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セリエA所属選手の身長と年齢の構成 女子編

 以前の分析で、セリエA所属選手の出身国のデータを集計しました。

 また、同様の集計を男子の選手の身長と年齢で行いました。

 その結果、男子では全体的に若年化が進行中で、そして、1部(A1)のSpikerとMiddle blockerは依然として大型化は続いており、Liberoは小型化が進んできていることが分かりました。
 
 今回は女子のデータでこれをやってみたいと考えています。

リーグの年齢構成の変化

  最初に見るのは、シーズンごとのリーグの年齢構成のデータです。選手の年齢を以下の6つのグループに分け、シーズンごとに内訳を求めました。
 
・19歳以下 ・20 ~ 24歳
・25 ~ 29歳 ・30 ~ 34歳
・35 ~ 39歳 ・40歳以上
 
 これらのデータは、Spiker、Middle blocker、Setter、Liberoの4つのポジションでそれぞれ集計しています。
 
 最初に、1部(A1)のSpikerの年齢構成を以下の図1-1-1に示します。

 バーの色で年齢のグループを表しています。図の下の方が過去のシーズン、上が最新のシーズンとなります。
 
 データを見ると、細かい変動はあるものの、年齢構成に大きな変化はありません。男子で見られたような若年化は見られないといえます。
 
 次に、Middle blockerのデータを以下の図1-1-2に示します。

 Middle blockerにおいては、黄緑(19歳以下)と緑色(20 ~ 24歳)の部分が緩やかにふえつつあります。
 
 続いて、Setterのデータを以下の図1-1-3に示します。

 シーズンによって構成に変動はありますが、若年化や高年齢化を示す傾向は見られません。
 
 最後に、Liberoのデータを以下の図1-1-4に示します。

 2000年代には黄緑(19歳以下)と緑色(20 ~ 24歳)の割合が増えてきていましたが、2010年代に入り黄色(25 ~ 29歳)やオレンジ(30 ~ 34歳)、赤(35 ~ 39歳)の割合が増えます。2000年代に台頭した選手が年をとったということではないかと考えられます。
 
 以上の集計を、2部(A2)でも行ったものを以下の図1-2-1から図1-2-4に示します。

 全体的に1部(A1)と比較して、黄緑(19歳以下)と緑色(20 ~ 24歳)の若い選手が多く、またその割合も増加傾向にあります。若年化が進んでいるといえます。

身長の分布の変化

 ここからは、年齢構成を見てきたのと同じように、ポジションごとに身長の分布を見ていきたいと思います。まずは1部(A1)のSpikerのデータを以下の図2-1-1に示します。

 年齢構成と同じく、身長を5cmごとに区分し、その割合を求めています。
 
 データを見ると、2010年以降、黄色の185cmから189cmの選手の割合が増えてきていることがわかります。つまり、Spikerにおいては2010年代に入っても選手の大型化は続いているといえます。
 
 次に、Middle blockerのデータを以下の図2-1-2に示します。

 Middle blockerでは、黄緑の180cmから184cmの選手の割合が減少し、代わりに黄色の185cmから189cmの選手、オレンジの190cmから194cmの選手が増加傾向にあり、大型化が進んでいます。
 
 続いて、Setterのデータを以下の図2-1-3に示します。

 Setterでは、水色の170cmから174cmの選手の割合が減少しており、黄緑の180cmから184cmの選手の割合が増加しています。こちらでも大型化は進行しています。
 
 最後に、Liberoのデータを以下の図2-1-4に示します。

 Liberoは明確に身長の低い選手が多くなってきています。これは、男子でも見られた傾向です。
 
 2部(A2)でも行ったものを以下の図2-2-1から図2-2-4に示します。

 図2-2-2のMiddle blockerでは、黄色の185cmから189cmの選手の割合が緩やかな情感傾向にあり大型化を確認できますが、図2-2-1のSpikerと図2-2-3のSetterでは大型化は見られず、図2-2-4のLiberoは1部(A1)と同じ小型化が進むという傾向でした。

まとめ

 以上のデータより、セリエAの女子では1部(A1)では若年化は見られなかったものの、2部(A2)で進行中であることを確認できました。
 
 そして、1部(A1)のSpikerとMiddle blockerに加え、Setterでも大型化は続いていること、Liberoは小型化が進んできていることが分かりました。
 
 こうしたデータは、それが分かったところでチームが強くなったり、個人が上達するようなものではありません。しかし、国単位での強化・育成を志した場合、世界の動向に関する情報はやはり必要になります。
 
 そして、強化や育成の方針が誤っていないかを判断するためにも、関係者だけではなく一般の人もこうした動向を把握しておいた方が良いのではないかと思います。選手の大型化が……、とイメージで語られることが多いかもしれませんが、データとしてざっくり流れを把握するのに役立てばと思います。
 
 今回分析したデータは、以下のリンクより利用可能です。

 使ったファイルは以下になります。
 
・Lega_f_playerlist_2000-2021.csv

データ元

タイトル画像:いらすとや







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