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ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く (PHP新書)岡田 斗司夫

この本は、岡田斗司夫氏が、ニコ生で話した内容をベースにまとめられているものです。これからの未来に起こることの予想とその未来が訪れた先の、生き抜き方が書かれています。

ぼくらは、これからどう生きるのか。

一番おもしろかったのは、P210 終章 未来の幸福論

最低限の生活が保障されているんだから、未来は面白がった者勝ちですよ。
「どうすれば損か得か?」なんていうのは、正解があると思っている人の発想です。これからはあらゆるものが崩れていって、予測はできない。だから、面白い。
結末のわかっている映画を見ても、つまらないでしょ?

学校の成績から、かけっこの速さ、職階、年収、云々。

人生の尺度は数あれど、「楽しく生きること」は、誰もが目指しているものではないでしょうか? ただ、どういうことを楽しいと感じるのかは、人によって違います。

じゃあどうすればいいのか?

これには、ある種の諦めを甘んじて受け入れることができるか。それが一つの重要なポイントだと考えます。

「諦め」という言葉は、この本の中に出てこないです。あくまでじぶんが感じた言葉です。

どういうことか?

たとえば「AIの発展によって無くなっていく仕事がある」という議論が、少し前から話題です。そういった議論のときに「無くならない仕事をしよう!」とは言わないこと。

P19 序章「未来格差」に備える

これまで僕たちは、水の豊かなオアシスで気楽に暮らしていました。水が欲しければ、その辺から好きなだけ汲み上げて喉を潤すことができました。
 でも、これからはそうはいきません。水はすごい勢いで干上がっているんです。
 「どの水たまりが最後まで残りますか?」なんて、のんきなことを聞いている場合じゃない。そんなこと誰にもわかるわけないんですから。足をできるだけたくさん生やし、1箇所だけじゃなく、何箇所もの水たまりに同時に足を浸けるようにしないといけません。そうしないと、1つの水たまりが消えただけで死んでしまいます。

冒頭の引用にもあったように、ここでも1つの正解を探してあくせくすることを否定しています。

『「自己実現」を追い求める』という、ある種の呪いを「諦める」こと。

「自己実現」というのは、ステレオタイプ的な幸福としての「いい大学を出て、いい会社に入り、家族を持ち、持ち家、自家用車を備える」といった捉え方をするとわかりやすいかもしません。あるいは、「ビットコインで一発当てて、あとはハワイでのんびり過ごす」みたいなことと考えてもいいかもしれません。

そういったステレオタイプな幸福は諦める。

その上で「人工知能によって人の職業が淘汰されていく時代」, 「虚実混交の情報がインターネットに飛び交う時代」,「バーチャルとリアルの境目が無くなっていく時代」といった動乱の時代を生き抜く覚悟を決めること。

「“諦め”――って ある意味では――“決意”に似てるよな」
小山宙哉『宇宙兄弟』 単行本31巻 #287 ロシアに飛び込め

「こうなるかもしれない」という予測/仮説を立てた上で、いくつか実際にやってみる。ただ一つだけの「自己実現」を追い求めるのではなく。ただ一つだけの「成功」を追い求めるのでもなく。「生き抜く」覚悟を決めること。

「未来予知ができる」と言われる凄腕経営者に聞こうが、凄腕の占い師に聞こうが、「未来はこうなる」という絶対解には辿り着けない。とにかくナンテッタッテ「諦める」。

「正解が無いなんて、そんな現実堪えられない」という人もいるかもしれないけれど、とにかくナンテッタッテ「諦める」。

ただ一つわかっているのは、「『今』はどうやら『今のまま』であり続けることは無さそうだ」ということ。

いい大学に行くことが正解じゃ無くなるかもしれない。いい会社に入ることが正解じゃ無くなるかもしれない。YouTuberになることがイケてることじゃなくなるかもしれない。真実よりもフェイクニュースの方が価値が高くなるかもしれない。家族が要らなくなるかもしれない。

今まで「正解」だと思っていたことが、「正解じゃなくなる」かもしれない。その変化に溢れる現実世界を、「楽しい」と思える心を持つこと。それが、この本の中に書かれている「未来の生き抜き方」であると思っています。

ジェットコースターがじわじわ坂を登っていくとき、「このままゆっくり登って終わりでいいよ、もう......」昔のじぶんは、本気でそう思っていました。ジェットコースターが苦手だった小学生の頃の話です。

でも、じわじわ登って終わりじゃ、怖く無いけど面白くもない。

どうせなら、半分恐怖/半分興奮を心に住まわせたまま、坂を滑走、左右に揺れ、天地逆さまになるような瞬間を楽しめる、今の方がじぶんは好きです。

同様に、安穏としたルーティンのような日々を送り続けるよりも、「これが正解」と言われている社会的ステップを踏み続けるよりも、動乱の溢れているなかに飛び込んで、ワーッ、ギャーッ叫んで、楽しんで生きている方が好きなんだなと思います。

そんなじぶんの生きたい像と相まって、この部分を引用しました。

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