寅さん観察日記#50「お帰り 寅さん」

第50作 2019年12月27日 男はつらいよ お帰り 寅さん
マドンナ:後藤久美子、池脇千鶴

冒頭は満男の夢シーンから。
泉ちゃんとの思い出が夢にたくさん出てくる。
筆者はこの一年で駆け足でまとめて見てきたけれど、リアルタイムで見てきた方たちならこの夢シーンだけで懐かしくて涙が出ちゃうんだろうなぁ。それっていいなぁなどと思いながら見る。

オープニングの歌は桑田佳祐さん。
過去作でサザンがBGMに使われていた事もあったし、山田洋次監督がお好きなのかな。
歌をタメ過ぎてるところがちょっとだけ気になったけど、雰囲気は似合ってるかも。
歌の背景は昔の江戸川のシーンを集めてある。

あの満男がシワのある顔で、でも声はほとんど変わらないまま出てくる。
この瞬間に、この作品の重みを感じた。
オジさんとか女房とか気になるワードが。
満男、誰と結婚したんだい?
(ネタバレになるのでここでは触れないでおく。)

二代目御前様が笹野さんだ!この人選に嬉しくなる。
おいちゃん席に博さんが座っている、ここはとらやだ。

柴又の何気ない風景の中で高木屋の看板が大映しになった。
確か初期の頃のロケ地だ。途中から撮影所内のセットになったようだ。
山田洋次監督の恩返しと見るか、版権絡みのちょっと泥臭いシーンなのか。

出川哲朗がチラリと出演。過去作にも少し出ていたようだ。
柴又の住人役だったはず。そば屋の配達だか何か。

泉ちゃん登場だ!国連職員とな!?
あのキレイなイメージのまま成長されていて驚くほど。
国際的な難民問題に取り組んでいる設定は、山田洋次監督の問題意識なのか、定住地を持たない寅さんに当てつけた笑いを取ろうとしたシーンなのか、ちょっと分かりづらいぞ。
(そんなシュールな笑いを描く監督とも思えないけど。。)

満男が泉ちゃんを連れてゆっくり話したいからと言って古いジャズ喫茶のような店に入る。
なんでこんな古びた店に。。と思ったら、なんとリリーさん登場だ!
この人もまったくイメージが変わらないなぁ。

変わらないといえばタコ社長の娘あけみちゃんもだ。
よく見ると裏の工場(朝日印刷)があった所はマンションになってあけみちゃんが住んでいるようだ。さしずめ管理人さんだろうか。
あけみちゃん、やり手だのう。

とらやを実家と呼ぶ満男。
とらやの居住スペースと客席の間には仕切りが設けられ、あちこちリフォームされているのが分かる。
二階の部屋は空いている。お兄ちゃんがいつ帰ってきても良いようにというさくらのセリフがあった。
そうか、寅さん、旅に出ているんだね。

それにしても満男の顔が、泉ちゃんが登場してから10歳くらい若返ったぞ。
演技を越えた何かだ。

泉ちゃんのお父さん役で橋爪功さんがご出演。確か過去の作品では寺尾聰さんが演じていらっしゃったと思う。
その時の父親の駆け落ち相手は宮崎美子さん。

そして泉ちゃんのお母さん、夏木マリさんも登場!
こちらも全く変わらないぞ。
浅丘ルリ子さんや夏木マリさん始め、女性陣はみな人間の域を越えた何かとしか。
そして泉ちゃんがその魔女っぷりをしっかり引き継いでいることにニヤリとしてしまう。

新キャラは池脇千鶴さん。あと、娘役の桜田ひより。
どちらも良い感じでフィットしてるんだよなぁ。二人のその後も観たいよ。

エンディングは渥美清さんの歌声で。
この歌声が聴けると思ってなかったので、思わず涙が出たじゃないか。

エンドロールの最後に出るSPECIAL THANKSは、
カメラマンの高羽哲夫
森川信(初代おいちゃん)
村松達雄(二代目おいちゃん)
下條正己(三代目おいちゃん)
三﨑千恵子(おばちゃん)
太宰久雄(タコ社長)
笠智衆(御前様)

寅さんの回想シーンをふんだんに取り入れつつも、あくまで主役は満男に据えることで、物語が生きていました。
過去と現在を繋ぎ、未来も感じさせてくれた。
寅さん編はこれにて完結。
筆者としては、満男編として新たなシリーズを作って欲しいなと心から思える、そんな素敵な作品でした。

主題歌:キーG。歌詞はパター1。やっぱりこれだよなぁ。
歌はオープニングが桑田佳祐さん。エンディングは渥美清さん。

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【寅さん観察日記】
男はつらいよの第一作目を見て、寅さんが頭の中の印象よりも随分と粗暴な性格で驚いた。そこでいつ頃から皆に愛される寅さんへと変化していったのかに興味が湧き、一作目から順に見ていくことにした。
あらすじ紹介が目的ではない。
順に見て思った事、雑感を書き連ねていく。順に見なければ分からない感想が紡ぎ出せればと思う。

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