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怪しい日本語の一大ムーブメント「パチミレー」を振り返ってみよう

2020年の初め頃、パンデミックによる恐怖が世界中を覆う直前。Twitterの一部界隈(多めに見積もって10人くらい)を騒然とさせたムーブメントの中心に、僕はいました。

そう、パチミレービスケットです。

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まず、パチミレービスケット(以下パチミレー)とは何かについて説明しておきます。

主に高知県で高い人気を誇る名産お菓子の「ミレービスケット」がある日、中国のとあるインフルエンサーにライブコマース上で紹介され、中国全土で爆発的に売れたことがありました。それ以降、中国ではこのミレービスケットのパッケージを模倣した類似品が大量に作られ、市場に出回ったのです。

そのパッケージにはあまりにも脱力感のある、もしくは奇妙すぎるインパクトを放つ日本語が書かれているものが多数あり、いわゆる「怪しい日本語」に目がない一部の好事家(ハオずか)たちの心を一瞬で虜にしました。

手前味噌で恐縮ですが、このパチミレー・ムーブメントに最初に気づき、それを日本の皆様に最初に紹介したのはおそらく僕ではないかと自負しています。以下は当時のツイートです。

その後もパチミレーのバリエーションは急増していき、「日本 饼干(ビスケットの意)」で各種ECサイトを検索すると、パチミレーの新作(?)がいくらでも見つかるという、好事家(ハオずか)にとっては夢のような日々が続きました。

そのうち、各種パチミレービスケットを収集し、レビューするものまで現れました。僕です。

この頃は家に次々と届くパチミレーを狂喜乱舞しながら撮影し、とりあえず開けて食べてみては「正直、味は似たり寄ったりでどれも変わらん」という当たり前の事実を確認したりしていました。同じ味のビスケットを高頻度で食わされる嫁は「意味がわからなかった。本当に辟易していた」と当時を述懐しています。

そうそう、こんなこともありました。ちょっと何を言っているのかわからないかもしれないので以下は注意して読んでほしいのですが、「ニホンザル王」という名前のパチミレーを注文したのに、実際に届いたのは「クラスの内阁」というパチミレーだったのです。どうですかみなさん、ついて来れてますか?

「ニホンザル王」を求めてやまなかった僕は、一応ECサイトのカスタマーサービスに問い合わせて「写真のものと違うのが届いたんですけど」とクレームを入れてみました。

すると、先方からはひとこと「アップグレード版や」という、あまりにも潔い返事が。「光线问题」に並ぶ、中国で膝から崩れ落ちるまでに笑い転げた出来事の一つと相成りました。いまとなってはいい思い出です。

そんな数々の笑いと脱力を僕たちに届けてくれたパチミレーですが、近年では下火というか、以前ほどの勢いはなくなってしまいました。定期的にECサイトをチェックしていますが、今ではブーム当時に作りすぎたパッケージの在庫消化と思われる製品がポツポツと売られているのみ。新作(?)もここ最近はめっきり出ていません。

たまにスーパーの計り売りお菓子コーナーなどでは、パチミレーを思い起こさせるようなデザインのパッケージが見られることがありますが、当時のようなインパクトとはありません。あの時の興奮はもう、味わえないということなのでしょうか。

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いまではあの頃の盛り上がり(10人くらい)を懐かしく思う日々です。かつてはパチマッキー津上スマート便器など定期的に盛り上がってきたこの界隈ですが、中国においてさまざまな規制に拍車がかかり、舶来ものに風当たりが厳しくなる昨今、あのようなムーブメントはもう見られないのかな、と考えては少し寂しくなります。

万が一次なるムーブメントが起こった時に乗り遅れないよう、またはそれを自分で発掘できるように、怪しい日本語ハンターとしての牙を研ぐことだけは忘れないでおきたいものです。

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なお明日のnoteは、今回紹介しきれなかった名作パチミレーを画像付きで紹介する予定です。まさかのパチミレー2日またぎです。乞うご期待!

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