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中国の巨大ECプラットフォーム2つを比べてわかる、「クラス」による運用ルールの違い

中国で最大のECプラットフォームといえば、みなさん真っ先に淘宝tao baoを思い浮かべるでしょう。アリババグループによる押しも押されぬ中国ECの巨塔として、中国ではその名を知らないものはいないと言っていいほどの存在感を放っています。

最近は日本から淘宝で直接買い物をすることもできるようになっており、日本でも利用者が増えているような印象を受けます。先日、YouTuberのゆきりぬさんが「淘宝で買い物してみた」みたいな動画をアップロードしているのを見つけたときには、淘宝も来るところまで来たなという謎の感動がありました。

一方で、おそらく日本ではそれほど知られていないであろうECサービスがあります。それは|拼多多《pin duo duo》というオンラインショッピングモールです。

拼多多の特徴は中国語で团购tuan gouと呼ばれる共同購入のシステムによって商品が割安で買えることや、利用者のメインターゲットが三線以下の都市もしくは農村部などの田舎であることです。設立からまだ5、6年であるにもかかわらずその成長率は凄まじく、利用者数だけでいえばすでに上述の淘宝を超えているといいます(売上高は淘宝の方が上です)。

僕は怪しい日本語ハンターとしてどちらのプラットフォームも日常的に巡回しているのですが、その二つを比べていると何となく気づいてきたことがあります。

それは、それぞれのプラットフォームの「クラス」がもたらす違いではないか、というお話です。

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上にあげたYouTuberの動画では淘宝が「怪しい激安サイト」扱いされていますが、真に「怪しい激安サイト」と呼ぶにふさわしいのは拼多多のほうです。

確かにかつては訳のわからないものまで売っていた淘宝ですが、近年はどんどんクリーンになってきており、怪しい商品などはかなり念入りに探さなければ見つからないという状況です(ゼロではない)(ていうかわざわざ探そうとするな)。

それもそのはず、淘宝では模倣品を売ったり誇大広告や虚偽宣伝などを行なったりした店舗に厳しい罰則を設けるなどしています。たとえば深刻な健康被害が出かねないサプリメントなどについては、早い段階から広告への規制がつくられました。現在においては、極端な虚偽宣伝のようなものはおおむね見られません。

一方の拼多多はというと、現在においても「7日間食べただけで15斤(=7.5kg)痩せるチョコレート」だの「飲めばすぐ50斤(=25kg)が消失する薬」だの、虚偽広告そのものような商品画像がいくらでも見つかります。

「こりゃダメだろ」「こんなもん買う奴いるのかよ」というようなものでも普通に売られていて、見ているこっちが心配になるレベルですが、ともあれ淘宝では完全にアウトだろうと思われるものが拼多多ではアリになっている現状があります。

このような差異は、市場への影響力とメインターゲット層の違いによるものでしょう。中国EC界のトップであり、市場への影響力も大きい淘宝は国からも民衆からも模範であることを求められます。「野蛮な成長」の時期を過ぎた淘宝は、すでにその体裁を整えて「ただしく」ふるまうべき段階に入っています。

拼多多の方といえば、そのメインターゲット層が農村部などの田舎であることも手伝い、そのような規制は全く浸透していないのが実情です(むしろ淘宝で売れなくなったものが拼多多に流れてきているのではないかという気がします)。拼多多は、まだ国や民衆から「お目こぼし」されている状態といえます。

中国にももちろん広告法があり、「広告は、虚偽又は誤解を招く内容を含んではならず、消費者を欺き、誤導してはならない」とされているのですが、中国では法律よりもどちらかというとその規模というか、階級的な意味での「クラス」に合わせてさまざまなものの運用が決まります。

淘宝と拼多多における取り扱い商品の大きな違いは、そのような「クラス」によってもたらされているのではないか、と見ることができます。このあたりは「ルールはルール」としてどんな規模であろうと一律的に運用すべきだろうと考えがちな日本人からはちょっと理解しにくいことですが、中国では「ルール」との付き合い方が日本とは異なっているので、このようなことが起こるのです。

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とはいえ拼多多のこれだけの規模になってきたのですから、いつまでも今のような「野蛮」な状態ではいられないでしょう。そのうちに規制が入るなりしてクリーン化が進められていくのでは、と予想しています。そして行き場を失った怪しい商品たちはまたどこか別のプラットフォームで扱われるようになり……という螺旋が続いていくものと思われます。

拼多多の次に怪しい商品たちがどこにいくのか、生温かく見守っていきたいと思います。

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