尊いと 咽び泣くのは ヲタの声

「アイドル歌会」というイベントを知り、その選者に俵万智さんがいると知り、更に詠み手でいぎなり東北産の律月ひかるんが出ると知った時、(こ…これは絶対面白いやつでは…!)と確信した。

というのも、俵万智さんは「ホスト万葉集」というホストの歌会にも携わっていて、以前にその本を読んだ際、とっっっても面白かったのだ。
(歌はもちろんのこと、最後に読み手の人達の写真が並べられていたのがホストっぽくて感激した。)

そしてひかるんはうさぎ天使魔法少女こと、言葉の魔術師である。
もともと大好きだったけど、このインスタの投稿を見てもっともっと大好きになった。

傷付いたことあったら、痛いの痛いのとんでけしてあげるからね

最高of最高である。
そんな彼女が歌会に出るとなると、とうとうひかるんが見つかる…!と心踊った。
イベント内での話によると、ファンの1人が司会の吉田さんに是非!とオススメして、吉田さんが即決したらしい。こんな素晴らしい世界を実現してくれて、そのファンの方には感謝を叫びたいくらいである。
また、ひかるんは文章を考える際はひらがなと漢字のバランスを考えたり(ばかっぽく見えないひらがな使い方を目指しているらしい)と、かなり推敲しているとのこと。あのひかるんワールドは努力の上に成り立ってるんだなあ。

このイベントは、ukkaのライブと日程被りしてしまったためアーカイブで見たのだけど、その中で吉田さんが「僕はこの後、舞浜アンフィシアターにukkaを見に行きます!」と言っていた。本当にこの人はDDの鑑だ。いやはや全く頭が下がる。

そういう訳で、舞浜で今頃歌会どんな感じなのだろうと思いながらTwitterを見たところ、目に飛び込んできたのがこの歌。

ukka新体制の初お披露目を前に期待と不安が入り混じりソワソワしていたところに、この歌にガツンと殴られた。

この歌は、最初私はひかるん自身の視点で詠んでいるのだと思った。
握手を通じてひかるんのエネルギーを分け与えていて、それで例えひかるんの寿命が減ってもそれでもいいよ、という。
アイドルが私たちファンに与えてくれるものを詠んでいるのだと思い、そしてこれから始まるライブを思ってホロリときた。

が、しかし。
実際のひかるんの意図としては、ファンの視点で、「自分の寿命をひかるんに渡すくらいの気持ちで来てね」(意訳)とのこと!
寿命とは、アイドルとしての寿命のことで、みんなが握手して応援してくれることで、その寿命が伸びている、という思いを込めた歌らしい。
ひかるんは、私が想像した以上にずっと"ひかるん"だった。いやもう迷いなく好き…。
こうやって、見る側によって違う捉え方をすることも短歌の面白さだと思う(ってひかるんも言っていた。)

ひかるんの紡ぎ出したどの歌も、ひかるんワールドがぎゅっと詰め込まれていて素敵だったけど、この歌は特に胸のど真ん中に刺さって、今日まで何十回と心の中で反芻し続けている。

31文字の攻撃力は思っていた以上に強力で、でんぱ組.incの鹿目凛さんが前回詠んだというこの歌も頭から離れない。

「変わったね」 君に言われて 「変わったよ」
変わらなければ 続けられない

スタプラアイドルフェスに際していぎなり東北産のかれんくんが言った、「ずっと皆でいるには売れなきゃいけない」という決意の言葉が頭をよぎる。

一方で今回のお題「遠征」に対して詠んだ歌とのギャップも面白い。

空港で 目が合ったあと 離れてく
ヲタよライブで また会いましょう

どちらもファンとの距離を歌っているが、この2首の考えが彼女の中に共存していること、そして、ぺろりんのファンに対しての真摯で温かい気持ちが伝わってきて、なんて素敵なアイドルなんだ…!とときめいた。


このイベントでのアイドル達と選者の方(特に短歌研究編集長の國兼さん)の交流も見所だった。
非アイドルヲタクの國兼さんからの指摘によって露わになるアイドル界隈の言葉の特異性。
DD、特典会、認知、単推し宣言、無銭がっつき…
たしかに一歩引いて改めて見てみると、変わっていて且つなかなかにインパクトの強い言葉である。(無銭がっつきは初めて聞いたけど、なんて強烈な言葉だ…)
単推し宣言→関白宣言を連想する國兼さんは、流石短歌界の人…と感動した。
思えばかつて、非ドルヲタの職場の上司になんでか流れでDDについて説明した時、「そんな言葉ほんとに存在するの?」と随分懐疑的な反応だった。
今では「スタダDDなんだよね〜」と気軽に使っているけど、れでもいすきの頭をとってDDと初めて知った時は、そんな強烈な言葉があるのか!と私だってすごく驚いたのだ。

アイドルは、歌やブログで常々言葉を発信する職業である。
そんな人たちが31文字に思いをのせて紡ぎ出すこの会は、面白くて当たり前と思いつつも、想像以上に彼女達の気持ちが強く伝わってくるものだった。

そしてその濃縮な思いに触れたことで閃光の如く思い出されたのは尚、スタプラアイドルフェス後の特典会で、チェキエリアに足を踏み入れた私を、わた恋の両手指ハートで迎え入れてくれたりるあちゃんの笑顔だった…。罪深きお人…。

🤞🤞



えっ、次回播磨出るの!?




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