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中国の教育改革がしれっと終わりそうな件

3年前、大きく話題になった中国の教育改革。僕のnoteでも扱いました。

その内容は「学校の宿題を大幅に削減」「学習塾はすべて潰して非営利化へ」などという過激なもので、教育業界はほとんど壊滅状態にまで追い込まれました。その目的は、高騰した教育費を抑えて教育の公平化を目指すことや、子どもの肉体・精神に及ぶ健康被害を抑えるためでした。

ところが最近になって、少し風向きが変わってきています。

先日、国務院から「サービス消費の質の高い発展の促進に関する意見」が発表されました。簡単にいうとサービス業を発展させて国民のニーズに応えられるように計らいなさいということなのですが、要するにその狙いは国民にもっとお金を使ってもらえるようにしなさい、つまり内需の刺激であることは明らかです。

「意見」の中では飲食や介護、エンターテインメントなどさまざまな業界に対する方針が掲げられているのですが、その中にしれっと「教育・研修」が入っていたのです。

(七)教育および研修消費。高等教育機関、研究機関、社会組織が質の高い教育資源を開放し、社会の多様化・個別化された学習ニーズを満たすよう促進する。職業教育の質を向上させ、効率を高めるとともに、高水準の職業学校および専門教育を構築する。社会の研修機関が公共のニーズに応じてサービスの質を向上させるよう促進する。学校が関連規定に基づき、サービスの購入などの方法で相応の資格を持つ第三者機関を導入し、学問以外の質の高い公益的な放課後サービスを提供できるよう指導する。国際的に著名な高等教育機関との中国国内での高水準な協力教育を奨励する。

中国政府網より、ChatGPTで翻訳

よく読むとその内容は職業訓練に限定されており、決して「学習塾を再開しますよ」と言っているわけではないのですが、ともあれこれは教育業界に対する規制を緩めていくという市場へのメッセージと受け取られたようで、教育機関の株価が急上昇するなどの現象を引き起こしました。

そんなわけで、すわ「双減政策」(教育改革の通称。宿題と家庭外学習をダブルで減らすという意味)が終わりを迎えるのでは、という観測が高まっています。

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これが本当に「教育改革やめます」(少なくとも学習塾に関しては一部復活させます)という政府のメッセージだと仮定して、なぜたった3年で中国の教育改革は頓挫してしまったのでしょうか。

考えられるのは、「不景気」と「改革の効果」という2点です。

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