【イベントレポート】音楽マーケティングブートキャンプ参加者の成果発表会
本記事は音楽マーケティングブートキャンプの成果発表を受けて、インターン生が執筆したレポート記事です。
音楽マーケティングブートキャンプ第一期の最終回では、tearbridgeproduction株式会社代表取締役の伊東宏晃氏、ParadeAll代表取締役の鈴木 貴歩氏、デジタル音楽ジャーナリスト/「All Digital Music」編集長のジェイ・コウガミ氏を特別審査員にお迎えし、参加者による報告会が行われました。
実践課題内容としては、実際のアーティストのデジタルマーケターとして、講義で学んだ知識を応用しながら施策を考えました。
簡単にはなりますが、チームごとの発表内容をご紹介します。
〇発表順(アーティスト名)
1.サモエド
2.George Kano
3.Paledusk
4.Lacroix Desphese
5.あれくん
6.Asian City Pop Producers
7.みさき
8.赤坂陽月
9.YINGYANG PRODUCTION
10.DJ Peaceful Q
11.Taichi Ro
12.まなつ
1.サモエド 関西発のパンクバンド
コンセプトは「情報の整理」。アーティストプロフィールの作成や、バンドと楽曲の言語化を行い、必要な場所に必要な情報を置く施策を行いました。マーケティング施策を実行する前に、アーティストの魅力の言語化を行ったということも特徴的でした。
また、ないものは作るというスタンスを持ち、MVなどのコンテンツ作りに取り組みました。最終的には「MVに(視聴ユーザーから)コメントをもらう」という一つの目標を達成することができました。
2.George Kano セッションドラマーのソロプロジェクト
「SNSフォロワーをSpotifyに誘導する」「海外の新規ファンを獲得する」という方針のもと、SNSアカウントの基本セットアップや紹介文のブラッシュアップ、SNS運用などに力を入れました。
この結果、50万人フォロワーがいる公式プレイリストの一曲に選ばれました。効果を最大化する話題づくりと認知拡大に注力し、最終的には、今回の参加者の中でもっともリスナー数、フォロワー数の増加率が高いチームとなりました。
3.Paledusk メタル/ハードコアサウンドの若手バンド
ライブ活動をメインにしたバンドであるため、デジタル領域のメンテナンスや戦略に手が行き届いていないという課題に挑みました。
KPIを「導線となるSNS系の整備&新規フォロワー数UP」と設定し、KGIを「活動をオンラインとひもづけることで、オフラインで獲得したユーザーをオンラインに流し込む」と設定しました。
概要欄の整備、ライブと連動したプレイリストを作成するなどのアプローチを行なった結果、Instagramフォロワー数を7400人から10000人に増加させることに成功しました。
4.Lacroix Despheres 男女ツインボーカルのロックオペラ
各プラットフォームのプロフィール整備、SNS運用、LINE公式アカウント構築、データ分析プログラムの構築などを行い、国別のフォロワー数も確認。また、データ分析結果に応じて、有料であるFacebook、Instagram広告も打ち出しました。
KPIはSpotify、Instagramのフォロワー数10%増加に設定していましたが、結果として、Spotifyは60%増、Instagramは184%増となりました。
学びとしては、「顧客を獲得するために最も多くの費用をかけられるビジネスが最終的に生き残る」という言葉に集約されるとのことでした。
5.あれくん 「ばーか。」で話題になった男性シンガーソングライター
「コアなファンづくり」に取り組みました。行なった施策は26件、アクションは114回と行動量が秀でていたチームです。
また、実践時期とアルバムの発売時期が重なっていたこともあり、ファンの期待感を上げ、拡散につながるような施策を行いました。具体的には、SNSでのティザー映像の配信、カウントダウン、ハッシュタグを用いたTwitterイベント「あれくん祭り」などです。
この結果、YouTubeの登録者数6.8%増、Spotify登録者数13.4%増に繋げることができました。
6.Asian City Pop Producers 日本の80s、90sのCItyPop
アーティストの認知度が低く、ファンもまだ少ないため、ほぼゼロからマーケティングを行いました。認知拡大のための施策としては、YouTube Shorts、Instagramリール、TikTokを中心にコンテンツ発信を行いました。また、プレイリスト作成や短尺の動画作成など、実行施策数は100以上だといいます。また、海外リーチ強化のために、Facebookの活用も行い、ターゲットに受けるカバー画像のPL投稿をしたところ、フォロワーが急増しました。結果として、イタリアとマカオにてニ曲がチャートインするなど、海外リスナーへのアプローチに成功しました。
7.みさき TikTock発、長崎出身の女性シンガーソングライター
KGIとして以下を設定しました。
1.歌うまTikTokerからの脱却
2.カバーよりもオリジナル曲へ
3.現場に強いアーティストになる
プリアド・プリセーブ機能を活用し、Spotify、Apple Musicにおいてそれぞれプレイリストに入りました。また、YouTubeライブや再生リストの作成など、YouTubeコンテンツの拡充を行いました。
8.赤坂陽月 ヒューマンビートボクサー
このチームでは、Spotify、YouTube、TikTok、Instagramなど、各デジタルプラットフォームに合わせて施策を行いました。
結果として、TikTokのプロフィール表示回数は、月間7回→162回に増加し再生回数は88万回にも上るなど、リーチ数の増加に繋げることができました。
9.YINGYANG PRODUCTION ISH-ONEが主催するHIPHOPレーベル
このチームでは、Spotify、YouTubeアカウントの整備、SNSでの投稿に加えSpotify for artist、Tune Coreの分析を行いました。今回の実戦を通して得た学びとしては、「定期的な楽曲リリースがサブスク時代最強のマーケティング施策なのではないか?」ということだそうです。
10.DJ Peaceful Q 札幌を拠点に活動するトラックメイカー
受講生ご自身がアーティストかつマーケターとして「アーティストのデジタル市場における最適化」に取り組みました。具体的には、アーティスト写真撮影、YouTubeバナーの更新、SNS及びリンクの最適化を行いました。
この結果、SNS関連のフォロワー、登録者数の増加に繋げることに成功しました。今後はクリスマス商戦に向け新曲リリース、キャンペーンを行なっていくとのことです。
11.Taichi Ro 沖縄県出身のPop/R&Bアーティスト
このチームでは、以下をKPIに定めました
・沖縄県内の再生回数・リスナー数の獲得
・沖縄出身アーティストとしてのマーケティングコミュニケーション構築
・Instagramを活用したアーティスト認知活動・ファンとの交流
そこでFacebookやInstagram広告の実施や、音楽配信サービスのプロフィール作成の他、地元メディアへのアプローチを行いました。
結果、広告効果によって沖縄県在住者にリーチし、再生回数目標5000回の261%を達成しました。アーティストとして長く活動するKGIに向けて重要な基盤を形成することができました。
12.まなつ 3ピース青春ロックバンド
KPIは、YouTube登録者数10%増、Spotifyの月間フォロワー数10%増を目指しました。実施施策としては、プレイリストピッチング、TikTokアカウントでの投稿によるPR活動、TikTokerへ直に楽曲使用依頼など行いました。
結果として、KPIを達成することができました。学びとしては、TikTokでの毎日投稿は表示回数への影響が明確であり、試作におけるトレンド感が重要かつ、各プラットフォームを行き来できる導線作りが重要であると気づいたとのことです。
〇結果発表
今回の審査結果は以下の通りとなりました。
シャイニングスター賞:あれくんチーム
伊東宏晃賞:DJ Peaceful Qチーム
鈴木 貴歩賞:Lacroix Despheresチーム
ジェイ・コウガミ賞:Taichi Roチーム
〇講評コメント(一部抜粋)
伊東氏:アーティストが自らマーケティングを学び、実行する姿勢が素晴らしいと思った。今後、成果でヒットを生み出すためには、裏方とアーティストがチームで動くことが大切になってくる。業界の実情を知り、戸惑うこともあると思うが今回の学びを今後に活かしながら活躍していってほしい。
鈴木氏:全てのチームが基本に忠実に施策を実行しており、甲乙がつけがたかった。今後、基本だけでは数値が伸びない壁に直面することもあると思うが、第三者の視点=音楽業界から外れた視点を持つことが非常に大切になってくるのではないか。
〇まとめ
全14回の音楽マーケティングキャンプ第一期が終了しました。多様な業界から受講生が集まっており、お互いの知識や視点を活かしながらマーケティングに取り組まれている姿が印象的でした。受賞を逃し悔しい、と語る受講生の方もいらっしゃいましたが、その思いを今後の活躍に繋げてほしいと感じました。講師陣の皆様、受講生の皆様、4か月間大変お疲れさまでした。
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