ワタナベタイシ

写真作家/映像作家/グラフィックデザイナー/撮って作る人

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最近の記事

先日スペースで話した写真のこと

Twitterにスペースという音声サービスがある。 昨年初頭に流行ったclubhouseという音声SNSと同じような機能であるが、映像配信サービスやアプリがたくさんある中、ラジオのような音声のみの生配信機能のため、特に出役の人間でなくとも喋ることのハードルが低く僕自身も結構楽しんで聴いたり喋ったりしている。 先日たまたまフォロワーさんのスペースを覗いたところ、僕のことを以前から知ってくれている方だったようで、なんだか凄い写真家が聴いてくれているかのような紹介をされていたため

    • 1.17 あの日の自分はきっと信じない、写真を撮って生きている今

      1.17 あの阪神大震災から27年。毎年この日には何かを書き記している気がする。 あの日は前日前々日に行われた大学入試センター試験の自主採点を学校で行うために登校する日。当時住んでいた名古屋でも早朝にそれなりの揺れを感じたが、寝起きそのままの飛び出しで学校に行った。 帰り道、いつも自習室として使っていた近所の公民館に行ったときにそこのテレビに映る惨状に身体が止まった。 自分は神戸周辺の私立大学に受験願書を出していたため、帰宅して母親に試験はどうなるか問い合わせろと詰め寄った。

      • 2021年総括 -アイドルカメラマンの2021年-

        新しい生活様式と言われ2年近くなり、そんな時間の進み方・スピード感への違和感はずっとある。早くもなく遅くもなく、気がついたら進み気がついたら止まっている。そんな時間の中で毎日写真を撮ってきました。 今年もたくさんのアイドルたちの撮影をさせていただきました。 メディアにたくさん出るわけではないが、それでも毎日笑顔を見せ続けてくれる彼女たちの魅力を出すお手伝いを少しでも出来たのなら非常に嬉しく思います。 プライベートワークでもたくさんの撮影をさせてもらいました。新しい機材や撮

        • 写真を撮る人の映像

          かれこれ何年も映像を撮ってきた。 写真を撮っていた一眼レフに動画機能が付いたから撮り始めたという安直な理由。そんな人もきっと多いかと思う。 「写真屋だから撮れる映像を撮る」というポリシーのもと、映像について勉強をして自分なりに良いものを撮ってきた自負があった。誰よりも映像を観て引き出しも多いと思っていた。スチール用レンズを動画で使うことも難なく熟し、いわゆる被写界深度の浅い映像で満足をしていた。 このコロナ禍で「生配信」という仕事が増え、根っからの本職映像カメラマンとチー

        先日スペースで話した写真のこと

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        • 40代写真家の承認欲求
          8本
        • 写真の引き出しの結果論
          10本

        記事

          認識の甘さと意識の高さと不要不急とカメラマン

          東京オリンピックで沸く日本国内。当然のことながらコロナ禍は変わらず、というよりより一層感染者数が増え、自分の周りでも直近に感染をする人も出てきていよいよという状況。 今日某首長がオリンピックのメダル獲得報告を受けて、あろうことかメダルを素手で受け取り、徐にマスクをズラしメダルに噛み付き、リボンをクルクルと巻いてそのまま素手で返すという、感染対策を先導するべき首長のするべき行動から逸脱したことを全く意識もせずご機嫌に行うという、何を疑うどころか公人として謝罪などで済まされない

          認識の甘さと意識の高さと不要不急とカメラマン

          2020年夏のカメラマン

          昨年末まで予定ではオリンピックで浮かれた日本になる予定だった2020年夏。梅雨も明けて本格的に夏がきた。 自分自身も毎年夏フェスに何か所もオフィシャルカメラとして参加して、日焼けと体力と戦う夏を何年も過ごし、まさかこんな夏を迎えることがあるなんて思ってもみなかった。 主戦場のアイドル業界でも、みんな工夫をしながら対策をしてイベントも少しずつであるが再開し、人との距離は空けていても窮屈な思いをしながら動いている。 仕事の撮影も、当然コロナ対策を徹底しながらありがたいことに収録

          2020年夏のカメラマン

          肌感覚でしかない写真の話

          オリンパスのカメラ事業譲渡のニュースが流れて「スマホの普及によりカメラ事業が縮小」という文字をまた目にした。これってどうなんだろうと毎度思う。統計やソースのある話ではない肌感覚の記事は好きではないくせに、自分は肌感覚の話を平気でする。 スマホ、もとよりカメラ付き携帯が普及して長い。「いつでも手元にあるカメラ」が生活に入り込み、SNSなどによってもスマホで撮る写真や動画の重要性が高くなっていることは事実である現代。 「手元にあるカメラ」で撮るものは記録でありメモリー(思い出と

          肌感覚でしかない写真の話

          クリーントーンがうまくなれたらどんなに楽かという写真の話

          「いい写真」とはなんだろう。とどのつまりその定義は写真家ごとにあるだろうし、ポリシーや美学の話にまでなるとややこしい。オジサンが語りだすとそれはそれは鬱陶しい。 近年のミラーレス時代ではフランジバックの都合か、非常に高性能なレンズライナップが多い。そこでいう「高性能」とはピクセルピーキングでフラットな、MTF曲線がてっぺんにへばりついたもの。センサーやエンジンの処理も合わせて収差を極限までなくしている。非常にクリーントーンである。 「高性能なレンズ」は果たして「いいレンズ

          クリーントーンがうまくなれたらどんなに楽かという写真の話

          ギュンギュンのライブハウスでまた撮れることを願って、アイドルライブの撮り方の話

          以前、アイドルライブを撮影するコツの取材を受けたことがある。ただ、正直記事に出来ることがなくて内容を変えてもらった。 撮影許可の出ているアイドルライブを撮ることを趣味とする、いわゆるカメコ向けの記事であったのだが、僕の撮影に関しては「正直参考にならないと思う」と。 なぜそんなことになったかというと、ドラマティックなライブ写真を撮影する一番のコツは「ポジショニング」だからだ。カメコは撮影場所が限定されていて動けないことの方が多い。 稀に仕事で撮影に入る我々にも撮影場所が限定さ

          ギュンギュンのライブハウスでまた撮れることを願って、アイドルライブの撮り方の話

          男は「一度俺に惚れた女は、死ぬときに絶対俺のことを思い出す」と勘違いしている

          写真は非常にパーソナルなものである。特に女性を撮る写真は、語弊満点の書き方をすれば、ほぼ性癖の露呈である。 写真家としての仕事の立ち位置はいろいろあって、職業カメラマンというのはバンドで言えば作詞作曲もするマスクもいいフロントマンのような人もいれば、作曲をしないベーシストのような人もいる。 どちらか言えば自分は後者。ただアンサンブルの肝を握る屋台骨ではいたいと思う。 超絶技巧の速弾きギタリストのような人は、そのテクニックを存分に出してインパクト抜群。非常に憧れられる。

          男は「一度俺に惚れた女は、死ぬときに絶対俺のことを思い出す」と勘違いしている

          人を撮るカメラマンは人に会わなければ撮れないという外出

          東京の緊急事態宣言も解除になりそうなニュースが出て、元の暮らしに戻りそうな雰囲気もあるが、不要不急の外出自粛や感染リスクを避けることは今後ももう習慣とするべき形になっていくだろう。 人を撮ることを生業とするカメラマンは、カメラに写る人に必ず会う必要がある。会わずしては撮れない。 できればドアトゥドアで車移動をして、スタジオでソーシャルディスタンスをとって撮影すれば何ら問題のない話。 外で撮影するときも、そもそも人混みで撮影することなんてほとんどないのでこれも問題ない。 強い

          人を撮るカメラマンは人に会わなければ撮れないという外出

          コントラストの妙

          コントラストが高いとか低いとか、彩度が高いとか低いとか。 収束点をどこにするかは結局好みのフィルムになる。デジタルで撮っていても現像ソフトは暗室作業を元に作られているから自然にそうなる。 結論、ただの好みの話だ。 デジタルは所詮アナログシミュレーションの域なので、人それぞれ好き勝手やればいい。 マッチレスDC-30とマーシャルのJCM800とVOXのAC30との違いをわかってアンプシミュレーターで音を作るのと、雰囲気でギターサウンドを作るのとの違い、そんなニュアンス。 流

          コントラストの妙

          How toのドヤ顔

          いざ写真のことを書こうとすると、How to然としたことを書き始めてしまう。そんなことを書きたくて始めたnoteではないので自分の発想力のなさに嫌気が差す。 何が嫌だって、How to的なことを書いている記事を読むとその筆者のドヤ顔が思い浮かぶから。 誰かがどこかで書いていた薄っぺらい技術論を掻い摘んでみたところでどうでもいい。俺より詳しい人なんて山程いる。40代も半ば、人にドヤれることなど何もない。 写真のHow toはギターの教則本に似ている。 初心者用の何度も見たこと

          逆光は勝利というけれど

          屋外での撮影は太陽の位置取りを逆光にすることが多い。 特に光源をまともにレンズに入れてフレアやゴーストを意図的に起こさせて撮る表現。 しかし、デジタルカメラにおいては最も条件の悪い状態。 コントラストは落ちるからAFは合いにくい、強い光がレンズに入るためカラーノイズが出やすい、良いことない。 ただそれでも、写真の表現のひとつとして逆光で撮影する。 デジタルカメラでフレア・ゴーストを表現に使用するには、レンズ内反射を使う。 ちなみに「ハレーション」はフィルムで起きる現象のこと

          逆光は勝利というけれど

          ナチュラルな写真は足で撮る

          僕の撮影スタイルを知っている人はよく「ワタナベさんの撮影は歩かされる」と言う。 決していい意味ではないだろうが、確かによく歩く。 今日は「ナチュラルな写真」というジャンルのものを撮るときの話。 屋外で、決められたカットはなくフリーに点数を撮るという場合。 若い女の子を撮るということに限定して書く。 レンズ選択の話「写真を足で撮る」とは、本来レンズの話である。 ズームレンズを使わずに単焦点レンズを使って、寄ったり引いたり画角は足を使えという意味。 ただ僕の言う「足で撮る」とい

          ナチュラルな写真は足で撮る

          天気と季節を作って撮る写真

          撮影日に自分の思う天気であるとは限らない。曇天・雨天だけでなく、柔らかい光がほしいのにピーカンとかも。 仕事での撮影では季節感なんてまる無視なので、太陽がどんな状態でも欲しい光のイメージを作れる必要がある。 思ったとおりの写真を撮るためのひとつの引き出しとして「太陽を観察して知る」ことはかなり重要。 太陽が、どんな季節にどんな天気だとどんな影を作るとかを注意深く知っておかないと光は作れないので、普段の生活から光と影を観察しておくと撮影に役に立つ。 この写真はサンミュージッ

          天気と季節を作って撮る写真