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藤浪晋太郎の打球の性質

 これまで藤浪晋太郎選手のデータをあれやこれやと分析してきました。結構な量になったのでこれまでの分析のリンクは末尾に載せておきます。
 
 今回のテーマは以前取り上げた、藤浪選手のゴロについての続報です。

 アスレチックス時代の藤浪選手のゴロは打球速度が100m/hで角度が0°付近のゴロが多かったのですが、ここは安打になり易い速度と角度になります。この傾向がオリオールズ移籍後にどのように変化したかを確認したいと思います。

打球の角度と速度とアウトになりやすさ

 まずは、打球の角度と速度からアウトになりやすさとしてアウト期待値を求めたいと思います。
 
 Baseball Savantの以下のリンクから、打球の角度と速度がどのような成績になるかを求めることができますが、今回は藤浪選手の打球とアウト期待値を紐付けたかったので自分で計算しました。 

 というわけで、打球の角度と速度とアウト期待値の関係を以下の図1に示します。

  データは2021年から2023年までの打球(バントを除く)を対象としています。打球の角度を表す破線を目安として表示していますが、この原点の位置からの距離が打球の速度を表し、減点から遠いほど打球の速度が速いことを表します。プロット位置の減点からの角度が打球の角度を表します。
 
 図中のプロットの色がアウト期待値を表し、水色に近づくほどアウトになり易い打球であることを意味します。一方で、赤色のプロットは安打やエラーになり易い打球になります。

藤浪選手の打球の比較

 図1のアウト期待値を求める過程で、2023年の藤浪選手の打球にもアウト期待値の値を求めることができました。
 
 この藤浪選手のアウト期待値の値を、打球の角度と一緒に集計しました。まずはアスレチックス時代のデータを以下の図2-1に示します。

  打球の角度と速度、アウト期待値の色の見方は図1と同じです。この図では打球の結果について、アウト(〇)と安打(×)とHR(※)の形を変えています。
 
 以前の分析で問題視したのは、以下の図2-1-2に示す赤の破線で囲んだ部分です。

 この部分の打球、確かに×が多く安打を打たれていることが分かります。では、オリオールズ移籍後にどうなったのか、データを以下の図2-2に示します。

  図2-1-2の赤線で囲んだ範囲の打球は少なくなっていることが分かります。

藤浪選手の投球とアウト期待値 

 オリオールズ移籍後は危険な打球の角度と速度の打球が無くなったことを確認できましたが、いったいどのような投球をしてこれが可能になったのかというところが気になります。そこで今回は、藤浪選手の投球のうちゴロを打たれた投球位置のデータを見てみたいと思います。
 
 まずは左打者にストレートを投げた際にゴロを打たれた投球位置を以下の図3-1-1に示します。

 左にアスレチックス時代、右にオリオール移籍後のデータを示しています。黒の横線が地面のラインで、グレーの破線がストライクゾーンを表します。この図は捕手視点によるものなので、左打者はゾーンの右側に立ちます。

 プロットの色と形は図2と同じで、アウト期待値と結果を表します。
 
 データを見ると、アスレチックス時代はストライクゾーン内の真ん中あたりでのプロットが多く、×が目立ちます。またアウトになった〇の中にも赤が濃いプロットもあり、危険なゴロが多かったことが分かります。これがオリオールズ移籍後は無くなっています。
 
 続いて、右打者のデータを以下の図3-1-2に示します。

  右打者はゾーンの左側に立ちます。データを見ると、左打者と同様の傾向を確認できます。また、オリオールズ移籍後も真ん中あたりに×があり、危険なところに投げれば安打を打たれることには変わりありません。
 
 次に、変化球のデータについては、スプリット以外はサンプルが少なかったのでここでの紹介は割愛します。スプリットのデータを以下の図3-2-1と図3-2-2に示します。

  ストレートと共通しているのは、ストライクゾーン真ん中付近への投球がアスレチックス時代には多い所です。オリオールズ移籍後はこれが改善しています。

まとめ

 アスレチックス時代に見られた、安打になり易い危険なゴロは、オリオール移籍後は無くなっていました。投球位置から見るに、アスレチックス時代はストライクゾーン真ん中付近の、所謂危険なコースへの打球を打たれていることがわかりました。
 
 これがどういう投球の結果なのか、予想としてはカウントを取りに行ったようなケースだとは思いますが、この辺りはもう少し掘り下げが必要かもしれません。 

藤浪選手のこれまでの分析


タイトル画像:いらすとや 

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