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中国の「ソト」に身を置かなければ、中国について語れなくなっていること

こんな記事を読みました。

以前は中国の国営放送であるCCTVに勤務し、いまは日本を拠点に活動しているジャーナリストの王志安さんへのインタビューです。

王さんはかつて、CCTVで中国社会の闇に切り込むような優れたドキュメンタリーをいくつも手がけてきた人物です。しかし、近年では強まる報道規制のもとでそういった番組づくりが自由に行えなくなり、退職を決意。その後は日本に移り住み、現在はYouTubeを中心として活動しています。

僕は恥ずかしながらこの王志安さんについてまったく知らず、こんなすごい人がいるんだな、という感想を持ちました。

YouTubeについても、場合によっては逆張りとしての「反中」に終始してしまうことも多い、在外中国人による中国評という分野において、決して偏ることなく、地に足をつけて中国について語るもののように思えました。

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王志安さんがCCTVを辞職し、日本に来ることを決意したのは、前述のように近年の習近平政権で強まる報道への圧力が理由です。

——2017年にCCTVを退社された理由を教えてください。

王:ふたつあります。ますひとつは、ネットメディアの台頭とテレビメディアの没落です。CCTVの影響力が徐々に落ちているのは、現場の肌感覚として覚えていましたから。ただ、もうひとつの理由は報道内容の制限がどんどん強まったことです。やりたい報道ができない、やった取材が報じられない……。

上掲記事より

冒頭記事や、同インタビューを別内容でまとめている文藝春秋10月号の記事によると、以前は国営放送であるCCTVにおいても、王さんの所属していた調査報道を扱う部門はある種の「特別区」となっており、自由な活動ができたそうです。

しかし、習政権のもとでそういった内容に対する風当たりが強くなり、「正能量zheng neng liang」、つまりポジティブで人々に希望を与えるような内容のものしか作ることを許されなくなってきたといいます。

そんななか、王さんが制作した番組の放送が許可されないということが増え、最終的には退職を決意。そこからもSNSアカウントの突然の凍結など理不尽なことが重なり、中国では自分のやるべき仕事ができないと判断。日本に拠点を移すことになったそうです。

僕はこれらのエピソードを読んで、中国の「ウチ」にいながらにして中国について語ることが本当に難しくなっているんだな、ということを思いました。

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