投手から見た打球の距離とHR
前回の分析では、大谷翔平選手の投手のデータから、打球の距離からHRとなる期待値を求め、その分布を確認しました。
今回は他の投手でも同じようにHRの期待値の分布を見ていきたいと考えています。といっても、投手全体の期待値の分布を求めても、それは打者全体の分布と同じものになります。そこで今回は、投手個人のHR期待値の分布から、投手をいくつかのグループに分類して、その特徴を見ていこうと思います。
例えば、2021年の投手での大谷選手のHR期待値は以下の図1のようになります。
これは前回見たものでもありますが、投手ごとにデータを集計すればこのようなHR期待値の分布のパターンを得ることができます。これをクラスター分析(k平均法)という手法を用いて、似たようなパターンをもつ投手のグループを抽出しました。
HR期待値による投手の分類
分析の対象は、2018・2019・2021年にゴロを除く打球(フライ・ライナー・ポップフライ)の記録が100以上ある投手とします。抽出するグループの数は任意に指定できるので、今回は6グループとしました。
抽出した6つのグループのHR期待値の分布を以下の図2-1と図2-2に示します。
HR期待値が90%以上の危険な打球が多いのはGroup3とGroup5になります。この2つのグループの違いは、50%を超える期待値の割合がGroup3のほうが高いことで、投手としてより危険な被弾リスクが高いのはGroup3といえます。
HRの期待値が高い打球が少ないのはGroup2で、残りのグループに大きな違いはありません。指定したグループ数が少し多かったかもしれません。
確認のために各グループの期待値の内訳を以下の表1に示します。
それでは、こうしたグループにどのような投手が該当するか、全員を紹介するのは手間なので、各グループで2回以上該当した投手のリストを以下の表2-1と表2-2に示します。
太字の投手は3シーズンとも該当する投手になります。HR期待値の高い被弾リスクの高い打球の多いGroup3とGroup5、逆に被弾リスクの高い打球の少ないGroup2にリストアップされた投手は要注目かと思います。イメージとあっているでしょうか?
まとめ
以上、投手のHR期待値の分布のパターンから分類を行いました。
投手のHRの被弾リスクは、フライあたりのHRの割合(HR/FB)で評価されることが多いですが、こうした観点から見ることもできるのではないでしょうか。
タイトル画像:いらすとや
データ
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