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中国の「お役所仕事」はこんな感じ

Twitterでこんな動画を見つけて、大爆笑していました。

しかし、ツイートには「非中国大陸人或者没有在大陸生活過的人,無法理解視頻内容」(中国大陸の人や住んだことのある人以外には、この動画は理解できないだろうね)とあります。たしかに、中国(大陸)を経験した人でなければこの面白さは理解しにくいかもしれません。

ということで、ユーモアの解説など無粋の極みというのは百も承知ですが、今日のnoteではあえてこの動画について詳しく取り上げてみたいと思います。

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この動画は、中国における行政手続きなどの際に遭遇する「お役所仕事」の融通のきかなさや理不尽さを揶揄したものです。

中国語がわからない人のために、動画内で起こっていることを時系列でまとめておきます(細かいところは無視して大筋のみ翻訳しています)。

露店にネギを買いにきた男性。なぜか店番に名前を書かされ、「何を買う?」「ネギだ」「何本?」「3本」「持ち帰り?」「持ち帰りだ」と、質問攻めに会います。

店番は、奥からもう一人の店員を呼んできます。またしても「何を買う?」「ネギだ」「何本?」「3本」「持って帰るのか?」「持って帰る」と同じことを聞かれる男性。イライラが募ります。

そしてさらに奥からもう一人の女性が出てきます。男性はここぞとばかりに「ネギを、3本、持って帰る、今ここでだ」と先回りして伝えますが、女性には「何をそんなに焦ってるの?(笑)」とそっけない態度。

女性は、「ネギは何に使うの?」と質問してきます。「餃子を作るんだよ。ネギがないから買いにきたんだ」(注:中国では餃子にニラよりもネギを入れるのが一般的です)とイラつきながら答える男性。

すると女性は、「なら、家の冷蔵庫に肉がある写真か、肉を買った時のレシートを見せなさい」などと言います。なんでも、規則で肉を買っていない人にネギは売れないというのです。男性は「俺は先にネギを買いたいんだ!」と憤慨します。

しかし女性は、まるで子どもに道理を解くような横柄な態度で「肉がないのにネギを買ってもしょうがないでしょう。物事には順序があるの。まず肉を買ってから、ネギを買うのが正しい順序じゃない」と理不尽なことを言いつけてきます。

そして、「やっぱりネギは売れない」と男性の話も聞かず去っていく店員たち。男性も「もういい!」とその場をあとにしました。

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いやー、これ中国で行政手続きをする時と全く同じです。

何かしようとして役所の窓口に行くと、まず窓口の人間に通りいっぺんのことを聞かれて、少し考えたかと思うとすぐに別の人を呼びに行く。そして、出てきた新しい人にまた同じことを聞かれます。

そんなことを何回も繰り返したうちに、「この書類が足りない」だの「今はこういう時期だから申請できない」「規則があるから対応できない」「外国人はダメ」だのと、理不尽な難癖をつけられます。頑なにこちらとのやりとりを拒否し、オプションとしての他の手段を探そうともしてくれません。

結局目的の達成までにはあらゆるところをたらい回しにされ、何度も何度も同じところに足を運び、やっと進捗があったかと思えばまた「規則が変わったからこの資料は無効だ」などと言われて、振り出しに戻る。

かように、とんでもなく疲弊させられるのが中国の「お役所仕事」です。

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とはいえ、役所や窓口のたらい回しなんかは日本でも起こることじゃないか、と思われた人もいるかもしれません。日本の「お役所仕事」と、実はそんなに大差がないんじゃないの? と思ったかも。

しかし、中国の「お役所仕事」はいくつかの点でやはり日本のそれとは異なっています。

その違いとは、「程度」「属人性」「態度」という3つです。

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