マガジンのカバー画像

#週一文庫

36
毎週1冊の文庫もしくは新書を読み、その本の中でじぶんが一番おもしろいと思ったところを引用しながら、「なぜおもしろいと思ったのか?」を踏み込んで解説。 いわゆる書評ともちょっと違う… もっと読む
運営しているクリエイター

2019年2月の記事一覧

#週一文庫「食品サンプルの誕生」 (ちくま文庫)野瀬 泰申

一番おもしろかったのは、P27-28商売は日毎に順調に進んでいった。制作する一方から捌けていくのである。食堂にはかつて料理模型の外交員から教わった貸付という方法を採った。ろうは熱や直射日光に弱い。いつかは形をくずしたり変色もする。日を決めて出張して行き掃除や修繕、着色を施すと製品はまた新しくよみがえる(中略) 現在もサンプルは販売ではなく貸し付けが主流である。この商法は瀧三が本格的に採用して今日に至っているが、発案者は瀧三ではない。瀧三に先駆けてのサンプルの仕事を始め、問題の

#週一文庫「コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス) 」旦部幸博

一番おもしろかったのはP101-103 第4章 コーヒーの「おいしさ」 ところ変われば「味ことば」も変わる 例えばイギリスの一般消費者では、味は「苦味」、香りは「煙っぽい」「焦げた」「チョコレート」の順に、用いる頻度が高かったという報告があります。日本より香りの表現が具体的ですが、じつは「香ばしい」という言葉は日本と韓国にある(香ばしい=グスハン)程度で、大半の言語にはぴったり当てはまる訳語がありません。その分、欧米では特にコーヒーの香りをいろいろなものに喩える表現が増える

#週一文庫「この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた 」 ルイス ダートネル (河出文庫)

一番面白かったのは、P364-366 第13章 最大の発明 では、どうすれば自分で何かを発見できるだろうか? 世界を再び学ぶのに必要な道具はなんだろうか?(中略) あらゆる科学的調査の基本は、宇宙は本来、機械的であり、その厚生要素は宇宙を支配する法則に従って秩序正しい方法で相互に作用しているのであって、神々の気まぐれによるのではないことを理解することだ。根底にあるこうした法則は、身をもってじかに体験し観察したことにもとづく、筋の通った考えによって明らかにできる。(中略) 結

#週一文庫「賃労働と資本/賃金・価格・利潤 」マルクス(光文社古典新訳文庫)

一番面白かったのは、P200~204 賃金・価格・利潤 7.労働力 諸君はみな、自分たちが日々売っているものは自分の労働であると革新している。それゆえ、労働には価格があって、また商品の価格はその価値の貨幣表現にすぎないのだから、きっと労働力の価値なるものも存在するに違いないとおもっている。(中略)しかしながら、その言葉の通常受け入れられている意味では、労働の価値というものは存在しないのである。(中略) どうして市場において、土地、機械、原材料、生活手段--これらはみな、自