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中国の怪しい日本語、最前線はいま

主にアジアの変なものに関する記事を書いているライター・ライスマウンテンさんにお声がけいただき、こちらのデイリーポータルZの記事に写真を提供させていただきました。

中国の地方都市で見つけた、いまどき珍しいくらいに怪しい日本語が満載された飲食店を撮ってきました。おそらく怪しい日本語に関するもののうち、今年最大級におもしろいものになっていると思います。ぜひ一読をお願いします。

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最近フォローしていただいた方にはひょっとしたらご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、僕は中国在住者として、中国で商品パッケージなどに多数観察される、味のある奇妙な日本語を収集することをある種のライフワークとしています。

そのことに関するnoteもいくつか書いています(どちらも無料記事です)。

これらの「日本人には作れない日本語の文字列」を見ると、たまらなく好奇心が刺激されたり、これ以上ないほど脱力したり、癒されたりします。中国に来てから始めた趣味は皆無に等しい僕ですが、これだけはずっと続けていきそうな気がします。

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さて、そうはいっても、中国における怪しい日本語の現状は、あまり芳しくはありません。

というのも、中国においてこれらの怪しい日本語が作られる背景には、とりもなおさず日本的なものへの信頼感や憧れが背景にあるからですが、近年はそういうものがどんどん薄れていることがその大きな原因です。

たとえば怪しい商品のパッケージに日本語が用いられるのは、多くの場合その商品を日本製のもの、日本の会社のものに見せかける意図があるからです。その裏には、「日本のものなら品質が優れている」「先進国である日本のものだったら高級品だから信頼できる」というイメージが存在していると考えられます。

しかしご存知のように、世界経済における日本プレゼンスは下降の一途をたどっており、先進国の座にしがみつけるかどうかも怪しい状態です。そんなイメージはもちろん中国にも伝播しており、パッケージに日本語を出すことの意味はどんどん薄れてきているといっていいでしょう。

ましてや、いまは日本的なものを掲げることそれ自体にすら、ある種のリスクが生まれている状況です。

かつて「日本品質」を掲げ、大きく成功した名創優品ですら、とある出来事をきっかけに「脱日本化」を宣言するにいたりました(「脱日本化」の流れ自体はいまに始まったことではなく、以前からあったものですが)。

その他にも日本への風当たりが強くなっていることを感じさせるような出来事がたびたび起きており、今後は日本的なものを表に出すこと自体が、これまで以上に躊躇われるようになるかもしれません。

そんなわけで、怪しい日本語商品も基本的には発見がどんどん難しくなっています。かつてはECサイトをちょっと探せばすぐに見つかった怪しい日本語商品なんかも、いまではなかなか「新作」を見つけることが難しく、厳しい日照りが続いている状況です。

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とはいえ、怪しい日本語の灯が完全に消えたわけでもありません。

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