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2021年総括 -アイドルカメラマンの2021年-

新しい生活様式と言われ2年近くなり、そんな時間の進み方・スピード感への違和感はずっとある。早くもなく遅くもなく、気がついたら進み気がついたら止まっている。そんな時間の中で毎日写真を撮ってきました。

今年もたくさんのアイドルたちの撮影をさせていただきました。
メディアにたくさん出るわけではないが、それでも毎日笑顔を見せ続けてくれる彼女たちの魅力を出すお手伝いを少しでも出来たのなら非常に嬉しく思います。

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プライベートワークでもたくさんの撮影をさせてもらいました。新しい機材や撮り方のテストなどを兼ねて、自分の技術やワークフローをひとつずつ積み重ねる細かい作業をさせてもらいました。

大晦日なので「今年の1枚」を決めようと思いましたがなかなか選ぶことができず、自分的に一番満足できた作品を今年の1枚にします。

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全然1枚じゃありませんが笑
アイドルグループ MyDearDarlin' のファーストアルバム「Dearest」のジャケット写真撮影・デザインをグロスでやらせていただき、これらの写真がここ数年積み重ねてきたいろいろな技術やセオリーを詰め込んで撮れたこと、自分でも満足いった作品になったのでこれを今年の1枚にしたいと思います。

決して「可愛い」だけじゃない彼女たちが表現する魅力をどう表そうか考えたときに、ステージで見せる極端な二面性を写真で表したく、可愛いピンクのステージ衣装写真とブラウンのアンダー調での2種類。
誰にも伝わらないこだわりとして、両方ともストロボは1灯縛り。8人という大人数を撮影するのに一般的なセオリーからは外れた撮り方。ピンクの方は当然白ホリの大型スタジオですがストロボは2メートルのジャン傘1発、外に向かって露出が落ちることなくバックのグレーは均一でしかも光源の芯を作らないという撮り方。これによって立体感を増し、小さなサムネイルになったときでも失われない立体感とディテールを作りました。CDという特性上、Webで小さなサムネイルになることも多く、プロモーションのPOPなどでも小さかったり遠かったりする中でも立体感はしっかり残せる写真にできたと思います。
ブラウンの方は逆にフラットでアンダーですがイメージ優先、これも窓からの流し込みのストロボ1発で8人全員にレンブラントライティングで当てるという配置で作り込みました。
「1灯縛り」にしたのは、「ひとつの光に向かって登りつめてほしい」という願いも込めています。

自分で勝手に難易度を上げた撮影をして完全な自己満足ではありますが、アイドルグループの写真のレベルが低いと言われがちな風潮に対して戦いを挑めたかなと思っています。CDを手にしていただいた方は、中のブックレットやバックインレイの写真もこだわっていますので、ぜひあらためて見てみてください。
前々から描いていた「このグループをこのイメージで撮影してみたい」というワガママと勝手を実現させてもらった感じですが、僕自身もファンの1人としてファンの皆さんが気に入ったり満足してくれたりする作品を撮り続けていけたらなと思っています。

時代の流れもありコロナという事情もあり、CDという媒体での写真撮影は2019年以前より数は減っています。サブスク用のサムネイル撮影に取って代わっていますが、古い人間なので少し寂しく感じてもいます。
ここ2年は仕事の内容もだいぶ変わりました。変わったというより「以前より多岐にわたる」という方が正解かもしれません。
セオリーやワークフローも随分変わった部分もあります。それに対応していきながら時代を生き、作品を作り続けていく。そんな仕事をさせてもらっていることに非常に感謝をいたします。

撮影の場はとにかくご機嫌に楽しく。シビアな部分はカメラマンの中だけでいい。写真撮影が嫌いな新人アイドルの子が、僕の撮影を挟んだことで撮影が楽しくなったとか、自信持ってカメラの前に立てるようになったとか言ってもらえるそんな役割りができるのもこの仕事の醍醐味でもあります。
9年もアイドルを撮っていると、当時中学生だった子が成人をして新しいグループに入ってまた撮る機会が出てきたり、逆にステージは降りたけれどまた僕に撮って欲しいからと連絡をもらえたり、もう親戚のオジサンな気分になることもあります。

来年も日々学び、積み重ね、フィードバックをする。ひとつずつの仕事はすべて一期一会の世界。自分を撮影者に選んでもらえているという機会ひとつひとつを大切にして、全てに全力を込めていく。そんな2022年にしていきたいと思います。

重ね重ね、皆様に感謝をし精進を続けて参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。

2021年大晦日 ワタナベタイシ



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