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#週一文庫「快人エジソン 奇才は21世紀に甦る」浜田和幸

一番面白かったのは、P134 第5章 創造的教育の原点は記憶力

「ところで、エジソンのもとには多くのファンレターが届けられたが、そのほとんどは、『どうすればそのような成功が得られるのか』と尋ねるものであった。それに対して、エジソンは次のように答えている。
 『自分は毎日十八時間働くことにしている。普通の人の倍である。今、自分は四十五歳だが、普通の人の九十歳分に相当する仕事をこなしてきたといえる。しかも、若い時、二十年分は余分に働いてきたので、一般的にいうと、すでに百十歳くらいにあたる。今のペースであと二十年は働けると思うので、トータルでは百五十歳くらいまで働いたといえるだろう。これだけ働けば、人の倍成功しても当たり前だと思う。
 自分が一日に十八時間も働ける理由は、とにかく食べる量と眠る時間を少なくしているからである。また、血液の流れを阻害しないために身体をしめつけるような服装はしないことにしている」

「一日十八時間」というと、一ヶ月間仮に22営業日とするなら、月間 396時間労働。30営業日なら月間 540時間労働。残業時間でいうと、それぞれ 236時間, 380時間(週40時間×4週=160時間からの差分として)。過労死ラインと呼ばれる残業時間は、月間80時間もしくは100時間ほど。文字通りの桁違い。

別に、長く仕事することが正義でないとは思いますが、それだけ好きなことに没頭し続けられるのであるならば、それはそれでよいと思う。"好きなこと" であるならば。

昔、たしか高校生の時、叔母と受験勉強について話し合っていたところ、”テストで点数がとれるかどうかというのはどうでもよくって、「そのこと」について、どれだけ長いこと考え続けることができるのかが大事だよ”と言われたことがある。

「そのこと」というのは、「自分にとって興味のあること」と、置き換えて考えるのがよいかな。

その叔母は、いわゆる天才/秀才(?)と身内から言われるような人で、模試で全国一桁の数字を取るような成績。大して英語も喋れないところから、アメリカに渡った末にアメリカの気象庁に勤めるようになったというような人だ。当時、身の回りにいる一番頭の良い大人だったから、その言葉を重く受け止めていた。だからまだ覚えている。

でも、高校生の時分なんかは、授業受けて、部活をやったらもう夜になっているというような生活なわけだから、「長いこと考え続ける」ことなんて別段していなかったし、勉強もテストの点さえとれれば、何とかなるような状況なのだから、何か一つのことについて考え続けるということはしていなかった。今も大して変わらない。

今、落ち着いて考えれば「長いこと考え続ける」というのは、案外難しいことなのかもしれない。

というのも、仕事について悩むことがあるとしても、それは大概"人間関係"だったり、あるいはじぶん自身のスキルだったりするけれども、それらは時間が経てば解決されるようなことの多い。何より1日の内にいろいろなことが起きすぎて、数週間 あるいは数ヶ月もしてしまえば、当初「考えていたこと」なんて跡形も無くなってしまうことが多い。

そう思うと「長いこと考え続ける」ことができる「そのこと」を見出すのは難しい。エジソンは、ただ”長いこと作業をしていた” のでなく、きっと長いこと、常に「考え続ける」ということをしていたと思う。それは「どうしたら電灯を実現することができるのか」だったのかもしれないし、「どうしたら蓄音機の蓄音できる時間を延ばすことができるのか」だったのかもしれない。たぶんいろいろと。そして、そのどれもが誰もやったことのないことなのだから、「長いこと考え続け」なければ叶うはずもない。その積み重ねが、一日十八時間という数字になって返って来ているのだろうなと。

一方で、じぶんはというと、「どうすればこの仕事が終わるのか」を考える機会は多いが、それは「そのこと」とは程遠い。何より仕事が終わりさえすれば、もう考えなくてよいのだから。難しいものです。

でも、一つだけ「長いこと考え続けている」と言い切れることがある。twitterのプロフィールにも書いてある「おもしろきこともなき世をおもしろく」というテーマ。かなりぼやっとした「そのこと」ではあるけれども、これを考えるために「心なりけり」と思い、心理学/広告に手を出しもするし、「いや、自動化/機械化こそ」と思い、プログラミングにも手を出してもいる。

だから、「そのこと」に費やす時間であれば、別段計測こそしていないけれども「長いこと考え続けている」と言えるかもしれない。さすがに十八時間には満たないだろうけど。

みなさんが「長いこと考え続けている」「そのこと」は、どんなことでしょか。

って、随分ぶん投げるけれども、人それぞれ「そのこと」に該当する何かを持っているのではないかなと思う。無ければ、それこそ作業屋さんになってしまう。

さて、考える, 考える繰り返してしまったけれども、考えてばっかりでもいけない。手を動かさなければいけない。

P113 第4章 軍官僚と対決した愛国者

「しかし、エジソンはどちらかというと、独善的な性格であったことから、各分野の第一人者や軍の技術開発の責任者を集めた会議の取りまとめがうまくできるかどうかを懸念する向きもあった(中略)
 とはいえ(中略)『エジソンは思ったよりずっと立派で、気取らず、勝手気ままなところも見受けられなかった』という。これは当然のことで、この委員会に招かれた二十二の科学者は全員エジソンのお気に入りで、しかも理論研究者というより、実務的な発明家ばかり。(中略)その時のエジソンの選考基準は『実際に物を作ることに長けた人間が必要であり、それについて話ができるだけという人間など要らない』というものであった。


なんというか、落合陽一氏の発言を彷彿とさせる。


つくらねば。ですね。

というわけで、最近は、ポートフォリオサイトをじぶんでつくるようにしたり、イラレいじったら 櫻田サロンのページに上げてみたりと、いろいろと手を動かすことにも気を使うようになった。ようやくだ。

書き溜めたノートは、かなりたくさんあるけれども、実際に手を動かして、何か作品をつくるということは殆どしてこなかった。時間が無いから、スキルが無いから、イラレ買うお金が無いから。と、無い無い尽くしで言い訳していたけれども、最近はやっぱり「これがじぶんの作品です」と言えるものが無いと、生きた心地がしなくなってきました。

「男子は生涯、一事をなせば足る」秋山好古

とは言うものの、どれだけのことを為せば「一事」にカウントしてよいような事が為せるのかわからないのだから、「長いこと考え」「多くの事を為す」。そんな積み重ねができるように、日々の過ごし方を続けていきたいです。



今回の一冊はこちら。

たぶん絶版本なのだと思う。中古品はそこそこ出回っている。
でも、時期を間違うととてつもなく高い値がつく。じぶんが購入する少し前は、配送料込で5000円くらいになっていた時期もあった。

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