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投手から見る打球の距離とHRの関係 2021年大谷翔平編

 これまでの分析では、打球の距離からHRになる期待値を求め、このHRの期待値の性質を検証してきました。

 これらの分析は打者の視点からのものでした。今回は視点を変えて投手から同様のデータを集計してみたいと思います。
 
 こういう時にうってつけなのが大谷翔平選手で、打者大谷のHRの期待値と、投手大谷のHRの期待値を比較したいと思います。

HR期待値の分布

 まずは2018年から2021年までのMLBの記録を用いて、ゴロを除く打球の距離からHRになる確率を求めました。
 
 これらのデータから2021年の大谷選手の飛球を、HRの期待値を10%ごとに区分しその内訳を求めたものを以下の図1-1に示します。

 (P)Shohei Ohtaniが投手大谷の内訳、(B)Shohei Ohtaniが打者大谷の内訳を表しています。破線はMLB全体の内訳を表します。
 
 打者大谷はHRの期待値90%以上の割合が高いのに対し、投手大谷はHR期待値が60%以上の割合が低いことが分かります。
 
 このデータはMLB全体からHR期待値を求めたものですが、当然球場によってHRになりやすさは異なります。そこで、球場ごとに飛球の距離からHR期待値を求め集計した球場法制のデータを以下の図1-2に示します。

 多少内訳が変わりましたが、HRの期待値90%以上の割合で投手大谷と打者大谷の差が顕著なことには変わりありません。
 
 図1で見たのは割合のデータなので、HR期待値ごとの実数のデータを確認しておきたいと思います。球場補正のないMLB全体のデータを以下の図2-1-1と図2-1-2に示します。

 左側が投手、右側が打者のデータになります。大半が期待値10%未満になるので、ここは図からはみ出しています。図中の数値はその本数になります。
 
 左側の投手のデータでは、HR期待値が高い飛球自体が少ないことが分かります。
 
 次に、球場補正を加えたデータを以下の図2-2-1と図2-2-2に示します。

 データの傾向として大きな違いはありません。
 
 以下の表に図2で使用したデータをまとめておきます。

まとめ

 以上、大谷選手のデータからこれまでとは視点を変えた分析でした。結果としては、打者としてはHR期待値の高い飛球が多く、投手としては少ないというもので、重宝されるのも納得のデータです。
 
 とはいえ投手1人分のデータを見たに過ぎないので、次回は他の投手のデータも見ていこうと思います。

タイトル画像:いらすとや

データ

 

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