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キャスティングできなかった俳優の皆様へ

はじめに

本当はおひとりずつご連絡させていただきたいのですが、この場を借りて皆様に感謝と、キャスティングできなかったことに対して申し訳ない気持ちを綴らせてください。キャスティングされなかったことが否定ではないということをお伝えできればと思います。

競争率が高い

まず、前提として競争率はとても高いものです。1,2人の役に対して直近ですと200人もの方々が応募してきてくださいました。ですので199人は残念ながらお断りしなければなりません。

オーディション時間も限られている

せめてオーディションには来てほしい。
でもその時間も残念ながら潤沢ではありません。
待機室がある、声出しのできる部屋を借りて、受付、カメラ、と人を手配するとそれだけでお金が出ていきます。なので2,3日が限度です。
そうなると30分として、2日で20-30人(組)くらいが限界となってしまいます。200人応募でほぼ10%しか来てもらえないのです。
本当は全員に来てほしい。でもそうはできないので泣く泣く、そこから絞らせていただいています。

要因はたくさんある あなたの外にも

演技がうまくないから落とされたのか、何がいけなかったのか。
そう思われると思います。
でも演技以外にも色々と判断基準があります。キャラクター、相手との組み合わせ、直近のものでいえば英語の経験値(設定と相手との組み合わせで、カタコトで大丈夫な場合もあれば普段話していると信じさせなければいけない場合もある)など、様々な要因が絡み合ってキャスティングが進行します。なのであなたがコントロールできないことも、もっと言えば我々がコントロールできないことでさえ、たくさんあります。

ワークショップでお話したのに・・・

これも実はよくあるんじゃないかと思うので書いておくと、私は縁故キャスティングはしません。真剣につくっている人に失礼だと思うからです。
なのでワークショップに来てくれた=キャスティングしよう、とはならないのです。
※ただし、ワークショップで演技を見せていただいた人、過去にキャスティングさせていただいた人に来てもらうことはもちろんあります。
それはその人の実力、安心感がある程度わかっているので、セルフテープよりも持っている情報が確実だからです。

制作側も同じです

毎回悔しい思いをしているのは俳優の皆さんだけではありません。
私達監督やプロデューサーも、日々企画を書いては断られ続けています。
おそらく年間にアイデアだけなら20本以上、提案できるレベルで10本以上は企画を作っています。何ヶ月もかけて。
そしてその99%は誰の目に触れることもなく消えます。

出会いは無駄ではない

毎回、こんな方がいて、こんな演技をされるんだ、ということに驚かせていただいてますし、脳内には印象が残っています。
今回繋がらなくても、どこかでまたご相談させていただいたり、他の監督との話で「そういえば・・・」ということもあるかもしれません。
スティーブ・ジョブズ曰く、「未来を見て点と点を繋げることはできない、過去を振り返って、それらが繋がっていたことがわかる」

つまり何がいいたいかというと「キャスティングできずすみません、そしてそれの10倍以上の感謝」

これに尽きます。毎回本当に申し訳ないという気持ちでお断りのご連絡をしています。

ぜひまた演技を観させてください

皆さんと作品づくりをしたい気持ちは同じです。
今回は条件が合わなかったかもしれないけど、次回はピッタリの役があるかもしれません。
なので、ぜひまた次回、演技を観させてください。
毎回、本当に楽しみにしています。
私達は映画で人をちょっとだけ幸せにするという志を持った、同じチームです。一緒に素敵な作品がつくれる日を楽しみにしています。

参考:
以前、記したオーディションに対する自分の考え方です。
もし参考になれば幸いです。




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