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逃げても良いのかわからない。

先週までの少しだけ肌寒かった日々はどこへやら。窓を開けて過ごしても、流れ込んでくる外気は柔らかくなっていた。

思い切ってジョブチェンジをはかってみたのが、昨年末。
てきぱき動いたからというのもあったけれど、1ヶ月で未経験のIT系への転職を実現する事ができた。

今までの接客業と違うのはわかっていた。
今までやってきた事は全く役に立たなくなる事もわかっていた。
それでも、新しい事を一所懸命に学ぶのは辛いけど頑張れると思っていた。

頭でわかっていても、実際にやってみて、その差に愕然とする。

わからない事がわからなくて。
それをどうやって聞いたらいいのか、さらにわからなくて。
それを聞ける雰囲気でもない。
聞けば教えてくれるけど、その教えてくれた内容もわからなくて。
基本書を買って読んではみたけれど、今やっていることとは結びつかない。

なんて愚痴を言ってしまうと、ただのあまちゃんに聞こえるようなきがする。

合わないのかもしれない。
なんて思ってみたところで、来月で1ヶ月になるだけだから、そう決め付けるのは早いのかもしれない。
とも考えてしまうわけで。

あまいのだろうか?

今日も焦燥感と苦痛しか感じない仕事の時間が終わって、久々に、ベランダで一服した。
夕空が綺麗だったから。

小さな木のスツールに腰掛けて、ぼうっと遠くに走る電車を眺める。
西の空は藍色を朱に染め、ベランダの内側を朱く染めている。
iPhoneから流れるニック・マーフィーの曲が、もの寂しげに煙草の煙とワルツを踊りながら、夕暮れの空へ溶けていく。

迷子である。

今やってることは、やりたい事じゃない事は間違いなくて。
けど、まだやり始めて1ヶ月しか経っていないと脳内で誰かの声がこだまする。
でも、学べる事が見つからないよと、別の誰かの声が反撃していた。
そんなの続けてみないとわからないじゃない、と最初の声は叫んでいる。

逃げても良いのだろうか。

それは、ゆっくりと蝕んでいくようで。
日常は普通に生活できるし、仕事だって嫌嫌だけど参加してる。
けど、その蝕んでいってる物が、足元から少しずつ、少しずつ這い上がってきていて、土曜日以外の全ての曜日を侵食し始めている。
ちょっとずつ、首が締まるような。

そんなふうに、ぐるぐる考える最近。
コロナのせいとかじゃなくて、純粋に、精神的な問題なんだと思う。

逃げても良いのだろうかと誰にともなく放った視線は、ワルツを踊る煙と曲と共に、透き通り始めた蒼い空へ、跡形もなく溶けていった。

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