日本人と中国人、「融通が利かない」のはどっち?
中国で働いている日本人は、よく「中国人は融通が利かない」といいます。人が言っているのを聞いたことがありますし、自分で言ったこともあります。
たとえば、中国人スタッフにパワポ資料の翻訳をお願いしたとき、戻ってきたファイルのレイアウトがグチャグチャになっていたら(日本語と中国語は文字数が違うので、同じレイアウトに収まることはほぼありません)、「翻訳するだけじゃなくて、見た目もちゃんと整えてくれればいいのに。融通が利かないなあ」と思ったり、言ったりするかもしれません。
あと自分の経験で言えば、とある雑貨に使うパッケージの紙箱の生産をとある工場に頼んだのですが、実際に出来上がって届いたものを試そうとすると、寸法がおかしく、箱として組み立てられない、ということがありました。
原因を調べると、発注元から来た箱のデザインのデータがそもそも間違っていて、こちらの中国人スタッフがそれを確認しないまま工場に投げてしまっていたことがわかりました。
つまりデータを確認していないこちら側の落ち度なのですが、そのときに協力工場の中国人から言われたのが、「組み立てられないのはわかってたけど、何か意図があるのかと思ってそのまま印刷して出荷した」ということでした。
いやこっちが悪いんだけど、気づいてたならせめて融通を利かせて、大量に(1万枚だったかな)印刷する前にひとこと言ってくれてもいいのに、と多少のモヤモヤはありました。
こんなふうに、日本人から中国人に向けられる不満は「言われたことを、言われた通りにしかやらない」「最終的な目的や結果から逆算して仕事をしてくれない」「状況からやるべきことを判断してくれない」というベクトルのものが多いです。それらを指して、日本人は中国人を「融通が利かない」と評価します。
たぶん日本人は、他者に対する期待が高いのでしょうね。そりゃあなんでも言わずに自分で考えてやってくれるのは楽ですが、結局のところ他者は他者でしかないので、過度な期待は禁物でしょう。異文化という壁が間に挟まっているのだからなおさらです。
この記事にもありますが、中国の人々はたとえば上司からの指示に対して「言われたこと以上のことをやるのは失礼」であるとさえ捉えているフシがあり、越権行為などにも非常に敏感です(昔やらかしました)。
「一を聞いて十を知る」のうえで、先を読んで行動までしてくれるなど、中国では望むべくもないのです(この言葉の由来は孔子らしいですけどね)。
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いっぽうで、中国人は中国人で日本人のことを「融通が利かない」と評価していたりします。
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