多くの人の目に触れるものじゃなくて、誰かがなんとなく気付くそよ風になるよ
ベッドの上に寝転んで、活字に目を落としていたけれど、ふと顔をあげた。
ベッド脇に脚を出して置いているIKEAの折り畳みのローテーブルの上には、さっきスーパーで買ってきた白ワインが入ったグラスがキラキラ光っている。
昼と夜の間のような色の外の景色が、葉っぱ模様のカーテンの間から覗いていた。
夜になって気温は落ち、外からの風でカーテンが揺れている。
文字を書かなくなってからひと月が過ぎていた。
書きたいことなんて実際たくさんあるし、日々生きていれば、思うことや考えることもたくさんある。
けれどそれを文字に起こすのが、どことなく面倒になっていたこのひと月。
年始に「毎日更新するんだ」と意気込んでから、8ヶ月をかけて、更新頻度は落ちていった。
宣言したからにはやらなければ、
とか、
せっかく書いているのだから、読んでもらえるようにしなければ、
とか、
自分で誓約を作ると、わたしは自分の首を絞め始めることを、そういえばと、夏の間に思い出したのだった。
たが為に書いていたのかといえば、それは自分のためと称した人のためだった。
ので、もっと自分のために書こうと思ったのよ。
ただそれだけなのだけれど、「見られている」ことを意識するとどうしても画面越しの見えない誰かを意識してしまう。
「見てほしい」という思いはあるけれど、それは同志を集めたりする類のものとかではなくて、ただ「こういう人もいるんだよ」という発信。
キラキラしたものには憧れを抱くけれど、わたしはとりあえず、秋の夕暮れ時や、春先の日差しの温もりが感じられる昼下がりに吹くそよ風でいいや。
おしまい
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