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【好きな作品】王道のようで異色?「ドラゴンボール」を思い返す

飛ばして良い前置き


普段夢も目標もなくゴミ同然の生活。
これといって継続する趣味もなく熱し易く冷め易い。一ヵ月も経たずに飽きてしまう。

そんな中以前からちょっとした楽しみなのが「ドラゴンボール」を全く知らない=ミリしら?な人による「ドラゴンボールZ カカロット」の初見実況である。


国民的どころか世界的人気を誇る漫画であり今なお新作が作られる化け物じみた作品。
だからこそ数ヶ月に一度ふと思い返して検索しては新鮮な反応を見れるのが楽しい。ミリしら実況の中でも飽きない。



ゲーム実況を見ていて気づいたのが、最後に原作を読んだのが10年以上前にも関わらずゲーム内で端折られた部分を意外と覚えていることに自分でも驚いた。

サイヤ人編でラディッツを道連れに悟空が死んだ後、悟飯を連れ去ろうとするピッコロにクリリンが食べる気だな…!のギャグだとか、魔人ブウ編で老界王神に乳を揉ませる約束で悟空に激昂するベジータだとか。
物語上描写を省いても問題はないものの好きなワンシーンがいくつかあるので寂しかった。…チチの乳はコンプラが無理か?

思えば自分が初めて単行本を買った漫画がドラゴンボールだった…かもしれない。エグゼとどっちが先だったか。



せっかくなので思い出をgdgd掘り返しながら改めて特徴を長々と。




ドラゴンボールの思い出

最初にドラゴンボールを認識したのがいつだったか覚えていないが、明確に覚えているのはドラゴンボールGTの最終回。



よく分からない敵をデカい球(元気玉)で倒したら悟空が龍に乗ってかつての仲間たちの元へ。

その後一気に時が経ち100年後。
あまりに急でよく分からなかったが大きくなった悟空が通り過ぎる。

「悟空がいたから楽しかった。
ドジで明るくて優しくて、
そんな悟空がみんな大好きだったから。
…これで、ドラゴンボールのお話はおしまい」


なんといきなり物語の最終回を最初に知るという。


DANDAN心魅かれてくを背景にこれまでの登場人物がずらーっと映されていく。勿論どんなキャラなんだかさっぱりわからない。


それでもこれまで出演したキャラクターのクレジットが延々と流れる映像には何かすごいものを見ていると漠然に感じたし、Cメロ?以降で超サイヤ人覚醒からの敵が次々消滅するシーンは迫力があった。

ちなみにこの最終回はVHSに録画されていたのもあり、ビデオテープの寿命が来るまで何度も見返した。ぺたぺた焼き絵や親子ちょきんぎょ?のCMだとかを覚えている。


当時まだ幼稚園すら通っていない。恐らく父親が録画したのだろうか。
超サイヤ人4なんてのも記憶になく知るのはだいぶ後。




それから数年が経ち、20年近く前の小学生の頃。

当時水泳の習い事をしていて都度行われる昇級試験みたいなもので、合格したらブックオフで中古の単行本を数冊買ってもらえる約束みたいなものがあった。
…今思えば中古であることに嫌悪感がなかったのが不思議。

天下一武道会が終わったのも束の間、クリリンが殺されピッコロ大魔王なる異質な怪物が現れた時の衝撃。明かされる悟空の正体。存在は知っていた超サイヤ人へ覚醒する経緯にベジータが超サイヤ人になった時の衝撃…と今でも覚えている。

タイミングは分からないがアニメはファミリー劇場で断片的に観たし、劇場版は近所のTSUTAYAでVHSを借りて全て観た。
最終回しか知らないGTもしばらくしてから全部観た。


魅力的な所

①破綻しないライブ感


原作を読んでいた当時は全く疑問に思わず最初から最後までずーっと面白かったし、後にアニメ化きっかけでジョジョを読むまで自分の中ではぶっちぎりの面白い漫画だった。

強いて言えばかめはめ波で上半身を吹き飛ばされたのに再生したセルの「核」問題
あれは矛盾してない?と読み返して首を傾げた思い出。結局どうなんだろ。

それ以降も魔人ブウ編は蛇足!だなんてネットの一部の感想にも鼻で笑っていたり全く気にしなかった。

…が、改めてゲーム実況を見ていると思っていたよりライブ感が強いんだな、ということに気づいた。


原作者の鳥山明先生はそもそもマジュニアを倒し悟空が天下一武道会で優勝した所で終わらせるつもりだった…と聞いたことがある。
有名なもうちょっとだけ続くんじゃもその名残だったんだなと。ちょっとどころではないが。

なので後のサイヤ人編以降の全てが当初は予定していない。何もかもが後付け。

にしては悟空が大猿になる・尻尾が生えている理由をサイヤ人だから、と繋げたのは上手いと思うし違和感がなかった。


よく耳にするのが人造人間編の紆余曲折。
担当編集とのやりとりで、


人造人間がジジイとデブ→17、18号を出す

ガキじゃないか→セルを出す

セルを出すがかっこ悪い→第二形態を出す

第二形態を出すもバカみたい→早々に完全体

の流れ。
やはり読んでいる時は全く気にならなかった。


他にもフリーザや魔人ブウが変身するのももしかしたら後からだろうし、今にして思えばフュージョンが最後の望み!からの唐突なポタラはゲーム実況を見ていてあまりにも急で笑ってしまった。

物語全体が矛盾・破綻することなく上手いことまとまって進んでいくのだから不思議だし面白い。

鼻がないじゃないか!と言われたはずなのに鼻くそを飛ばすクリリン。

何というか辻褄合わせの真骨頂だと思う。



加えて本編を読んでいる中での衝撃。


先に挙げた天下一武道会を終え和やかな雰囲気のまま終るかと思いきや突如訪れたクリリンの死。

ネタにされてはいるが絶望の象徴だった「私の戦闘力は53万です」。

穏やかなサイヤ人だけがなれるはずの超サイヤ人にベジータがなった瞬間。

漫画とアニメどちらにしろそれらに直面した時の「えっ」とザワつく初見ならではの感覚。
鳥山先生はサプライズと雰囲気作りの天才だと思う。

個人的に1番好きなのが人造人間編でトランクスが乗ってきた物とは別のタイムマシンが発見され、近くに奇妙な生物の抜け殻が見つかった際の気味悪さ。
人造人間16〜18号に気を取られている中突然ぶち込まれた、あの一刻も早くその場から立ち去りたい文字通りの気味悪さが堪らなく大好きだ。
背筋が凍るという表現が正にそれだった。

余談でジョジョを読むまでぶっちぎり、と体感した大きな理由がその気味悪さ

ジョジョ4部で追い詰めたはずの吉良吉影が姿を変え人混みに紛れ、その辺の一般人に成り変わって日常生活に成り潜むあの気味悪さだ。
正にセル編以来の衝撃だった。


②主人公らしくない悟空


単行本を一度読破してから読み返して思ったことで、悟空が主人公ではあるけど途中から主人公ではないように感じた。
方向転換を試みた魔人ブウ編序盤の悟飯よりもっと以前からだ。



ピッコロ大魔王を倒し次の天下一武道会で仲間たちが集う中現れる急成長した悟空。


いきなり大きくなった悟空による違和感もあるが、雨の中の再会が悟空視点で始まらないのだ。
それまで主人公=主観 という先入観が強かったので後から合流する、という流れが斬新に思えた。



ドラゴンボールを巡る「悟空の」冒険だったものが神様との修行を転機に戦力的にも雰囲気的にも妙に達観しているかのような印象。
同じ釜の飯を食ったクリリンが親友、とは不思議なことにこの時からあまり思えなくなった。


試合中の仲間たちの解説はまだしもマジュニアとの決着後も神様の語り、亀仙人の語り、そして1番最初に悟空と出会ったブルマの内面と、強いて言えば相変わらず戦いてえ!ぐらいでそこまで悟空の内面が吐露されていない。

その後もナッパとベジータ、ギニュー特戦隊、フリーザ、セルと「ヒーローは遅れてやってくる」の代名詞ではあるものの悟空以外の視点を軸に物語が進行していく。

明確に一線を退き後の世代に託したセルゲーム以降よりも前からこの傾向が見られるが、鳥山先生曰く悟空は人数が多いとあまり喋らない一匹狼気質で溜めて溜めてようやく駆けつけるのも意図的に描いたらしい。

瀕死のベジータを見逃す・フリーザと戦う為願いを変えてもらう等「自分の欲求を中心とした頼み事」が多い反面、元々悟飯爺ちゃんと死別してからは野山で一人で生活していたので他者の力に縋る・依存するようなことは例外を除いてほとんどない。

Zの最後の映画なんて大々的に悟空がやらねば誰がやるとまで言わしめててちょっと笑ってしまう。

悟空を中心に沢山の出会いがあったのは事実だが別に悟空自身から意識的に働きかけている訳ではないのも不思議。それが悟空というキャラクターの魅力なのかもしれない。


…悟飯とベジータの成長物語


それを踏まえて改めて思い知らされるのが、サイヤ人編以降のメインはやはり言うまでもなく悟飯とベジータだろう。


改めて掘り下げる必要もないのだが、敵が強大でも幼少期の頃から第一線で闘い続けた悟飯。

それと根は悪人であるにも関わらず悟空をきっかけにガラッと変わったベジータ。ナッパと地球さへ侵略し仲間達を次々殺めて嫌われたであろうキャラクターがまさか最終的に地球人と家庭を持つとは。…地獄のナッパはどう思っているのかちょっと興味深い。


悟飯はまだしもベジータも同様に、作中で成長する過程に読者が愛着や親しみを持てるのはこれまた奇妙であり面白い。


③日常・行間がもっと見たい

無印の頃のやりとりは勿論、本格的なバトル漫画に移行した後も僅かな日常パートがもっと見てみたいのも不思議だ。

サイヤ人編以降は基本的に強敵が迫っている忙しない状況が続いてるのに、ナメック星へ向かう直前や3年後に人造人間が現れる予言をされた後の何気ない会話など。
台詞の言い回しなのか温かいというか緩さのような独特な雰囲気。あれが堪らなく好きだ。


その割には合流する機会がめっぽう少なくて驚く。
確かマジュニアが出場する天下一武道会まで3年、サイヤ人が襲来するまで半年、人造人間が現れるまでの3年

作中でも「大きくなったな」「成長したな」という台詞が度々見られたり赤子のトランクスに驚くことからも一切会ってないことが察せる。その間ずーっと再会せずに修行一筋なのも珍しい。

その分基本的にパラレルではあるが劇場版は本当に嬉しかった。事件が発生するまでのワチャワチャは見たかった需要に応えてくれる。

それとまだ「超」どころか「改」すら放送されていない頃、ブウ編後と最終回までの間を描いた短編アニメの「オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!」。まさかの新作アニメの供給で当時は心底嬉しく泣いたのを覚えている。


原作のストックに追いついてしまう為連載中の作品特有のアニオリもドラゴンボールは魅力的だった。


カカロットにもまさかのミニゲームとして収録され笑った悟空とピッコロの教習所、セルゲーム後とブウ編までを食い繋ぐためのパイクーハンが登場するあの世一武道会

他にも劇場版のガーリックJrが再登場する魔凶星原作に逆輸入された悟空の父:バーダックのTVスペシャル

一向に消滅しないナメック星や長いあらすじなど苦肉の尺稼ぎもあるが。




原作後のドラゴンボール


原作がとっくに完結しているにも関わらず先の短編アニメ後に改や超、そして完全新作映画と長く展開してきた。

家庭環境や安直なエモ売りが嫌い、少し原作尊重な厄介部分もあり改以降のテレビシリーズはほとんど観ていない。強いて言えばアラレちゃんがコラボする回ぐらいだったか。


それに漠然と「原作の悟空の聡」が削られて個人的にあまり好きではないのもある。未来トランクス編?や宇宙サバイバル編は気になるが…


劇場版は復活のF以外は映画館に足を運び観てきたが面白かった。
まさかの悟空が負ける展開、パラレルの存在だったブロリーのドラゴンワールド参戦、嬉しかった悟飯が主役となんだかんだで楽しかった。


新作が発表されたダイマはテレビがない・観れない環境なのもあり正直興味はないが今後も展開されていくことは喜ばしいことだと思う。



かつて自分を夢中にさせたドラゴンボール。

原作の最終話を見届けた直後は「最終回まで読んだ」という外面の読後感より「ここでこの世界とお別れなんだな」と寂しさを感じる自分に驚いた。そう感じさせた作品は今でも一握りしかない。


これからも色んな人の心を突き動かす作品なのは間違いないし感化されていく反応が楽しみだ。

フィギュアーツのドラゴンボール。
人間タイプは肌色で分割線が気になってしまい基本買わないがバーダックは好きなので購入。
あとジャネンバを商品化してほしい…





追記:2024/3/8

昨夜夜勤の待機時間中にこの投稿をした翌日。

夜勤明けの帰路とみぞれが被りイライラしながら帰宅、天気が晴れてきた頃だった。

鳥山明先生の訃報。

投稿したばかりで思い出に浸っていたので尚更驚いた。
先に書いたドラゴンボールの新作だけでなくサンドランドも新作が企画されコメントが掲載されたばかり。

人はいつか死ぬものだ、と冷めた考えなのでこれまで昭和を彩った有名人が令和に亡くなるのもまあ高齢だったし…、或いは闘病していたし…と正直衝撃は少なかった。

そのどちらにも該当せずまだ新作に携わる最中だったので本当に驚いた…


詮索は無粋だが急性硬膜下血腫だそうなので外的な怪我による予期せぬ死去だったのだろう。

今日は日本だけでなく全世界が悲しみに包まれるだろう。

素晴らしい作品をありがとうございました。ご冥福を。

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