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 久しぶりの投稿になります。今回は、カタール大学に留学された筆者の後輩の方にカタール大学執筆していただきました!本当にありがとうございます!

 今回の方は、コロナ禍以前・以後に跨って留学をされていました。現状の長期化に伴って現地への留学はまだまだ厳しいですが、オンラインでの留学、また再び現地に行けるようになった後に参考になる情報がたくさんあると思いますので参考になれば幸いです。

はじめに

 私は2019年8月から2020年5月までと2020年8月から2021年4月までカタール大学のアラビア語プログラム(Arabic for Non-Native Speakers、通称ANNS)に参加していました。新型コロナウイルス感染拡大を受けて2020年3月半ばに帰国せざるを得ない状況となり、5月までの残りの授業と2020年から2021年にかけての授業はすべてオンライン形式で受講していました。

1. 留学の契機・目的

 私の専攻は中東ともイスラームとも関係が無いのですが、かねてから興味があったアラビア語を学ぶために、アラブ・イスラーム学院の夜間過程に通っていました。大学と夜間過程の両立は思っていたよりも厳しく、2年間の夜間課程を修了しましたが、満足のいくレベルに到達することができませんでした。そこでアラビア語学習に専念するために、大学を休学して中東に留学することを決めました。

 残念ながら当時私の所属していた大学には、1年間単位のアラビア語留学プログラムがありませんでした。また留学センターにも相談したのですが、私費留学については、そして中東地域についてはアドバイスができないとのことだったので、自力で情報を探しました。当時他の候補として、サウジアラビア、クウェート、オマーンも考えていましたが、最終的にはカタール大学(QU)とキングアブドゥルアジーズ大学(KAU)の二校に出願しました。最終的にその年はKAUからの連絡がなかったのでカタール大学に決めましたが、なぜか1年も経ってから突然合格通知のメールが来ました。それに対してQUはホームページにて出願や選考のスケジュールが公開されており、その予定通りに連絡がきたのでとても印象がよかったです。

2. 留学の体系

 私は2年のうち、1年目(2019-2020)は私費、2年目(2020-2021)はカタール大学からの奨学金で留学しました。QUのANNSというプログラムには、奨学金生の枠と私費留学生の枠があり、それぞれ申し込み方が異なります。私費の場合は、奨学金を希望する場合に課されるオンライン面接がありません。私は奨学金枠の倍率が高いことを恐れて私費留学枠で申し込みました。私費の場合はその分ビザ発行に必要な書類等、自分で用意すべき書類が奨学金生よりも多いです。奨学金は原則1年間しか取得できないのですが、私の場合1年目は私費だったので、2年目は奨学金生枠で申し込みました。2年目も継続して受講する生徒は面接が必要ないらしく、1年目に教わっていた先生にアラビア語で推薦状を書いていただき無事に奨学金を得ることができました。

3. 留学にかかった費用

出願時にかかるお金 約1500円
授業料 約60万(初級1~2の場合)
教科書代 約6000円
寮費(食事込み) 約18万
学生証発行代 約3000円
東京~カタール往復航空券 約17万

初級クラスだった場合に最低限かかるお金は年間約100万円です。

 これに加えて、その人の生活スタイルに合わせて交通費、交際費、外食費、娯楽費、携帯代などがかかります。中級以上は科目数が増えるので授業料も上がりますが、私の場合2年目は奨学金生だったのでわかりません。

 また航空券を往復で取ってしまうのはお勧めしません。渡航後にしか年間スケジュールが分からないからです。私は、過去にカタール大学に留学していた人のブログから、大体の冬休みの時期にあたりをつけて帰国便を先に予約してしまいました。しかし結局冬休み期間の予想は外れ、予約変更もきかず、改めて別のチケットを取り直す羽目になりました。これから留学をする人は、多少割高に見えても往路復路は別々で予約した方が良いです。奨学金生の場合は、航空券の予約や支払いをすべて大学側がおこなってくれるので心配は無用です。

交通費:大学外に外出する場合はその都度Uberを呼ばなければならないのでタクシー代がかかります。今はメトロができたので、都心部を回るだけなら比較的安く動けると思います。

食費:基本的には3食とも寮で提供されています。寮の食事が口に合わない場合や、授業の時間割との兼ね合いでお昼ご飯の時間に間に合わない場合は、自分でスーパーやコンビニでご飯を買うことになるので、食費が別途かかります。私は寮の食事の味に特に不満はなかったのですが、1週間単位の日替わりメニューが1年間繰りかえされるので味に飽きたといって食堂で食べない子もいました。またせっかくカタールまで来ているので、現地のレストランや屋台で食べるのもおすすめです。

娯楽費:博物館や大きな公園などに行く際にかかる入場料などです。博物館などに行く場合は学割が効くので、渡航後に学生証を受け取ってから行くとよいと思います。観光客として入ろうとすると割高になってしまうため少し損です。ちなみに大型ショッピングモールにいけば、室内遊園地やボーリングなどもあります。

携帯代:カタールでは携帯は必須です。現地でプリペイドSIMを購入し、現地の電話番号を取得することをお勧めします。大学の敷地内及び寮内ではWiFiが通じますが、出先からUberを呼ぶときや、友達とWhatsappで連絡を取るときに困ります。バスが来ない場合は自分で運転手に電話をかける必要があるので、通話のオプションも必要です。節約と称してSIMを買わなかった寮の友人は外出時連絡が取れず、常に携帯が通じる子と一緒に行動しており、とても不便そうでした。しかしこのような方法をとればSIMを買わずに生活することもできます。

コピー代:学生証発行後は大学内のコピー機が自由に使えるようになります。このコピー機はいつでも好きに利用できるのですが、学期末にまとめてコピー代金が請求される仕組みとなっています。基本的には先生がプリントを配ってくれるので必要はないです。

 また、渡航前に提出する私費留学生向けの同意書で「学期が始まってから2週間以内に授業料を振り込むこと」とあったのですが、各学期の最後の方に「大学のサイト上から学費等を振り込むように」と言われるだけで、渡航してすぐ大きな額の現金が必要になるということはありませんでした。ただ冬休みなどでカタール国外に出る場合は、出国の条件として未払い金がないことが求められるので注意が必要です。

 私費留学生とは打って変わって、奨学金生の場合はかなり待遇がよいです。授業料、教科書代、寮費(食費込み)、往復航空券、ビザ取得代はすべて大学が負担してくれます。また毎月約一万5千円のお小遣いも支給されていました。しかしお金はカタール国立銀行(QNB)の口座開設以後に振り込まれるので、実際に支給されるのは渡航してから1~2か月以降となり、初めからこのお金を当てにするのは避けた方がよいです。

4. 住居について

 基本的には男女ともに寮での生活となります。カタール在住の生徒は、自宅から車で通学していました。大学の敷地内にある寮からキャンパス内の建物へは、無料シャトルバスが出ており、寮生は皆このバスを利用して通学します。

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 寮は2人1部屋で、部屋の中にはシングルベッド、勉強机、備え付けの棚、クローゼットがそれぞれ2つずつあり、それに加えてソファとトイレとシャワーが各部屋にひとつずつありました。そして各フロアに共用のオーブン付きキッチン、冷蔵庫、ケトル、電子レンジ、洗濯機、乾燥機、ウォーターサーバーもあります。寮自体は最近出来たばかりらしく、比較的綺麗で設備も充実していたように思います。寮の中には、ジム、食堂、自習室、パソコン室、テレビルーム、中庭などもあり、放課後は各々好きな場所で過ごしていました。学生証を発行してもらった後、大学のWiFiが使えるようになります。たまに接続が切れますが、速度は特に問題ないです。冷蔵庫に入れた私物は、名前を書いていても基本的に誰かに勝手に食べられてしまうので注意が必要です。

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女子用の図書館の入り口

 また、女子寮には夜22時の門限があり、門限を過ぎると名前をチェックされます。何度かチェックが溜まると強制帰国と聞きましたが真偽は分かりません。大学の敷地内入口の各ゲート、寮の敷地内入口ゲートには男性のセキュリティがおり、入ってくる車と生徒をチェックしています。基本的には徒歩での出入りは認められておらず、バスもしくは手配したUberに乗って出入りします。女子寮では外出するのに寮監の許可が必要です。外出を希望する場合は毎回名簿に名前と連絡先と外出目的と部屋番号を記入し、寮監のサインが記入された外出許可証をゲートのセキュリティに渡さないと外出が出来ない仕組みでした。同じように事前に申請さえすれば外泊も可能です。

 先程述べたキッチンを活用して、女子寮の食事に不満のある子たちはみな自分で料理をして工夫をしていました。私はたまたま食事に不満はありませんでしたが、体感では女子寮の7割くらいが味に不満を感じていたようです。女の子たちが集団で寮長のところへ行って、寮の食事に対するクレームを入れていたのをよく見かけました。

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学食のメニューと学食の様子

 男子寮には門限も外出届けもないので自由に外出出来ますが、キッチンの使用は禁止されていると聞きました。そのため、調理の必要のないレトルト食品などを日本から持っていくと良いかもしれません。

5. 現地でしたこと

 授業をこなすのはもちろんですが、せっかく来たのだからと思い積極的に外出しました。前学期はUberばかり使っていたので交通費がかさみましたが、留学途中からドーハメトロが開通したおかげで交通費を抑えながら色々なところに行くことができました。カタールにはたくさんの美術館、博物館、ショッピングモール、公園があり、娯楽にはあまり困らないかと思います。特に博物館はかなり広く見応えがあるので、是非行って欲しいです。他には砂漠やマングローブにも行きました。マングローブは夏の一番熱い時期に行って死にそうになったので、冬に行くことをオススメします。

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 12月初頭〜1月初頭にかけての1ヶ月間の冬休みがあります。旅行に行く人、帰国する人、寮に留まる人が居ますが、寮にとどまっていた人はあまり多くなかったように思います。しかし冬休み中にNational Dayという祝日があり、毎年国中で盛大にお祝いするそうなので、あえて留まるのも良いかと思います。

 またカタール大学には学生主体の日本クラブというものがあり、そちらの活動にも参加しました。具体的には、年に数回のイベントにて、日本のお菓子やアニメグッズの販売、アラビア語字幕日本語音声アニメの上映などを行います。カタール日本人会の皆様のご協力のもと、着付け体験や書道パフォーマンスや日本食の屋台販売なども行われていて、とても充実した内容のイベントとなっています。

 ANNS受講生は寮以外で学部生とかかわることが全くなかったので、放課後にある学部生向けの英語の補修授業にも出席していました。IELTSの対策を主に行うのですが、アラブ人の女の子たちと英語でディスカッションなどもできてとても有意義でした。カタールにもIELTSの試験会場があるので、現地で受験することも可能です。

 カタールにはカタール人が全体の2割しかおらず、ほとんどが南アジアや東南アジア、アフリカからの出稼ぎ労働者なので、日常生活では基本的に英語です。アジア系の顔をしているので、買い物に行ってもアラビア語で話しかけられることはまずないです。そのため学外でのアラビア語の練習は、寮の中にいる英語が分からない友人や寮長との会話がメインとなります。

6. 普段の1週間のスケジュール(授業内容について)

まず渡航後のプレースメントテストの結果に基づき、以下の5つのクラス(表の左)に振り分けられます。そして半年後に表の右のクラスレベルに上がります。どのクラスも20人前後の生徒がいます。

Fall semester    Spring semester
Elementary1A   Elementary1B
Elementary1B   Elementary2
Elementary2     Intermediate1
Intermediate1   Intermediate 2
Advanced1         Advanced 2


 プレースメントテストは、読解とリスニングはパソコンでの選択式、作文は手書き、スピーキングは先生2人対生徒1人での面接という形式で行なわれます。そしてこれらの各点数に基づいてクラスが決まります。実力とクラスのレベルがあまりに異なる場合は、初めの1週間以内なら先生と相談して変更することも可能です。

 Elementary1A~2のレベルではReading&WritingとListening&Speakingの2教科、中級1,2ではこれに加えてArabic Mediaの授業が増えます。

 どの科目も全てディスカッション形式で、座学はありませんでした。初級レベルだと先生も英語を話せるので、英語1割アラビア語9割で授業が進みます。基本的にはアラビア語でアラビア語を学び、所々理解しづらい部分は先生が英語で補足する形となります。始めはなかなか理解するのが難しいですが、わからない場合は先生に聞けば親身に教えてくださるので心配はいりません。

 初級の時は基本的には朝8時から昼の1時まで授業があり、毎日2科目で各教科につき2~3時間(日替わり)という時間割で学んでいました。午後は自由だったので、寮に戻って食事を取り夕方までに宿題を終わらせ、比較的涼しくなった夕方から外出したりしていました。

 初級のReading&Writingはパレスチナ人の男性の先生に教わっていました。先生が配布するプリントと大学で購入した教科書を用いて、文法メインで勉強します。発言率が低いとすぐに当てられてしまうので、自分から積極的に授業に参加することが大事です。黙っていると先生の機嫌が悪くなります。この先生は遅刻にとても厳しいです。

 Listening&Speakingはチュニジア人の女性の先生に教わっていました。こちらは教科書を使わず、先生の自作プリントを使って授業が進みます。まずその単元の大事な単語について学習し、リスニングやディクテーションなどをした後、最後にその単元についての語劇を行います。例えば病院についての単元であれば、お医者さんと患者さんの役にわかれて習った単語を用いてスクリプトを作り、みんなの前で演じるというような形です。また単元ごとにプレゼンもあります。PowerPointを使った5分程度のプレゼンですが、慣れるまでは中々難しかったです。プレゼンの後には質疑応答もあります。1年の最後の期末課題では「カタールでの体験」をテーマに10分間のプレゼンビデオを作る課題もあります。

 中級の時はReading&WritingとListening&Speakingがそれぞれ週4で各教科2~3時間、Arabic Mediaは週2で1時間半という時間割でした。私が中級を受講した年はコロナの影響でオンラインだったため、日本時間の16~22時にいつも授業を受けていました。課題提出期限がカタールの深夜0時、つまり日本時間の朝の6時なので、必然的に夜型生活になりました。ちなみにカタールでは金土が週末なので、日曜日から木曜日までが平日です。

 中級クラスの授業もオンラインではありましたが全てディスカッション形式で行われていました。中級からは授業は完全にアラビア語のみで行なわれます。

 中級のReading&Writingはカタール人の女性の先生に教わりました。先生が単元ごとに教科書のPDFファイルを送ってくれるので、それをダウンロードして使います。こちらもまずは進出単語のチェック、練習問題、新出単語を使った作文をしてから、長文読解に入ります。宿題は毎回メールで提出していました。何か設問がある事にブレイクアウトルームが作成され、そこでディスカッションが行われます。オンラインでしたが、みな積極的に授業に参加していました。また毎週末には作文の課題もあります。提出した作文には毎回先生からの丁寧なフィードバックがあります。単元が終わるごとにオンラインでの小テストもありました。1年間の最後には、選択式の読解問題と、作文に加えて、「アラビア語で何か1冊本を読み、その本のプレゼンをする」という課題もありました。

 Listening&Speakingの授業は、スーダン人の男性の先生とエジプト人の女性の先生の2人に教わっていました。こちらは教科書を使わず、先生が選んだ動画について学びます。男性の先生は語彙力の強化を目的として、リスニング動画に出てきた語彙の説明およびその関連語彙を紹介してくれていました。  また単元ごとのプレゼン課題及び質疑応答もありました。こちらは毎回点数が付けられていて、学期末の成績に影響してきます。先生が選ぶ動画は中東の社会問題(失業問題や浮浪者問題など)が多く、自分の国では授業で扱ったその社会問題がどのような状況か、また政府がどのような対策をしているかについてプレゼンすることが多かったです。女性の先生はYouTubeから選んだ興味深い動画(潜在的失業や人間の記憶の仕組み、現在はホテルとして使われている収容所など)を使って授業をしてくれます。リスニングした部分についてのアラビア語要約や、そのテーマに関連した問いについての自分の見解を発表したりする形で授業が進みます。発言しないと欠席扱いにされるのでこちらも積極的な授業参加が必要です。

 Arabic Mediaの授業もまたディスカッション形式です。この授業は週に2回しかありません。秋学期と春学期で先生が変わりましたが、どちらも女性の先生でした。秋学期は先生が選んだ記事について読解し、メディアでよく使われる動詞や表現について学びます。また自分の興味のある記事について要約し発表したりもします。風刺画についてアラビア語で説明するというのが個人的にはとても難しかったです。春学期はコロナや環境汚染などの各テーマについての記事を読んだり、ニュースのリスニングをしたりしていました。こちらの授業ではインタビュー形式の番組についても学び、実際に有名人とインタビュアーになりきってインタビューを行うテストもありました

 成績についてですが、どのレベルの授業に関しても、日々の授業参加率(発言率)、出席率、課題提出状況、中間試験、期末試験、小テストの合計点数で決まります。

 参考として2020年度秋学期の時間割を添付しておきます。毎年同じではないので参考程度にとどめておいてください。

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7. 留学で必要・不必要だったもの

 私は心配性なので留学前に現地の情報をたくさん調べて渡航しましたが、カタールは比較的発展していて大抵のものは手に入るのでそこまで心配はいりません。モールには無印良品とダイソーも入っています。無印もダイソーも値段は日本のものより高いですが(ダイソーは約2倍の金額です)、日本のものを買いたいときは便利です。種類も限られており値段も少し高いですが、ハラールの日本食品はスーパーでも買うことができます。

 また海外から荷物を送ってもらえばカタールポストを通じて受け取ることができます。その際は寮の住所(とても短いのではじめは驚きます)、部屋番号、名前、受け取り側の電話番号を書いておけば届きます。基本的にはカタールポストのオフィス(寮からUberもしくはメトロで行く)か、大学内のオフィスに届き、そこの職員の方が電話で直接連絡をくれて取りに伺う形となります。そのため電話番号を書いておくことはとても大事です。ハラールでない食品を送る場合は検疫の際に段ボールが開封されると聞きましたが、私の場合は開封されていませんでした。ただハラールではない食べ物を食べるときは自室がよいかと思います。

 また携帯電話についてですが、現地のOoredooという会社でプリペイドSIMを買うのがおすすめです。Vodafoneは割高です。空港に着いたらOoredooとVodafoneのカウンターがあるので、カウンターに行き新規でプリペイドSIMを契約したいといえば、あとは職員の方があれこれ設定してくれます。日本を出国する前に自分の携帯がSIMフリーの設定になっているかよく確認してください。

 現地の暑さと日差しは尋常じゃないのでサングラスは必須です。あまりに似合わなくて恥ずかしいので当初はかけていませんでしたが、本当に目が痛くなるので現地で買いました。こちらも日本で買える場合は先に買っておくとよいと思います。

 服装についてですが、温度調節のできる長袖の上着を持っていくことをお勧めします。基本的には寮の中も外も服装規定として腕と脚が隠れる丈のものを推奨されていますが、アジアから来たノンムスリムの女の子たちはあまり気にせず半袖も着ていました。しかし寮の外には男性もおり、腕や脚を出している女性はほとんどいないので必然的に注目を浴びることになります。私は夏の暑さに耐えられなかったので半袖と長いスカートで、常に肩から腕にかけて薄手のストールを羽織るスタイルでいました。外は熱された空気で満ちており、日陰でさえも汗が噴き出てくるような暑さなので、長袖長ズボンは本当につらいです。しかし室内では20度以下のかなり強めの冷房がきいているので、半袖のままはつらいと思います。そのため、温度調整ができる服装を持参することをお勧めします。

 ちなみにカタールに暖房はありません。年中冷房だけです。私はある程度長めの丈の服を数着持っていき、足りない分は現地で買う予定だったのですが、思ったよりも現地でモデストファッションの服は売っていませんでした。これはアバヤの下にいわゆる西洋的な服装をしている人が多いからです。カタールはほかの中東諸国と比べて男女ともに伝統的な服装の方が多いように思います。また冬は15度前後になりとても過ごしやすいですが、それでも部屋で冷房をつけ続けるのでむしろ寒いです。冬用に厚手の部屋着と外用のジャケットを用意した方がいいです。ヒジャブに関しては、ノンムスリムの人たちまでつける必要はないです。

 最後に、女性一人での行動はできなくはないですが、避けた方がよいと思います。男性の友人同伴もしくは女子複数人で行動した方がよいです。ドライバーにFacebookをしつこく聞かれたり、道中ずっと話しかけられ続けたりということが何度かありました。ショッピングモールや道中でカタール人ではない男性職員から上から下までジロジロみられるというのも常にあります。カタール国内はとても安全で、危ない目にあったことは1度もありません。しかしこのような男性は結構多いので、肌の露出を控えたり、誰かと一緒に行動したり、可能な範囲で自衛はした方が良いと思います。

8. 後輩へのメッセージ

 中東へ留学すると私が言い出した時は、「女の子がそんな危ないところに行くなんて!」と周りに色々言われました。結果的にカタールはとても安全でしたし、プログラムもしっかりしていたので、できるだけ安全に中東に留学したいという人には特におすすめしたい留学先です。

 カタールは良い意味で周りの中東諸国とは少し毛色の違う国と言えます。若い首長の元で独自路線をとりながら成長している国に身を置き、その移り代わりを自分の目で見ることが出来たというのは大変貴重な経験でした。

 私の体験記がこれから留学をする誰かの助けになれば幸いです。みなさまの留学も実り多いものになることを願っています。

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ドーハ市内の様子(首長のイラストがたくさん)


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