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中国、「ただしさ」でエスカレートするネットの日本叩き

先月のnoteでは、中国でのネットを中心とした「日本叩き」にまつわる、いくつかのトピックについて書きました。

現在も状況は基本的に変わらず、たとえばマイクロブログの微博で「日本」と検索すれば、ほぼ毎日何かしら日本に関してネガティブなトピックが見つかります。

そのほか、抖音や快手などのショートムービーアプリで日本関連のものをうかつに見ていると、日本で生活する若者のほほえましい投稿などに混じって、日本を口汚く罵るような内容のものが飛び込んできます。

おどろおどろしい音楽や映像とともに、デカデカとしたテロップで過去・現在の日本の「悪行」を紹介するものや、「日本人にこんなことをしてやったぜ!/言ってやったぜ!」と自慢するような、胸糞の悪いムービーが流れてきたりするのです。

まあ、そういった内容のものが目に入ってきてしまうのは別にいまに始まったことではないのですが、その内容はどんどんエグく、エスカレートしているようにも見えます。規制の強まる中国のインターネット上で、なんでこれが野放しにされてるんだろう? と首をかしげたくなるようなものも増えてきています。

今日は、このような状況が生まれてしまう理由について考えてみたいと思います。

手っ取り早く注目されるためのスケープゴート

まず、ネットにおける反日的な投稿があとを絶たないのは、それがとりもなおさず注目を集めやすいトピックであるということは否めないかと思います。

歴史的経緯から、特に過去の日本の悪行などは中国においては「いくらでも叩いていいもの」とみなされている向きがあります。感覚としては、かつてのハリウッド映画でロシアやナチスドイツが「わかりやすい悪役」として用いられていたことに近いでしょうか。一種の娯楽として、「日本叩き」が使われている側面があります。

そうした「娯楽」が受け入れられるなかで、発信する人々はより多くの耳目を集めるように、強い言葉や過激な言説を増やしていきます。良くも悪くも、トピックが刺激的であればあるほど、注目は集まりやすくなります。

そんな中で、最初は「悪どい日本」に何気ない賛意を示したぐらいのつもりだったのが、そこに集まる数多くのzan(中国語でいう「いいね」のこと)に承認欲求が満たされ、「叩き」にハマってしまった人というのも、おそらく相当数いるでしょう。

そうして「叩き」をやめられなくなってしまった人、わざわざ動画までこさえるようになってしまった人というのが、中国のネット上での「日本叩き」をエスカレートさせている側面があるように思います。

「公式見解」による正当性の担保

加えて、中国においてはこれらがある種の政治的な「公式見解」に結びついてしまっていることが、止まらない「日本叩き」の原因の一つとなっています。

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