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セリエA所属選手の身長と年齢の構成 男子編

 以前の分析で、セリエA所属選手の出身国のデータを集計しました。

 今回は同じような集計を、選手の身長と年齢でやってみたいと思います。
 
“世界では選手の大型化が進み……”
 
 これは、近年のバレーボールを語る上では枕詞のように頻繁に耳にするものですが、実際のところはどうだろう?というのをこの20年のセリエAで見てみたいというわけです。
 
 大型化が進み……といっている人が想定している時期は多分2000年以前の事だとは思うのですが、今回は手持ちのセリエA男子、2000/2001シーズン以降のデータを見ていきます。
 
 データ元のセリエAの公式サイトでは、2000年以前のチームのメンバーのデータも見ることができますので、興味のある方はより遡ってデータを集めて集計してみてください。 

 

リーグの年齢構成の変化

 最初に見るのは、シーズンごとのリーグの年齢構成のデータです。選手の年齢を以下の6つのグループに分け、シーズンごとに内訳を求めました。
 
・19歳以下 ・20 ~ 24歳
・25 ~ 29歳 ・30 ~ 34歳
・35 ~ 39歳 ・40歳以上

 
 これらのデータは、Spiker、Middle blocker、Setter、Liberoの4つのポジションでそれぞれ集計しています。
 
 最初に、1部(A1)のSpikerの年齢構成を以下の図1-1-1に示します。

 バーの色で年齢のグループを表しています。図の下の方が過去のシーズン、上が最新のシーズンとなります。
 
 データを見ると、黄緑(19歳以下)と緑色(20 ~ 24歳)の部分が、近年は伸びてきていることが分かります。一方で、オレンジ(30 ~ 34歳)の割合は減少傾向にあります。
 
 これらの傾向から、近年の1部(A1)のSpikerは若年化が進んできているといえます。
 
 次に、Middle blockerのデータを以下の図1-1-2に示します。

 Middle blockerにおいても、Spikerと同じ若い選手の割合が増えてきていることが分かります。
 
 続いて、Setterのデータを以下の図1-1-3に示します。

 SpikerとMiddle blockerと比較すると、世代ごとの割合が近くなっています。
 
 最後に、Liberoのデータを以下の図1-1-4に示します。

 SpikerとMiddle blockerと同じく、若い選手の割合が増えてきています。リベロの導入は1998年なので、導入間もない2000/2001シーズンごとは比較的年齢の高い選手が担当していたためではないかと考えられます。
 
 以上の集計を、2部(A2)でも行ったものを以下の図1-2-1から図1-2-4に示します。

 全体的に1部(A1)と比較して、黄緑(19歳以下)と緑色(20 ~ 24歳)の若い選手が多いのが特徴だと思います。特に図1-2-3のSetterで顕著です。
 
 ただ、Middle blockerのみ、直近のシーズンでは黄緑(19歳以下)と緑色(20 ~ 24歳)の若い選手が減少傾向にあります。
 
 最後に、期間は短いですが、3部(A3)のデータを以下の図図1-3-1から図1-3-4に示します。

 2部(A2)と比較して、さらに黄緑(19歳以下)と緑色(20 ~ 24歳)の若い選手が多いことが分かります。

身長の分布

 ここからは、年齢構成を見てきたのと同じように、ポジションごとに身長の分布を見ていきたいと思います。まずは1部(A1)のSpikerのデータを以下の図2-1-1に示します。

 年齢構成と同じく、身長を5cmごとに区分し、その割合を求めています。
 
 データを見ると、黄色の200cmから204cmの選手の割合が増えてきていることがわかります。つまり、Spikerにおいては2010年代に入っても選手の大型化は続いているといえます。
 
 次に、Middle blockerのデータを以下の図2-1-2に示します。

 Middle blockerでは、オレンジの205cmから209cmの選手の割合が増えてきていることが分かります。Middle blockerでも大型化は続いているといえます。
 
 続いて、Setterのデータを以下の図2-1-3に示します。

 Setterの構成にはそれほど変化がありません。
 
 最後に、Liberoのデータを以下の図2-1-4に示します。

 Liberoは明確に身長の低い選手が多くなってきています。これは、Libero導入当初は別のポジションからLiberoになる選手が多かったことに対し、時間が進むにつれて、最初からLiberoとして育ってきた身長の低い選手が出てきたことが原因ではないかと思います。
 
 2部(A2)でも行ったものを以下の図2-2-1から図2-2-4に示します。

 図2-1-1の1部(A1)のSpikerで見られた選手の大型化は、2部(A2)では見られません。
 
 図2-2-2のMiddle blockerは、黄色の200cmから204cmの選手の割合が増えたり減ったりで、一貫した大型化は見られません。めぼしい選手は1部へと引き上げられてしまうからでしょうか?
 
 図2-2-3のSetterと図2-2-4のLiberoは1部(A1)と同じ傾向でした。
 
 最後に、3部(A3)のデータを以下の図図2-3-1から図2-3-4に示します。

 期間が短いので、それほど変化が見られないという結果です。

まとめ

 以上のデータより、セリエAの男子では全体的に若年化が進行中です。
 
 そして、1部(A1)のSpikerとMiddle blockerは依然として大型化は続いており、Liberoは小型化が進んできていることが分かりました。
 
 Liberoの小型化は黎明期に別のポジションから転向した選手が中心だったものが、最初からLiberoとして育ってきた身長の低い選手が多くなってきたことが原因だと考えられるので、小型化の流れも近々落ち着くのではないかと考えられます。
 
 一方で、SpikerとMiddle blockerの大型化はどこまで続くのか、人間の慎重にも限界はあるので、どこかでストップはするのでしょうが先が読めません。
 
 そして、身長が高ければ高いほど良い選手!と単純なことはいえませんが、大きな選手への需要があり、それに対して供給がなされていることが現状の大型化になっているという現象があるということは知っておく必要があると思います。
 
 この選手の大型化が、自国のイタリア人選手の供給によってなされているのか、外国人選手によって補われているのか?という点は検証が必要かもしれません。データは公開していますので、興味のある人はやってみてください。
 
 今回分析したデータは、以下のリンクより利用可能です。 

 
使ったファイルは以下になります。
 
・Lega_playerlist_2000-2021.csv

タイトル画像:いらすとや











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