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アメリカの対中国半導体規制が、地味にえげつない件

世間的にはあまり騒がれていませんが、地味にとんでもないことになっているらしいニュースがあります。

それは、先日発表され、今まさに実効性を持ちつつある、アメリカによる対中国の先端半導体の輸出規制の強化です。

これまでにもアメリカは、半導体分野で中国に対する厳しい規制を行ってきました。

有名なのはファーウェイに関するもので、トランプ政権のころには安全保障上の懸念を理由に、ファーウェイ製品のアメリカでの販売を規制すると同時に、ファーウェイ側によるアメリカの半導体製品や生産設備の購入を大幅に制限しました。

これらのトランプ時代に始まった半導体に関する措置は、バイデン政権以降も引き継がれており、最近になってまたその動きが強まってきたということです。しかし、その中でも先日(10月7日)になって米商務省が発表した新たな制限の発表は、これまで以上に中国を追い詰めるものとして話題になっています。

具体的には、以下のような内容です。

・輸出規制品目リストに、先端半導体及び製造装置、さらにスーパーコンピューターなどに用いられる関連製品を追加(規制対象品目の拡大)

・エンティティ・リスト(取引制限企業のリスト)内の企業に対する輸出内容制限の拡大

・製品や製造設備だけでなく、アメリカの技術を用いた第三国で製造されたものの輸出に対してもアメリカの監視対象に置かれることに

・中国で軍事その他の目的に使われる可能性を排除できない、用途が確認できていない「未検証エンドユーザー」に対する禁輸の制度化(事実上、「アメリカ側が用途を確認することに協力的でない企業」への締め出し?)

・多くの規定において、許可例外が認められていない(たとえば上述のファーウェイ等に対する規制では、条件付きで輸出が認められる場合も多数あったが、今後そのような例外が認められなくなる可能性が高い)

各参考資料から筆者が整理(正確性については留意をお願いします。文末に参考資料を示しています)

これまでにやっていたような禁輸措置をさらに厳しくしたうえ、その対象品目も対象企業も一気に増やす、という感じです。もうほとんど「中国には、もうアメリカの半導体は1枚も売ってやらん!!」と言っているようなものです。

中国は近年、半導体技術に巨額の投資を行い、「自給自足」を行えるように躍起になってきました。しかし、その核心技術や生産体制においてはまだまだアメリカへの依存を抜けきれていないどころか、基本的にはアメリカの製品・技術がなければ、国内外への供給を成り立たせることはできません。

なので今回の禁輸措置により、中国の半導体産業、ひいては中国の製造業が多大な影響を受けるのではないかとされています。

離職か、国籍剥奪か

もうひとつ、上記のような直接のモノの供給に関する規制の他に、人材に対する規制も始まっているということも注目に値します。

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