは、
K:Key       (鍵、キー)
P:Performance(パフォーマンス、出来栄え)
I :Indicator   (指標)
の略で、ビジネスの現場でよく使われている考え方です。
ひらたく言うと、「年商〇万円」といった最終目標の達成に向けて、中間指標を数字など目に見える形で表すことです。たとえば営業の現場では、年商〇万円を達成するために、訪問件数〇件、問い合わせ件数〇件というチェックポイント的な目標数字で設定します。

例えるなら、マラソンでLAPタイムを設定するイメージでしょうか。マラソンランナーは42.195kmを目標タイムで走り切るために、前半の5kmは15:00で通過して、次の5kmは……、と事前にLAPタイムを想定して入っています。最終的なゴールのために、中間目標を設定しているわけですね。

しかし、マラソンのLAPタイムは選手の調子やライバルとの駆け引き、天候などのコンディションによってしばしば想定が狂います。KPIも同じで、目標設定の微調整や、未達の時はその理由を考えることが重要です。

KPIが未達の時は…
1 行動が伴っていなかった = KPA(Key Performance Action : 具体的な行動指標)が未定
2 行動が合っていたが不十分
3 想定していなかった課題があった
4 仮説で立てた因果関係が間違っていた(KPIとKPAの連動性が取れていない)
などの要因が考えられます。


上手くいかない時に考えるべきことは、
・保留にしてある行動を追加する
・訂正の段階で把握しておくべき要素を見落としていないか
です。

私は2020年4月の緊急事態宣言の時、施術を受けるお客様のリピート回数を月に2回来院という中間目標を設定しました。しかし、コロナ禍による影響への見通しが甘く、お客様のキャンセルが相次ぎ行き詰りました。上の例で言うと、把握しておくべき要素を見落としていた(想定外が発生した)ということです。

そこで目標を施術回数250件(1月あたり)に変更しました。その目標を達成するために、朝活や休診日など時間外でも施術する機会を増やしたり、往診に行く回数を増やしたりしました。ただ来院の回数だけにフォーカスするのではなく、施術をための時間枠を増やす策を考えたわけです。

このように、真っ先に気づくべきなのは「自分の思い込み」や「視野の狭さ」です。たいていの課題は視界の外にあります。例えば、「人」「情報」「時間、時期」「ターゲット」「コミュニケーション」などです。

■「因数分解」のスキルを高める重要性

最終目標を達成するまでの道のりは複雑です。それを「これとこれで構成されている、これとこれを達成すれば良いものである」という形に分析して分解することが大切です。

この要素分解には3つの効果があります。
1 関連する要素を予測しやすい
2 目標設定の精度が上がる
3 行動の先延ばしが減る

例えば、ボウリングをするときにはセンターピン(重要な要素)を狙って倒しに行きますよね?
それはなぜかと言うと、より多くのピンを倒すため、すなわちより結果を出すためです!

でも、意外に仕事の現場では、どのピンを倒すか?やどのピンが最重要なのか?をあまり考えない(狙わない)で、ボール(アクション)を適当に投げていることが多くないですか?

大きな目標を数学の因数分解のように、小さな目標へと細分化して行動することで道は開けるはずです。

細分化した目標は、「見える化」をしましょう。
「見える化」した目標は、次のように活用すると効果的です

特にKPIを目立つところに、メモ用紙やポストイットなどで良いのでとにかく文字にして、手帳などで常に視界に入れることを強く推奨します。細分化したゴールを意識すると生活のあらゆる場面がヒントになります。小さなゴールを強制的に視覚へと入れましょう。

次に、
仮説の精度をあげていきます。それを支えるのが先ほど言及した「因数分解」です。
「ゴール」と「現状」を構成する因子をどんどんリストアップします。

因数分解せずに頭でひたすら課題や要員を考えても、せいぜい4~5個の視点しか持てません。しかし、あるテーマを20個の因子に分解したら「20個の視点」を持った状態と同じになります。
因数分解を何回かしていけば、現状とのギャップの大きさにも気づくことができます。

いわゆるボトルネックがピンポイントで浮かびやすくなります。

そして、「WHY」と「HOW」で課題をさらに深掘りしていきます。
課題を見つけた時は「WHY=なぜできないのか/できたのか?」を繰り返し、解決案を見つけた時は「HOW=どうやって(構成されているのか、達成するのか)問いを繰り返します。

大切なのは、「とにかく文字にする」することです。
すると因数分解が上達します。とにかく紙に書きだしましょう。


■先延ばしを防ぐには

皆さんはこれまで「これをやろう!」と思っていても、行動を先延ばしにした経験はありませんか?
私はしょっちゅうです(笑)

先延ばしにせずに行動を習慣化することは、成果を出すうえで非常に大切なことです。

実は因数分解スキルを使うと、この先延ばしを減らすことができます。

シンプルに言うと、人間は、意識できないものに興味を持てない生き物です。
そもそも興味を持てないと行動は起こりません。

また、人間は見えないものに恐怖を感じる生き物です。
恐怖を感じると、行動が極端に制限されます。

そして、人間の行動はイメージに依存します。
そのイメージの強さが行動を決めています。

行動心理学的に、「イメージが先」>「行動が後」という法則があります。

イメージと行動は密接に関係しているので、
イメージできない=行動しない
となります。

目標設定はするけれど因数分解までしっかりしていないと、何が重要要素かがわからず行動が決められない……
  ↓
何をすればいいかが不明瞭だと、潜在意識で恐怖心を抱きイメージが湧かなくなる
  ↓
行動の先延ばしや全体的な行動力の低下につながる
というプロセスで行動の先延ばしが発生します。

先延ばしを避けるためには、行動につなげやすい具体的なイメージを持つことが重要です。

■考え方に方向をつけるため、KPIの設定と因数分解を!

厳密にKPI(目標達成のための中間指標)の数を設定する場合は、KGI(Key Goal Indicator:最終目標)の数値から逆算することと、必要な「ヒト、モノ、カネ、情報」などのリソースにも左右されます。

KPIの細分化の質や精度で行動目標の内容が変わり、その行動の内容や質で結果が変わります。

KPIやKGIを明確にするということを、量をこなして経験値や質を上げていくトレーニングをすることで、そのクオリティを上げることができます。先に説明した因数分解スキルなどを通じて、精度を高めていきましょう!

最後に、京セラ創業者の稲盛和夫さんの言葉を紹介します。

『人生や仕事の結果は、
 考え方と熱意と能力の3つの要素の掛け算で決まります。』

出典:稲盛和夫 OFFICIAL SITE

(https://www.kyocera.co.jp/inamori/philosophy/words43.html)

どんなに熱意があろうと、能力があろうと、考え方が間違っていたら、とんでもない方向に行ってしまいます。
考え方に方向性を付けることが大事だと私は思います。

新大阪から東京を目指して新幹線に乗ったのに、九州行の車両に乗ったら永久に東京には尽きません。

1人親方経営者である皆さんは、集客や売り上げの達成などに向けて日ごろから取り組んでいると思います。一方で、KPIの設定や目標の因数分解をせずに行動して、行き詰まる方も多くいるのではないでしょうか。

今回同じ悩みを抱える一人として、学んだことをまとめました。これを読んでくださった方の参考になれば幸いです。是非ご自身の仕事に当てはめて、実践できそうなところは活用してもらえたらなと思います。


今回の記事は、完全紹介制セミナー〈GRIT ACADEMY〉で学んだことをもとにして書きました。

自分の想いややりたい事を「形」にする
人を前向きにする行動を創る

GRIT ACADEMYは、「すべての小さな会社に『経営を楽しむ!』ための設計図を!」というミッションを掲げ、中小企業や個人事業主が成果を出すため・経営するために必要なノウハウを学ぶことができます。


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