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中国医学の「上火」って結局、いったいなんなのさ

昨日からちょっと体調を崩し気味です。

熱はないのですが頭がぼーっとして、なんとなくだるい。喉も痛いような、痛くないような……風邪の引きはじめのような状態です。昨日は症状がひどくてほとんど何もできずに寝込んでいたのですが、朝になって動けるくらいには回復してきて、いまこうしてnoteを書いています。

こういう時、中国では決まって言われることがあります。昨日、僕自身も嫁に言われました。

それは、「你上火shang huo了,多喝水」(あなたは今「上火」しているから、水をたくさん飲みなさい)というものです。

謎概念の「上火」

この「上火」というのは中医学の概念で、中国においては広く知られている……というより、常識として定着している、体の不調を指す言葉です。

じゃあその「上火」っていったい何で、どんな状態なのか……と説明しようとすると、これが難しい。なにせ日本にはない概念ですから、ぴったり来る訳語もなければ、それがどういうものかというのも、なかなかピンと来ません。

中国においてはあまりにも普遍的であるせいか、中国人自身に「上火って結局なんなの?」と聞いても、「いや、上火は上火だよ」と、要領を得ないことになりがちです。

そこで今日のnoteでは、この「上火」について、中国に住んでこれまでに知ったことをできる限り書いてみたいと思います。

医学関係っぽい話にはなってしまうのですが、筆者は医学知識を持たないシロウトですので、実際の症状などに対処するにあたってはここの情報を鵜呑みにせず、ご自身でお医者様などに相談するという前提で、以下をお読みください。

「上火」とは、症状であり状態

まずは辞書的な説明から見てみましょう。中国版WikipediaともいえるWeb辞典の百度百科によると、こんな説明がされています。

“上火”為民間俗語,又称“熱気”,(中略)中医認為人体陰陽失衡,内火旺盛,即会上火。(中略)具体症状如眼睛紅腫、口角糜爛、尿黄、牙痛、咽喉痛等。

(「上火」は民間の俗語で、「熱気」とも呼ばれる。(中略)中医学では、体の陰陽のバランスが崩れ、体内の「火」が強くなることで「上火」が起こる。(中略)具体的な症状は目の充血や腫れ、口角炎、尿の黄変、歯痛、喉の痛みなどである)

百度百科「上火」のページより、簡体字を適宜置き換え、翻訳は筆者

中医学の考え方では、人間の体内には陰陽2種類の気があり、それらのバランスが崩れると悪い症状が出る、とされているそうです。「上火」はこのうち、「陽」のほうの気が強くなることによって起こるといいます。

日本語で「のぼせ」と訳されることもありますが、それだけでは症状すべを説明したことにはなりません。上記のように、そこにはさまざまな症状が含まれています。上に挙げられている以外にも、口内炎や吹き出物、蕁麻疹など皮膚の痒みが「上火」とされることもあります。

つまり、中国の人にとって「上火」とは体の中に熱がこもった状態そのもの、およびそれに伴って現れる症状の両方を指す言葉であると考えられます。

「上火」はあらゆる病気の元とされており、何か体の不調があればまずこの「上火」ではないのか、と中国の人々は言います。

食べ物と密接に関わっている

「上火」は睡眠不足やストレスなど、日本でも不調のもととされることのほか、食べ物によってもたらされるという考えが中国の人には根強いです。

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