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天気が良い日はホラー映画:ジェーン・ドウの解剖

今日は天気が良く、気候も最高だった。
ただここ最近ずっと続く乾燥には、鼻腔内がやられている。
が、とにかく、暖かくなり、日差しも強くなり、季節は少しずつ春を通り越し始めている。

そんな今日、週に2回ある在宅の日だった。
始業も終業も知らせる必要のないザル在宅勤務。
天気が良いのに仕事しなきゃいけないって罪だと思ったから、ほぼ仕事はしていない(ぇ

昨年の5月あたりも立て続けに天気が良くて在宅だったから、リングを見ていた(常習犯)。

なぜか分からないが、天気が良いと怖いものを見たくなるのだ。
そういう症候群が出る人、他にもいるかしら?

Netflixでおすすめのホラーを探してもらったら、一番先頭に出てきた映画。

ジェーン・ドウの解剖

ジェーン・ドウといえば、海外のサスペンスや刑事物ではお馴染みの「身元不明女性」を呼ぶ際の仮の名である。
そんな身元不明女性の解剖ということで、試しに見てみることにした。
ちなみに「解剖」と付くだけあり、これでもかというくらい身体を切り開いている解剖シーンがメインとなるので、グロテスクなのが苦手な方は見ない方がいいと思う(確か15歳以上の指定も入っていたし)。

物語は凄惨な夫婦の殺人現場の地下から、芸術的に美しい死体が出てくるところから始まる。
外傷の一切無いジェーン・ドウの死体は、検視解剖のために近くの家族経営の解剖兼火葬場も兼ねている一軒家へと運ばれる。
その家の地下で解剖を始める父子だったが、ジェーン・ドウを解剖していくと、彼女の身体の不気味な状態を目の当たりにする。
そしてそれと同時に、不可解なことが地下室で起こり始めていく・・・

恐らく全編の2/3は解剖に費やしていたのではないかという勢いで、ジェーン・ドウや別の死体の解剖シーンを、なかなかロックな曲とともにお届けしている。
だからか、物語は地下室からほぼ出ずに進行していく。
そう考えると、低予算ホラーなのかもしれない。

このホラーの何が良かったかって、ジャパニーズホラー的な演出をしている点だった。

どうしても海外のホラーというと、阿鼻叫喚の地獄絵図、というような身体的な暴力性が強調されている物が多い。
けれどジェーン・ドウは恐怖というものを投げ込むのではなく、外堀を着実に埋めて、一歩ずつゆっくりと精神的に追い詰めてくるタイプだった。
つまり、恐怖の演出の仕方が、遠回しで間接的なのだ。

そして何より、ジェーン・ドウの不気味さである。
こんなに死体をフォーカスしてフレームに収めまくっている映画もまた少ないのでは無いのだろうか。
何より、ジェーン・ドウ役のオルウェン・ケリーの演技が凄すぎた。

1時間近く死体役で惜しげもなく全裸で横たわっているわけなのだけれど、途中から目を開けられたり、口を広げられたりする。
目は開けられてからそのまま放置で開眼したままなのだけれど、視線も瞬きも一切揺るがない。
この演技は圧巻だった。っていうか不気味すぎてそわそわした。

この微動だにしないジェーン・ドウと対比するかのように、遺体安置所内の死体はとあるタイミングから動き始める。
それでも、その全貌がフレームインしてくるわけでは無い。
廊下の向こうから聞こえる、死体の足に付けてある鈴の音が聞こえてきたり、閉めた扉の下の隙間から、その足が見えたり、曲がり角に設置してあるミラーに何やら人影が写ったり、ラジバンダリ・・・
とにかくじわじわと迫ってくるのだ。

「地下室」というホラーではお決まりの設定のせいか、暗闇とセットで恐怖感を煽られまくった物語だった。
ちなみにiPhoneで見ていたのだけれど、一番驚いて、思わず「わっ!」といって、ガタンとiPhoneを落とした上に、主人公の息子と同じセリフが口から出たシーンは、なんてことない、彼の彼女が後ろから驚かすシーンだった。
わたしの中では、このシーンがビビリのハイライトだった。
このシーンの後にドッキリシーンがきても、心なしかそこまで悲鳴はあげなかった。

最後はやっぱそうなっちゃうのね、というオチだったけれど、(恐らく)低予算ホラーにしては、すごく良かったと思う。
何よりも、不気味だったのだけれど、地下から掘り起こされたジェーン・ドウの撮り方が、なんとも芸術的で美しかった。

おしまい

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