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山十和紙

西島和紙の歴史は戦国時代にまで遡り、元亀2辛末年(1571年)西嶋ではじめて和紙を製造し武田信玄公に献上されたのが起源。徳川時代までは西嶋を中心とする峡南地域において盛んに製紙が行われましたが、明治以後は峡南地方の各地域で除々に少なくなり、現在では西嶋だけとなっていった

手透き和紙の様子

身延町西嶋で長年紙漉きを営む老舗和紙工房 山十和紙さんを訪れ、代表の笠井伸二さんに工房を案内していただきました

代表の笠井伸二さん

四百有余年の長い伝統と様々な技術・素材改善等の努力により、西嶋和紙は 「墨色の発色」「にじみ工合」「筆ざわり」等に特に傑出したものとなり、今や全国の書道家や書道愛好家に珍重・愛用されている程に有名


漉いて重ねるを日に約600回繰り返す職人わざ
圧力を掛けてゆっくり水分を抜いていく

水分を抜いた和紙は天日で乾される
水分を抜いて乾かすと半分ほどの厚みになる

西嶋和紙は一度漉いて乾かした和紙をもう一度水に通し一枚一枚剥いで乾燥させるを二度繰り返すのが特徴のひとつである。この工程が墨の乗りや質感を左右する重要なひと手間とのこと

水に戻す前に両端を櫛で通す
和紙を水槽に浸ける前に行う掛水

乾燥しきった和紙をそのまま水槽に浸けると空気が入り気泡が和紙を破いてしまうので少しずつ満遍なく掛け水を行い水分を含ませていく

和紙を剝ぐ際に使う刷毛
一枚ずつ剥いでいく

水に戻された和紙を一枚一枚手作業で剥いでいき写真奥の黒い鉄板(70℃の温水)に貼りつけて乾燥し一枚の和紙が出来上がる

和紙の扇子
和紙を漉く際に使う型

全盛期に比べ需要が落ち込み同業者も少なくなる中で、和紙の可能性を追及し和紙の魅力を伝えたいと業界にイノベーションを起こす笠井代表の心粋は素晴らしいの一言。革新的な作品を生み出す柔軟なアイデアと古の智慧、確かな技術が混ざり合い山十和紙の魅力は幾重にも広がる

手漉き和紙に必要な刷毛を生産する業者が居なく上手い道具が手に入り辛くなってきたらしく、作れないかとの相談も頂いた。実際に扱う職人さんからも話が聞けてモノづくりの奥深さや道具、素材の大切さを再認識させて頂きました

取材するつもりは無かったのですが笠井伸二代表のお心遣いで和紙作りの細部を目の当たりに出来ました。山十和紙の皆様に心より感謝致します。ありがとうございました

photo 和田慎太郎
photopaper 山十和紙
額縁 studioTree


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