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現代文はどうやって成績を上げるのか

現代文ってとても難解に書かれていますよね。


現代文(評論)は難しい語彙や概念、文学的で読み取ることが難しい比喩など、普段の日常会話で見かけないような日本語で書かれています。
だとすれば、「現代文なんて日本語だから勉強しても無駄だ」というように捉えてはいけません。なぜならば、日常会話だけでは身につけられないより高度な日本語力が要求されているからです。


では、日常会話では使われないような語彙を多用した難解な現代文を読むためには、どのような対策をすればいいのでしょうか。この記事では、現代文を正確に読み解く上で必要な能力とその習得法について詳しく解説していきます。


1、読解の土台となる能力は語彙力。その習得法とは。

「客観」や「主観」といった現代文超頻出の語彙を始め、「邂逅」「軋轢」「一義的」「烏有」などの高度な語彙を身につけていくことは、現代文を読めるようになるための第一歩です。


文章全体を理解するためには、一文一文、一語一語の理解が欠かせません。
現代文の問題をただ解いていくのではなく、こうした現代文を解く上での「土台」となる語彙力を強化することは現代文を読解する上での必要条件となります。


この語彙力については「入試漢字マスター1800」(河合塾)を用いて身につけていくことをお勧めします。この参考書は単なる漢字の練習帳ではなく、それぞれの漢字に対して辞書的な意味が併記されているため「語彙力」を身につけるためにはもってこいの一冊です。


もちろん、日常的にわからない言葉があったら辞書を引く、わからなかった語彙に関して「ボキャブラリーノート」を作成して自分の知らなかった語彙を蓄積していくなどの作業も決して忘れてはいけません。いずれにせよ、自分知っている語彙を少しずつ増やしていくことが重要です。漢字検定2級は大学受験で要求される語彙力の一つの目安になるかと思います。 


2、教養知識で文章を深く理解する。文章理解を加速させる教養知識の身につけ方とは。

教養知識とは、現代文を筆者が書くときにその前提とする学問における基礎的な知識のことです。現代文の評論は、教養を身につけたいわゆる知識人と呼ばれる人が書いているため、教養知識の理解はその人たちが書いた文章を理解する上で必要になってきます。


例えば、代表例に「物心二元論」があります(この言葉を初めて聞いた人はぜひ辞書を引いてみてください!)。この「物心二元論」という考え方は、近代を語る上で欠かすことのできない概念となっています。無論、現代文においても近代について語られるときにはしばしば取り上げられます。


ですが、このような現代文の根底に潜んでいる教養知識については逐一文章中に説明があるとは限りません。そのため、重要な教養知識については自ら学習する必要があります。この教養知識の理解ですが、「読解評論文キーワード」(筑摩書房)を用いるとスムーズになると思います。


実際の入試問題で扱われた評論文を用いて、その中で使われている重要なキーワードを抜き出し、キーワードにまつわる教養がぎっしり詰め込まれています。この一冊を身につけていけば、網羅できているとは言えませんがかなりの教養知識を身につけることができます。

ですが、この教養知識については、語彙の勉強方法とは異なるところがあるので注意が必要です。それは一つ一つのキーワードを単なる意味だけでなく、そのキーワードの歴史的背景や他事象との関連を理解していくことが重要になるということです。文章中で、教養知識を伴うキーワードが用いられていたときに、文章中でどのような位置付けとして語られているのか、文脈の中で理解するためには単にキーワードの意味を覚えるだけでは不十分となります。

3、論理的に文章を読み解く。正確に文章を読むための方法論とその練習法とは。

これまでは文章を読むために必要な「知識」にフォーカスして話を進めてきました。これらの知識があれば、一文一文を理解して読み進めることができます。


しかし、これだけでは文と文を繋いだ「文章全体」の意味を把握するためには不十分です。「木を見て森を見ず」から脱却するためにはどうすれば良いのかこれから説明していき。(もちろん森だけ見ててもダメですよ)


筆者というのは必ず何か自分の伝えたい「メッセージ」を持っています。
「メッセージ」がなければ、わざわざ文章を書くことはしないはずです。
この世には既に何千万という本があるのですから。そうだとすれば、その「メッセージ」というのは基本的には一般的に考えられていることとは異なります。だからこそ、筆者はその文章の中で自分の伝えたい「メッセージ」を論証しようとしているのです。


その論証の際に使われる関係が、「相同」「対比」「因果」の3つの論理関係です。筆者はこの三つの論理関係を用いることで自分の伝えたいメッセージ(命題)を論証しようとし、読者に納得してもらおうとします。


とすれば、読者の側もそれらの論理関係を把握しながら読み進めなければ、筆者はどういう風に考えてその文章を書いているのか全く意味がわからなくなってしまうのです。このような3つの論理関係を明らかにしながら読み進めるためには、マーキング(文章中に線を引くこと)が効果的です。


この文はこの文と同じことを言っていると考えれば、

文と文を「=」で結び
因果関係だと考えれば「→」
対比だと思えば「⇄」
と文章中にマークしていけば文章の中で文と文がどのような関係になっているのか明らかにし、文章を構造的に捉えることが可能になります。

みなさん、文章を読解するための三つの能力とその鍛え方を理解できたでしょうか?ぜひ今日から実践してみてください。

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