「コンビニの接客なんて海外みたいにテキトーでいいじゃない」に思うこと

今朝のことです。

ランニングに出かける前に飲み物がほしくなり、手近なコンビニを探しました。ほどなくして、一軒の店を見つけました。

店の前では20代半ばくらいの兄ちゃんが、椅子にぐでーんと座って、スマホを見ながらケタケタ笑っています。僕が店に入ろうとするとその兄ちゃんはのっそりと立ち上がり、レジに立ちました。どうやらこの兄ちゃんが店員のようです。

僕が選んだ商品をレジに持っていくと、兄ちゃんはスマホを机に置いて動画をチラチラ見ながら、ペットボトルのジュースをがぶ飲みしています。

僕が商品を渡し、スマホから決済用のQRコードを差し出すと、兄ちゃんはがぶ飲みの姿勢のまま、顎と指でレジの端のほうを指差しました。そこには、QRコードの読み取り機がありました。どうやら、これでコードを読み取って勝手に会計しろということのようでした。

会計を済ませて僕が出て行くと同時に、兄ちゃんはまた店の前の椅子に戻っていきました。そしてまた彼がスマホを見てケタケタ笑い始めるのを背中で感じながら、僕はランニングを始めました。

コンビニ店員、テキトーでいいじゃない問題

「海外のテキトーなコンビニの店員」というのは、SNSなどで定期的に盛り上がるテーマの一つのように思います。主に海外経験者から、外国のコンビニの店員は日本に比べてみんなリラックスしてるし、音楽を聴いたりとかとか本を読みながらテキトーに接客してるよ、というようなものです。

その文脈の多くは、「日本は店員さんとかがキッチリしすぎてて息苦しい。もっと海外を見習ってテキトーでいいのに」「そもそも日本人は末端の労働者にまで高品質なサービスを求めすぎ」みたいなことです。

僕自身も、おおむねこれに賛同はします。中国も「海外」のご多聞にもれず、そのへんの店の接客なんかはまあテキトーというか、ふわふわしながら仕事をしています。冒頭の兄ちゃんなんかはその典型です。

それでもコンビニであれば別に困ることはないですし、腹が立ったりもしません。慣れたからそう思うというのでもなく、「これでいいじゃん」と普通に感じます。

たまに日本に帰ると、どこにいっても日本の店員さんが肩肘張って仕事をやってるのを見て、逆にこっちが疲れるなあ、もっとテキトーでいいのに、なんて思います(それも最近はご無沙汰ですが!)。

たぶんそういう息苦しさって、日本の消費者の厳しい目に由来するのでしょう。もう少しみんなが寛容になってもいいのになあ、みんなしんどい思いして働いてるんだしさ、と思ったりすることもあります。

手放しに賛成はできない理由

ただし、ですね。

そんなふうに「テキトーな店員」の姿を中国で知り、別にこれでもよくない? とおおむね考えるようになった僕ですが、それを100%肯定するのもちょっと違うよな、と思う部分があります。それは中国に暮らしてきて、そうした社会のデメリットにも、少なからず触れてきたからです。

僕が「テキトーな店員」というものの存在を、心のどこかで全肯定できない理由。それは、

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