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えらく安い中国の引越し業者に思ったこと

引っ越しで引き続きバタバタしております。いまは搬送が終わり、地獄のような荷解きに追われております。誰だよトイレットペーパーを段ボールの奥底に入れたやつは。あ、オレだった

今日は引越しの過程で気になったことを。

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荷造りが大体済み、引越し業者の予約をすることにしました。「58同城」という生活サービスのポータルアプリがあるので、そこで検索するとすぐに手配できます。

そこで気づいたのは、予想していたより引っ越し費用がだいぶ安いということです。最初に見積もりをとったところは、トラック1台と人を2人手配してくれて、たったの250元(≒5,000円)でした。同じ市内で車で30分という短い距離だとはいえ、ずいぶん安いなと思いました。そのほかの業者もだいたい同じような値段です。

ひとつの業者を選んで連絡すると、しっかり時間通りに2人の気のいい兄ちゃんが来てくれました。ダンベルが入った袋やら、本がミッチミチに詰まった箱でも文句一ついわず運んでくれて、テキパキと作業を進めてくれます。

荷物を雑に扱ったり、重たいものを軽いものの上に置くような無茶苦茶なこともしません。中国で工場仕事をしていた時、バランスの悪いまま物を無理に運んであえなく崩落、台無しにするような光景をよく見たんですが、そんな心配もなさそうです。

しかも、荷積みはすぐに終わったにもかかわらず、道中でやたらとトラブルに見舞われ(融通の聞かない駐車場の管理人に止められて出られなかったり、新居の鍵が開かずに大家を呼び出したり)、9時に始めて正午に終わる予定だったのが時間を大幅にオーバー。結局、業者に帰ってもらえたのは午後2時くらい。それでも兄ちゃんたちは、嫌な顔一つせず、特に追加料金を取ろうとすることなく対応してくれました。

これで250元というのはあまりに申し訳ない気持ちになったので、道中では飲み物を買ってきてふるまったり、最後の支払いの時にも少し多めに渡すようにしました。あとついでにベタ褒めのレビューもつけておきました。

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いつかも書いたのですが、中国ではこういう生活サービスの質がどんどん向上しています。

以前はそもそも業者を呼んだ目的を達成できないことや(たとえば清掃業者ならテキトーな掃除で余計に汚れたりとか)、聞いてもいないよくわからない料金を請求されることなども珍しくなかったのですが、そうしたタチの悪い業者はどんどん淘汰されているように思います。プラットフォーム主導の評価経済が盛んになったこともそうですが、何より国が豊かになって人々に余裕が出てきたことが大きいのでしょう。

しかしいっぽうで、そうした仕事に対する待遇が良くなっているか、言い換えればそういうサービスの単価が上がっているかといえば、あまりそうではありません。

引っ越しのほか、たとえばいつも行っているチェーンの美容院(というより理髪店と言ったほうがいいかも)があるのですが、そこのカットの値段はかなり長い間60元(≒1,200円)のまんまです。

カット前にはやたら丁寧なシャンプーと、簡単なマッサージをしてくれてこの値段です。カットも、たまにマズい人に当たると変な中国式テクノカットにされたりしますが、きちんと要望を伝られれば問題ない程度には技術はあります。

シャンプー・マッサージ込みのカットが1,200円程度とは、日本では考えられない値段のように思いますが、いっぽうで中国はすでに日本と変わらないものもたくさんあります。ちょっと小綺麗な(決して高級ではない)スーパーなんかにいくと、もう野菜から肉・魚、お菓子に至るまで、感覚的には日本とほとんど変わらないように感じます。

モノの値段は上がっているのに、人の手によるサービスの値段はそれと同程度に上がっているわけではない。これはつまり、中国では人のサービスや技術が必要な労働に対しての評価が低いということの表れのように思っています。

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