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#12:ミキシングする人に心の平安を

こんにちはもりーです。なんと2日連続投稿。

最近フリーでアカペラや歌ってみた等色々ミックスの依頼を受けているわけですが、そこで思ったことをつらつらと偉そうに書いてみます。

内容が内容なのでごく一部の方の神経を逆撫でする可能性が極めて高いですがご了承下さい。

この記事を書くにあたり、ざっくりと2つの観点から考察を交えて書いていきたいと思います。

なめとんのか?と思うこと (作り手編)


いきなり喧嘩腰なタイトルですが、このように書かせていただきます。先日このようなツイートを見かけました。

まぁそうですよね、仰るとおりだと思います。
確かにMIXという仕事はスキルへの報酬という側面が非常に強く、コンビニのアルバイトのように店に1時間いたから1000円、というようなものではありません。
手際がいい人が30分でできることをチンタラ時間をかけて3時間でやったから報酬は6倍、というようにはならないでしょう。
特にコンビニバイトのような常に店長さんや社員さんがサボっていないか目を光らせている環境と比べると家で自由気ままに作業できる仕事ですので作業時間ベースの報酬が得られるほど社会は甘くないです。

ですが言わせてもらいたいです。ココナラなどの外注サイトのミキシング代行サービスの相場はあまりにも安すぎます。下の画像はココナラの2021年6月28日現在の価格です。
(プライバシー保護の観点から名前には斜線を入れています。)

キャプチャ

ざっと中央値が3000円くらいでしょうか。

いや安すぎません?

いくら技術に金を払っているとしても、明らかに安すぎると思います。また、TwitterなどのSNSには無料でミキシングをしますという方々も星の数ほど見つかります。
無償ってなに?赤の他人のミックスを無償でやってあげれるくらい時間が有り余ってるならまじで働いたほうが1000倍いいよ、って思うんです。

技術を持っており、その技術を他人様に商品として売り出せる自信があって初めて”MIX師”(僕はこの言葉すごく嫌いです)を名乗っていいのではないでしょうか。技術の安売りをするのではなく、良いものを提供できる自信があるんだったらもっとお金をとるべきだと思います。

あ、もしかして自信が無いから保身のために格安で引き受けてるんですかね?
じゃあ”低価格で高音質!”とか恥ずかしい事商品名に書いちゃいけないでしょ。自称プロがこの界隈にはあまりにも多すぎて本当のプロと自称プロの見分けがつかないのが問題だと思います。
自分が下手な自覚があってそれでも経験を得たいなら
「下手なので格安で引き受けます。カットモデルの感覚でご利用ください。」
って正直に言えばいいのに中途半端に見栄を張って自分を能力のある人間だと利用者に錯覚させるのはいい加減やめたほうが良いと思います。

なめとんのか?と思うこと(依頼者編)

作り手の問題は前述しましたがまだ終わりません。依頼者にも個人的になめとんのか?と思うことがあります。
まず最初に依頼者も同じクリエイターですので共通の言葉を学びましょうと言いたいです。ステレオとモノラルの違いとか、ファイルの拡張子とその特性とか学んだほうが身のためになりますよ。
歌ってみたにチャレンジしたい!っていう気持ちは大事です。
ですが、その気持ちだけでは作品は完成しません。
Googleに「歌ってみた 録音 方法」など入力してみましょう。
初心者向けのサイトがゴロゴロ出てきますのでそれらをしっかり読んだ上で依頼をするようにしましょう。ミックスを行う人もクリエイターですので、歌い手とできるだけ細かく打ち合わせをしたいと思っています。
それを無下にするのは依頼する側からしても料金通りのサービスを満足に受けられないことに直結するので、言ってしまえば知らないことで損をしていることになってしまいます。ミキシングができなくても、好きなエフェクトとか、こういうテクニックを取り入れたいとかそういう要望が言える程度の知識はしっかり身につけたほうがいいでしょう。

次にいくら技術が発達して音程やリズム、ハーモニーといった音楽の三大要素を根っこから編集できるようになったとしても結局歌が上手い人は上手いし下手な人は練習して上手くなるしかないぞっていう点です。
MIX担当にクソみたいなテイクを送りつけるのはやめましょう。素材が良くないとどんなに技術が優れていたとしても作れる作品に限界があります。
腐った卵持ってきて「新鮮卵のこだわりプリン作れ!!」とか言われても無理なのと一緒です。
何回でも取り直して何回も聞き直してください。ノイズは乗ってないか、リズムは合っているか等など聞き直して聞き直しすぎることはありません。何百回も取り直してください。
レコーディングはよほど上手い人で無い限り、「奇跡のワンテイク」をツギハギにしていわば「奇跡のフランケンシュタイン」を作り出す作業です。
最近巷ではThe First Takeという一発取りに拘った音楽チャンネルが大人気ですが、あの人達は歌一本で飯が食えるプロです。プロは常に上手いからプロなのです。

また、チャレンジする心意気はすごく大事だと思いますが、最低限の機材は揃える必要があると思います。
コロナ禍で対面でのサークル活動が禁止になり、ミックスを前提としたリモートアカペラが爆発的に流行りましたが、これは所詮気を紛らわせるためのお遊び企画に過ぎません。少なくとも僕はその感覚でミックスしてます
本気で作品を作りたいと考えるのであれば最低限オーディオインターフェースとSM58を買いましょう。Twitterで検索すると「スマホ録音をバカにするな」「機材が買えない人だっているんだ」といった声がちらほら見えますが、僕はそれらの声にはこう答えます。

「バカにしてるわけではないけどそれで同じ土俵に立てると思うのは虫が良すぎる話じゃね?」

この一点に尽きるわけですね。
ノイズまみれのロクにテイクを重ねてない録音を送りつけてさぁミックスしろと言われても作れるものには限度がありますし、その録音をある程度聞けるようにするためにノイズを削ったり、ピッチやタイミングを補正する時間があまりにももったいないのです。
できることなら持てる時間の全てをそのミックスに注ぎたいのですが、その前の下準備に時間がかかりすぎるという端的に言ってダルい状況が生まれるわけです。
しかもそのような工程を経て加工されまくった音声が良いマイクでテイクを重ねて録られた音声に勝てる要素が微塵もあるはずがないです。
このような言ってしまえば”ナメてる”人を排除するためにもある程度高い価格を設定するのもこちらの仕事の一つなのかもしれませんね…笑

「機材といっても値段はピンキリだし商品も多いから何を買えばいいのかわかんな~い」って方も大勢いらっしゃると思いますが、だからといってスマホで録音を済ませようとするのはあまりにも双方にとって時間の無駄でしかありません。
物理的に機材を所有するのが嫌だという方はリハーサルスタジオでオーディオインターフェースコンデンサーマイクを借りてノートパソコンやスマホを持参して録音だけスタジオで済ませちゃいましょう。2つ合わせても1時間で600円くらいしかしません。
最近のオーディオインターフェースはiOSやAndroidにも対応しているのでスマホを接続すればそれだけで高音質な録音が可能になりますので、パソコンが無いっていうのも今となってはレコーディングを断念する理由にはなりません。
「機材買うお金も、スタジオに行くお金も、ミックスを依頼するお金も無いんや!わいは中学生でお小遣いは月500円や!」みたいな方は親御さんにしっかり相談して機材を買ってもらうなりスタジオ代だけ別で貰うなりしましょう。
親が家にいるから大きな声で歌えないとかいう理由でボソボソ歌ってるスマホ録音を送られてもそれは本人の努力不足としか解釈できません
リハーサルスタジオはだいたいカラオケより安いのでカラオケ行くことに比べれば全然負担無いですよね笑

このようにネット界隈の依頼者も依頼者で悪く言うと性根が腐ってるので今一度「なぜ作品を作りたいのか?」「その作品は自分以外の人に外注してまで行う価値があるものなのか?」という点をしっかり考えてから依頼を行うようにしましょう。
もちろん自称プロの人達も賢く利用できるなら利用しない手はないので、ピッチ補正だけ依頼するとか、マスタリングだけお願いするというような局地的な外注をすることで自分が持っていない機材を補ったり、貴重なリソースを節約できますのでそこも視野にいれるといいかもしれません。


さいごに


色々と偉そうなことをつらつらと書きましたが、自分はあくまで趣味のレベルで音楽制作を行っている身分で思ったことを書いただけですので、もちろんスタジオ所属のプロのクリエイターさんや、レーベル所属のアーティストさんに向けたものではありません。感想や意見があれば是非お気軽にコメントをお願いします。



最後まで読んでいただきありがとうございました。もりーでした。

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