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車いすの夫のこと3:出会いから結婚

大手の企業に正社員で勤めている=経済的に安定している
アメリカ留学して語学が堪能=グローバル
ひとり暮らしをしている=生活力がある
テニスをしている=趣味が一緒
以上のことから、出会ってすぐに結婚相手として意識してみるようになりました。自分でも結婚相手を決めるのにかなり打算的だとは思いましたが、逆に「車いすを使用している」ということは、全く結婚を考えるにあたり、障壁にはならないんだなあと、自分でも不思議に思っていました。

夫と知り合ったことで、私の視野は広がりました。
・下肢の使えない人は、手で操作できる「手動装置」というものを取り付けることで車を運転している
・車いす用の駐車場の幅が広いのは、車いすを横付けして車の座席に乗り移るためにドアを全開にするため
・運転席に座ったら車いすを折りたたんで車に詰め込むという作業をひとりでやる
・脊髄損傷は歩けないだけじゃなくて排泄の問題も抱えている
・日本という社会は車いすではこんなに不自由
・車いすの人は意外にたくさんいて、普通に家庭を持っていて、普通に仕事をしていて、普通に趣味を楽しんでいる人が当たり前のようにいる
などなど、今まで知らなかったことをたくさん知ることができました。そして、同じように車いすを利用しているように見えても、人それぞれ症状や事情が違っていて、一概に「車いすの人は〜」とは言えないんだということも知りました。

車いすユーザーの目線で世の中を見ると、今まで見えなかったものが見えるようになっていきました。人はこんなにも物の見方が変わると見えるものが違ってくるのだと、実感したのです。

数カ月後には交際が始まりました。そして、その後、私が専門学校を卒業して編集の仕事が決まったり、実家を出てひとり暮らしを始めたり、そしてやはり私の両親の反対もあり、結婚に到るまでにはかなり時間を要しました。

紆余曲折いろいろありましたが、出会ってから5年後に結婚しました。かなり強く反対していた私の母でしたが、最終的には「苦労するのは私(母)じゃないんだから、まあいいか」と思ったらしく、そこからは全力で私たちを応援してくれるようになりました。

そして子供を授かることが、こんなにも奇跡なんだということを思い知らされることになりました。

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