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就活生が知っておくべきエンタメ業界の常識とは?【エンタメ業界展望トークライブ~就活攻略の第一歩〜 vol.1】

Studio ENTREのインターン生による企画「エンタメ業界展望トークライブ~就活攻略の第一歩」のレポート第一弾をお届けする。

登壇者
StudioENTRE株式会社代表取締役 山口哲一氏
株式会社GDH代表取締役 石川真一郎氏
株式会社コンテンツジャパン代表取締役 堀鉄彦氏

Ⅰ.エンタメ業界外観~メディアに騙されるな~(山口哲一)

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山口氏は、エンタメ業界という業界はなく、音楽業界・アニメ業界・出版業界・テレビ業界・ゲーム業界などそれぞれがその領域で特化している、一種の「村」のようなものであるという。
業界横断型・村横断型のようなものは大まかにいうと存在しないのではないか。
学生がエンタメを仕事にしたいと思うのは間違っていないが、自分が何が好きで、何をやりたいのか具体的に言語化していくのが良い。
実際に、それぞれが独立している上での共通点として【好きなことを仕事にしているので、自己実現感が強い・扱っている分野のコンテンツへの思い入れが強い】ことがあげられる。
また、兼業・副業が当たり前になり、終身雇用という考え方もなくなった。
そんな中で、エンタメ業界は比較的ライフワークに向いている職業だという。
エンタメ関連に就職するには「人脈と経験と熱量」が重要だ。
だからこそ、潜り込める業界であり、新卒でもアルバイトでも(扱いは)あまり変わらない。

Ⅱ.石川流アニメ業界外観(石川真一郎)

コンサルタントとして、様々な業界を見てきた石川氏は、メディアコンテンツ業界に、就職するために・ブランドを身に着けるために入るのはやめたほうがよいのではないかという。

最終的には「その人がどういう人生を歩んできて、その人の能力は何で、どんな経験を積んできたか」が最後評価される業界であるからだ。
エンタメ業界は、その業界で経験を積んだことが価値になる業界ではないという。

そこで、アニメ業界でいうと自分が絵を描く人になりたいのか、物語を作る人になりたいのか、全部をまとめて映像を作る人になりたいのか、プロデュースする人になりたいのかなど
自分でやりたいことが何で、そんな自分になるためにはどういうことをやるのが自分のためになるのかを考えることが必要である。

学生が就職するときには、自分が何に一番なりたいのかを考えるべきである。
たとえば、監督になりたいなど将来クリエイティブ職で生計を立てたいならアニメ業界に最初に入るのは良い。
なぜなら、大量の人たちが色んなクリエイティブをやっていて、色々な人脈ができるからだ。
一方で、最後にアニメの経営者になるのであれば、初めにアニメ業界に入るのは遠いかもしれない。

テレビ局でも成功している人に多いのは、一回飛び出て戻ってきている人などだという。

エンタメ業界で仕事をするには「プロデュース業務」が必要であり、そのためには業界のことだけでなく世の中全体を知らないといけない。

Ⅲ.堀的出版業界診断(堀鉄彦)

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日本のコンテンツ業界は、流通を独占することで業界ができていた。
しかし、構造変化が起き、流通独占がなくなるプロセスが今起きているという。

今は、あらゆるコンテンツが「スマホ」という窓口に、コンテンツ流通がまとめられてしまっている時代。
同時に、プラットフォームを介して消費者とクリエイターが直結するようなクリエイターエコノミーが出てきている。
そこで、どうしたらいいのかを意識の高い出版・新聞業界の人達は考え始めているという現状だ。

業界的には、巣ごもり消費で好景気が続いており、特に漫画出版社を中心に、大好況である。
書店の倒産も帝国データで12件しかなく、久しぶりに数が少ない。デジタルだけではなく、紙も調子が良いという。

また、大手出版社は各社とも、海外版権事業が伸びている状況である。

2021年のトピック①:韓国資本の攻勢

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韓国のプラットフォームが日本の漫画プラットフォームを席巻していることが脅威である。
アプリで1番の売り上げがあるのが、「ピッコマ」であり、ピッコマの売り上げの4割がウェブトゥーンだ。

制作会社も韓国と日本にあり、出版社に頼らないようなプラットフォームになろうとしている。
「ピッコマ」などの事業を統括するKAKAOエンタテイメントは米国でのIPOを計画しており、なんとその資金調達は約2兆円にも及ぶという。

堀氏は沢山の作家を抱えているからといって、日本の漫画が大丈夫なのかと心配している。

2021年のトピック②:メディアドゥの存在感が大きくなった

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メディアドゥが考える今後の業界のDXとして、
コンテンツ業界のDXに合わせて誕生する新たなサービスを拡大が挙げられる。

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今後は出版流通×ブロックチェーンの展開が具体的になり、
メディアドゥは出版流通企業として、NFTのマーケットプレイスも創出し、トーハンを通して、NFTを活用したデジタル付録つきの本を流通し、全国の書店を活性化していくという。
出版社、トーハン、全国書店とともにNFTのマーケットプレイスを創出していく。


2021年のトピック③:クリエイターエコノミーという新たなプラットフォームとの対峙

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日本でも39社が参加し、クリエイターエコノミー協会が発足した。

クリエイターとユーザーをプラットフォームを通して直結させる、出版社を挟まなくても良いビジネスを想定している。
こんな中で、出版社はどのようにビジネスを進めるべきなのか。クリエイターとの関係再構築は、大手出版社にとって大きなテーマになっているという。

ex:DAYSNEO(講談社):編集部と漫画家というのは、持ち込み原稿を読んで批評するというコミュニケーションだったが、オープンなSNSのような形にして、投稿ができる形。
講談社以外も使うことが可能であるという。

堀氏は、漫画ですら、韓国などに浸食されている中で、韓国企業に就職する将来というのも面白いのではないかとはなす。

Ⅳ.音楽業界のこれまでとこれから(山口哲一)

・音楽市場の現状
日本のレコード業界は衰退が続いている。
一方、世界では、サブスクサービスをテコに上昇気流に乗っている。

世界市場の主流は、8割がサブスク売上であり、フィジカル(パッケージ)の売上は全体の約20%だが、そのうち約半分は日本市場であるという。

・世界のトレンドから見る日本の後進性

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山口氏は3つの致命的な遅れがあるという。

①サブスクリプション型ストリーミングサービス普及の遅れ
(不十分な原盤許諾やメタデータ整備)

②デジタルマーケティングの遅れ
(パッケージが7割国内市場に最適化した従来型の手法)

③グローバル市場進出の遅れ
(K‐popと対照的)

・個へのパワーシフトという大きな流れ

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例えば、昔までは、1日20万~30万するスタジオでエンジニアに1時間8,000円程度のお金を払わないといい音楽ができなかったが、今では自宅でDAWを使って音楽が作れるようになった。

また、宣伝方法もマスメディアでスポットCMを流すものから、SNSでの口コミやプレイリストでのPRに変わっていったという。

このように、大きな資金も会社もマストに必要でない時代に、
レコード会社や音楽事務所、事務所が音楽家に与えられる付加価値が何なのか問われている。
さらに、多様な収益源を持つ音楽ビジネスは、これから新しい才能がどうでていくのかが問われているそうだ。

・例えばどうなるの?それは何年後?

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▶レコード会社:グローバルメジャー3社以外は役割が不明で縮小必須。(他の役割を担っていく)
▶マネージメント:全機能を持つ大手と、個人経営的な二極化。そしてYouTuber事務所などの新勢力との融合が進むだろう。
▶コンサートプロモーター:コロナの打撃が最も大きく存続困難な会社もある。市場は有望であるが、DX化の遅れは甚だしく、「選手交代」の必要性。
▶地下アイドル運営やライバー事務所:出自が怪しく、ノウハウも曖昧な会社も多く、淘汰の時期ではないか。

音楽業界・芸能界と言われるところは、情報格差で情弱ビジネスをやってきた。
インターネットでブラックボックス型のビジネスはできなくなったので、今のビジネスモデルがあと10年続くことはないだろう。
しかし、日本は粘り強いのであと3年は変わらないかもしれないという。

次回は、お三方によるエンタメ就活のクロストークや質疑応答についてお届けする。

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