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大学の時間割っぽく仕事をする

僕は昔からどうも「計画を立てて実行する」ということが苦手でした。

読みの甘さなのか、予期せぬ出来事を引き寄せすぎてしまうのか、「できますよ!」「やりますよ!」と言ったくせに、当初の予定どおりにはいかなくなってどんどん自分を追い込んでしまう。そして音信不通になって迷惑をかけてしまう。

そんな僕がフリーランスをしているのだから、何か工夫をしなければいけません。それが大学の時間割っぽく仕事をするということです。

90分という時間割には科学的な裏付けがあった

転機となったのは、2016年、京都精華大学への着任でした。僕が担当する授業は週3〜4コマ。1コマ90分、全15週で授業を組み立てていきます。当たり前のことですが、学内では学食にいても、図書館にいても、研究室にいても、90分おきにチャイムがなります。「あ、もう3限も終わりか。そろそろ移動しようかな」そんな生活が続くと、90分集中→10分休みというリズムが自然と染み付いていったのです。

そんな無意識の時間感覚は、授業がなくて大学に行かなくてもいい曜日や、夏休みや春休みといった長期休暇にも影響を与えているような気がしました。90分というリズムが自分に合っている感じがしたので、「学校チャイム」のようなアプリを探してインストールし、この2年間はいつもチャイムとともに暮らしています。

実際、90分という単位は「ウルトラディアン・リズム」と言われ、一日中集中して練習するよりも、90分単位で間に休みを入れたほうが習熟に適している、という心理学の研究もあるようです。

また、授業をデザインするときには学生の集中力を保つために90分を3つに分けて考えたほうがよい、というアドバイスをいただいたのですが、それは有名な「25分集中+5分休憩」の「ポモドーロ・テクニック」とも重なります。これまで当たり前だと思っていた90分という単位には、いろんな秘密が隠されていたのですね。(調べてみたら「おとなの時間割」をテーマとした本もそこそこあるようです)


一日を13限に分けて、毎朝きょうの時間割を決める

こうして大学の時間割っぽく仕事をするうちに、ひとつの大きな変化が起こりました。それは「その日の計画を立ててみよう」と思っている自分に気づいたことです。もしかしたら「計画が苦手」なわけではなく、「長期的な計画が苦手」なだけなのかもしれない。一日分だけの計画であれば忘れっぽい僕でも忘れないだろうし、守れなくても翌日にリカバーできるはず。これは人生史に残る大きな発見でした。

そうしてkeynoteでさくっと作ってみたのが、以下の時間割です。上が2018年幼稚園バージョンで、下が2020年小学校(休校)バージョン。

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大学によって違うとは思いますが、京都精華大学の1限は9:00からなのでそこをスタートとして、通常は6限で終わりですが、夜も7限、8限、9限、10限と分けてみました。また朝の時間は0限、-1限、-2限、-3限としてみました。つまりランチを挟んで、一日24時間を90分ずつ13区分に分けてみたのです。

あとは「場所」、「情熱度」、「優先度」といった項目も別途用意してみました。フリーランスは自由すぎてゆらぎが大きいので、今日はどこですごすのか「場所」を決めることは意外と重要です。また時間割をつくるプロセスを通じて、いま進めている仕事のなかで「情熱度」の高いものと「優先度」の高いもののバランスを感じられるようになりました。

ちなみに今の僕は、「情熱度」の高いもの集中力の高まる朝イチに終え、その時点で「いい一日だった」と感じられるように気持ちを高め、「優先度」の高いやるべきものを午前中に終えスッキリし、MTGは必ず午後にする、といったグランドルールをもっています。

自由度を高めるにはルーチンも大事

時間割のグレーの部分はルーチンの部分です。4:00に起きて朝食の準備をし、洗濯物を回し、そのあいだに曜日によってヨガ、ランニング、筋トレを、そして10分くらい夜明けとともに瞑想する。マインド(あたま)を働かせるというよりは、まずはボディ(からだ)を起こし、スピリット(こころ)を開くまどろみの時間です。

その後は娘が7:00に元気に起きてくるまで、ノートに向かって考え事をしたり、noteに書いたり、マインドがもっとも喜びそうなことをやります。そして幼稚園の準備をして、バス停まで送って、一息ついてその日の計画を立てます。

日中はその日によって変わりますが、6限以降は基本的にはルーチンに戻って、娘とトランプしたり、風船テニスをしたり、相撲の稽古をしたり。朝が早いので夜は早めに就寝。ここでは寝る前に読書とありますが、実際は移動時間中に読むことがほとんです。

もちろん、これは理想形なので毎日できているわけではありません。呑み会のある日は翌日にまでもろに影響が出てしまいます。できていなくても、あんまり自分を責めない、というところから始めて、できたら褒めるくらいがちょうどいいのでしょうね。

ただ、こうして振り返ってみても、子育てが自分の暮らしの中心になったことで、朝と夜のリズムが整っていったという実感は大きい気がします。きっとライフステージによって20代ならではの、子供がもう少し大きくなった40代や50代ならではの時間割もあるのでしょう。

最後におみやげを

合う合わないはあると思いますが、もし自分にピッタリ!と思った方は、PDFでカスタムはできないのですが、ぜひ以下の時間割(テンプレート)をご自由にご活用ください。ご感想もぜひお待ちしております◎


はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎