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ひどいタクシー運転手に出会ったが、その気持ちもわからなくはない話

家族の愚痴とタクシー(ライドシェア)の話題ばっかり書くことでおなじみの当マガジンですが、今回はタクシーの話です。

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先日、とんでもなく態度の悪いライドシェアの運転手に遭遇しました。

アプリから予約し、到着した車に乗り込むと、そこには20代後半くらいのがっしりした男性の運転手が座っていました。パリッとした襟の白いシャツを着て、髪は短く刈り上げています。ライドシェアアプリで呼んだのですが、おそらくは副業でやっているようなのではなく、正規のタクシー運転手を兼任している人だとわかりました。

しかしこの運転手、僕が乗り込んでもまったく発進しようとせず、窓の外をボーッと見つめています。心ここにあらずといった感じで、僕が乗ったのに気づいてないのかな? と思うレベルですが、さすがにそんなはずはありません。

ひょっとして乗り込む車両を間違えたのかと思い、運転手に「不是我叫过来的吗?」(僕が呼んだ車じゃないですか?)と話しかけたのですが……すると運転手は3秒ぐらい黙ったかと思うと、手机尾号shou ji wei hao?!」(電話番号の末尾は?!)と、大声かつ眉間にシワをよせながら、まるでこちらに噛みつくように言ってきました。あまりの剣幕と思わぬタイミングのブチギレに、頭が混乱しました。

どういうことかというと、中国ではライドシェアの利用の際、乗り間違いを防止するため、利用客の電話番号の末尾4ケタで確認するシステムになっていることが多いです。客が自分の番号を伝え、運転手はそれをもって本当に予約したお客さんなのかを照合し、確認します。

なので、先の運転手が手机尾号shou ji wei hao?!」と僕に言ってきたのは、「お前電話番号言ってないだろ?!(だから出発できねーんだよ)」という意味だということはわかりました。

ただ、運転手のほうから聞いてくるのが普通だし、こっちから自主的に言ういわれはありません(こういうシステムがないライドシェアもありますし)。ひょっとしたら運転手はすでに質問していて、僕がそれを聞き逃していたのかもしれませんが、それにしたってあまりな言い草です。

僕があっけに取られながら、怒りを抑えつつ電話番号を教えると、運転手は「フンッ」と鼻を鳴らしつつ、車を走らせ始めました。そこから気まずい空気のドライブがしばらく続くのですが、不快な出来事はこれだけでは終わりませんでした。

目的地(僕の家のある小区(団地))に近づき、運転手はある場所で車を減速させ、止まろうとしました。しかし、そこは微妙に僕の降りたい地点とは違っていて、もう少し進んだ場所に止めてほしかったのです。

なので「请再前面过去一点」(もうちょっと進んでください)と言ったのですが、運転手はここでも「チッ」と大きな舌打ちをしたうえで、心底嫌そうな表情のままアクセルを少し踏み、車を前に走らせました。僕が降りる時も、「慢走man zou」(お気をつけて)の一言さえ発しません。

最初から最後までなんて態度だ、と思いながら僕は車を降りました。腹いせにドアを思いっきりバン! と閉めてやろうかという衝動を抑えつつ、普通に閉めました。車はそそくさと去っていきました。

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とまあ、サービスレベルの向上が著しいいまの中国において、いまだにこんな目に遭うことがあるとは……と憤慨する出来事ではあったのですが。

ただ、ちょっとした背景情報を知ると、ひょっとしたら運転手の態度はある程度仕方のないものだったかも? という気持ちにもなるのです。それだけの劣悪な態度を帳消しにしかねない情報とは何か。以下はそれについて書いていきます。

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