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無限ファミチキとヨガ的生活

3月初めの頃だったと記憶している。
ごく仲のよい友人から唐突にファミリーマートのレシートをもらった。
氏曰く、「あなたは、こういうものが好きそうだから」と。
よく見てみると、レシートの下半分はクーポン券になっていて、このクーポン券を使えばホットスナック(ファミチキ、焼き鳥、肉まん等…)が50円引きになるという。
こんなものが好きそうだと思われている奴ってどうなんだろう…と悲しくなりつつも、ときめかずにはいられなかった。私は鶏肉をこよなく愛し、揚げ物欲との戦いには負け続け、そしてちょっとした割引が大好きなのだ。友人は私のことをよく知っているな、と感心した。何ということもないというふうに「ありがとう」と言ったつもりだが、喜びは隠せていなかったであろう。

「友人の厚意を無碍にはできない」との建前のもと、ヨガレッスンの帰り道にいそいそとファミリーマートでアイスコーヒーとファミチキを購入した。50円引きで、280円。
感動である。クーポンがなければ300円を超えていたのだから。
しかし、これだけでは終わらなかった。
マッシュカットに銀縁眼鏡の素敵なお兄さん(たぶん店長)がまたしても50円引きクーポン付きのレシートを寄越したのである。
「あの、また、くださるんですか…」という私の情けない問いかけに、
「はい、良かったら、また使ってください。」と答えるお兄さん。
かくして無限ファミチキとの戦いが始まった。

そもそも普段から「ヨガのレッスン後には何を食べたらいいですか?」という質問をスタジオの生徒さんから頻繁に受けている身である。「運動後は栄養の吸収率が上がっているので、消化しやすく、脂質の少ないものがおすすめです。タンパク質と糖質が基本ですかね。」などと偉そうにニコニコ話している女の、レッスン後のおやつがアイスコーヒーとファミチキ。生徒さんたち、ごめんなさい。申し訳もございません。(家の周りにファミリーマートが無く、スタジオからの帰り道にしかチャンスがない、という申し訳はあるのだが。)

ヨガと合わせて語られることの多い、インドの伝統医療アーユルヴェーダでは、私たちの心は3つの基礎的なエネルギーのバランスで構成される、と言われている。
トリグナ(tri-3つ、guna-性質)という以下の3つである。

・サットヴァ(sattva 純正・調和)
・ラジャス(rajas 動性、活動的)
・タマス(tamas 鈍性、惰性)


ラジャス・タマスを抑制して、サットヴァを目指そうというのが基本姿勢である。
そしてこれらの3つの性質のバランスは、食事・摂取するものからも大きな影響を受ける。
・サットヴァ:新鮮なエネルギーに満ちたもの(野菜、果物、豆類)
・ラジャス:辛味・酸味・塩味の強い刺激物(激辛食品、肉類、ニンニク)
・タマス:鮮度の落ちた、粗雑な物(アルコール、人工甘味料、レトルト食品、油っこい物)

イライラしているときに刺激物(ラジャスティックな食事)を摂れば、イライラを加速させ、ダラダラしているときにレトルト食品(タマスティックな食事)を摂れば、ダラダラを加速させる、というわけだ。
ラジャス・タマスを全否定するものではなく、要は何かに偏るアンバランス(不調)が起きた場合には、サットヴァを高めよう、という優しい考え方なのだと思う。

4回目のクーポン利用により、アイスコーヒーとファミチキを購入した私。
マッシュカットで銀縁眼鏡の店員さんとの関係も、この2週間で知己の様相を呈しつつある。揚げたてではあるが新鮮とは言えず、脂っこく、塩味の効いたお肉。ラジャスティックであり、タマスティックである。
ひとまず、今日のところは自分にやさしく、生徒さんからいただいた新鮮なデコポン(サットヴァ)を添えて食事を楽しもうと思う。

(追記)期間中に、結局5回ファミチキを食べた。反省。

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