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中国を知っていると相対的に評価が上がる国があるらしい

今日は短めの、ちょっとしたコラムです。

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昨日は安倍晋三元首相の国葬でした。

僕は国葬をめぐる議論や賛成・反対の論争とはなるべく距離をとり、国葬のこと自体をなるべく気にしないように心がけていました。そういう風に自分とは関係のないことにしておかないと、なんか疲れる気がしたからです。

よって昨日も国葬の中継やニュースなどを見ることもなく、淡々と過ごしていたのですが、最近いつも見ている日本在住の中国人ジャーナリスト・王志安さんのチャンネルで取り上げられていたので、少しだけ見てみることにしました。

僕自身、国葬の様子自体には「ああ、こんな感じだったんだ」以外に特に感想はなかったのですが、一緒に見ていた嫁がちょっと印象的なことを言ったので、今日はそれについて書いてみたいと思います。

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嫁は、国葬に反対する人々のデモの様子を見てこう言いました。

こんなふうに反対のデモをやっても、警察が強行に押さえつけたり、無理やり逮捕したりしようとしないんだね。しかも、こういう様子は日本のテレビとかにも普通に映ってるんでしょう? 中国だと、絶対にありえないと思う。

現在の中国においては、政治的な抗議運動やデモをやる自由というのは基本的にはありません。

もしそういう動きが見られた場合、「治安維持」の名目で警察ないしどこからか集められた人々(地域の政府筋や党組織と繋がっている黒社会の……いやなんでもないです)が飛んできて、すぐに鎮圧されてしまうことでしょう。そういった社会ですから、人々が団結して行動を起こすことは、かなり難しいです。

とはいえ、いまの中国でそうしたデモ的なことがまったく起きていない、ということでもありません。たとえばいまのコロナ禍においては、住民が厳しい管理措置に不満を溜め、社区(≒団地)の管理者に集団で文句を言うケースがよく見られます。

コロナ以外でも、たとえば先日起きた河南省の地方銀行による取り付け騒ぎの際には、預金の引き出しを求めて抗議する預金者と、それを抑えようとする警察その他との間で、暴力をともなう衝突が起きました。この時には何人ものケガ人が出ています。

ただこういった騒ぎが起きても、それは中国国内ではほとんど報道されませんし、SNSなどネット上でさえもその手の情報があがると、これまたどこかから不思議な力が働いて消されてしまいます。「デモや暴動があった」ということ自体を人々に知らせることすら、中国では許されていません。

中国における「治安維持」は、かように周到で、徹底しています。

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こういう中国の現状を知っていると、日本で国葬みたいなことに関してあーだこーだ自由に言えていることは、なんて幸せなことなのだろうな……と思えてきます。

正直、国葬のデモに参加するヒマそうな中高年を見てなんだかなあ、と思うところはあったのですが、それはそれとしてこういう活動が封殺されるべきとは全く思いませんし、こんなふうに自分の意見を身の安全を確保した上で言える自由というのは、やっぱり大事にした方がいいよなあ、とも思います。

そんなふうに、相対的な日本の自由を感じられた国葬の動画だったのですが。

それはさておき、中国に暮らしているともう一つ、「実はけっこう自由な国なのでは」と思えてきてしまう国があります。

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