見出し画像

名もなき人妻だったアマチュア怪談師の「怪談最恐戦2023」超個人的感想文

【元】名もなき人妻のイソノです。
このnoteの最初の記事にあたるこちらを書いてから色んな事があり、怪談最恐戦2023が終了しました。

2023年10月29日に、7月から始まった怪談最恐戦2023が決勝戦を迎え大会は終了しました。数か月に渡ってドラマを観ているようで、しかもつま先程はわたし自身もその物語に携わらせていただいたのだと思っています。めちゃくちゃ光栄です。

怪談最恐戦2023ファイナル

今大会が終了したため、思った事感じた事を一気に放出します。原則的に「ライターという立場」を意識した記事を日頃は綴っていますが、今回はもう完全に素の状態です。だからこその「超個人的感想文」と題しました。
誰かのためになるものではない文章になるかと思いますが、わたし自身のために書き記します。


2023最恐位が決まる!!!

2023怪談最恐戦優勝の深津さくらさん

まず今大会の最恐位となった深津さくらさん、おめでとうございます!!!決勝戦の前日は福岡で行われたオオタケさん主催イベント「奇絶怪絶」にて生怪談を聞かせて頂きました。

お会いしたばかりであったからか、なんだか特別思い入れが強くなってしまい、結果発表の瞬間私が泣いておりました…(何故)。「奇絶怪絶」のイベント後、サインを頂きながらこんな事を聞いてみたんです。

「ずっと怪談を語って集めて聞き続けて、怪談から離れたいとか距離を置きたいと思う事ってありますか?」
そんな問いに対しての深津さくらさんの回答は「全っっくないです!怪談に触れるたびにもっと好きになって、まさに沼なんです」と。
本当に「怪談と結婚し続ける」というコメント通りだと改めて感じます。いや、もう敵うわけない。

怪談を語る深津さくらさん

いや、勝ちたいだとかそんな事を思うわけではありません。ただ、やっぱり最恐位になるのはこの方だと思わされたんです。それと同時に私にはまだ早かったと振り返る事になりました。

怪談を語る竹内義和さん

今大会でまさかの参戦!?とどよめきが起こった、「パーフェクトブルー」の原作者でもある作家の竹内義和さん。他の挑戦者とは数段にも違う格上さを見せつけられました。足の裏がざらつくような不快感を残す物語の中を歩かされる感覚になるお話。とっても恐く、展開の持っていき方など大変勉強になります。

怪談を語る夏目大一郎さん

この、顔で語る技術に長けていらっしゃる夏目大一郎さん。もう、大好きなんですよね。さすが映画界を切り開きながら作品を創っていらっしゃると感じる、アグレッシブさと底知れぬパワー。聞いていると、いとも簡単に怪談スイッチを入れられてしまう恐ろしさを思い知らされました。観ている人を引き込む技と力を少しでも見習いたいです。

怪談を語るはおまりこさん

そして今大会で一番の注目株だったと思われるはおまりこさん。同じく今年の最恐戦で怪談語りデビューされた方ですが、もう同期なんて言えない程大活躍されています。予選会から見せつけられたさすがのデザインセンス!怪談に活きるデザイン性がこうも恐さを演出するのだと発見の数々でした。ファイナリストまで残っていることがとっても嬉しいですし、製作中のZINEもめちゃくちゃ楽しみです!早くお会いしたい!

2話目を語り終えた直後の深津さくらさん

こちらの写真、2話目を語り終えた直後の深津さくらさんです。この写真1枚では伝わらないかもしれませんが、この一瞬の気迫が凄くて何度かリピート再生した場面でした。「負けられない、最恐位を取る」といったお気持ちだったのか。とにかくこの瞬間に私は強く魅せられました。そして今回のお話3話もかなり恐くめちゃくちゃ好きだったんです。個人的には最後のお話が最高に良かった。
これはウケウリでもあるんですが「怨念が有る作品に胸を打たれる」。私はこの言葉に大きく共感しています。特に実話怪談だと怨念というのは分かりやすく表れるのではないでしょうか。そういった事を深津さくらさんの最後のお話から感じ、私は胸を打たれたのでした。アーカイブ視聴できる間毎晩この怪談を聞こうと思いました。


負けた後どうしていたか

大会なので、勝敗が必ずつきます。私は予選会で敗退しました。鬼頭真也さんといわおカイキスキーさんのお二方ともに負けています。いっちょ前にめちゃくちゃ悔しかったです。いや、今でも悔しいです。それは負けた事というより「もっとやれる事あったよね?」という自分自身への悔しさ。

いわおさんは予選会が始まる前から怪談界に渇を入れられていました。私はその言動にかなり助けられたと思っています。アニラジでもお話されていましたが「勝敗がつく大会だからこそ違った真剣さがある」と。これをキッカケに仕事だって増えることもあるため、生活や人生を懸けてきている人もたくさんいらっしゃるわけです。冒頭に挙げた記事に書いていますが、わたしは少し違った角度から今回の参戦を決めたのでそういった決意や覚悟は正直持ち合わせていませんでした。だからいわおさんの言葉をキッカケにより真剣さを保てたのは本当に救いです。この最恐戦から怪談語りを始めてただのズブの素人でしたが多少は形に出来たと思っています。

だけどそれでも全然足りなかったんです。あれからTwitterでの配信やオープンマイク、イベント等で少しだけ語る機会を頂けていました。語っていくことで分かる事や作られていくものってあるよなと気付けます。そうすると、予選会での怪談は大会に挑むのにはまだまだ早すぎたと振り返るのです。
だとしても「出て良かった」という事に変わりはありません。改めて今スタート地点に立てています。

本選が始まってから、公式Tシャツというグッズが販売されています。

これ驚いたんですが、予選会に進んだ108名全員の名前が載っているんですよね。パッと見た時は自分の名前があって嬉しかった。
けど1分後にはすぐ悔しい気持ちが勝っていました笑。だって本選出場者は上に大きく記載されてるんですから!その下にオマケとして記されていてもそれはもう悔しさを焚きつけられているとしか思えません!すごいぞ運営さん!来年は大きな名前で載ってみせるぞと燃えます!

そう、今大会の最後にお話しされたコミッショナーの溝尻さんより「最恐戦2024を開催します」と宣言されたんです。熱い、熱すぎる。もう既に来年に向けての戦いが始まったというわけです。もちろん今の時点では出る気満々です。ひとまず先日配信用のマイクを購入しました。もう私は走り出していますよ。

賞レースに出るメリット

大会への思いを語る溝尻さん

溝尻さんが今年の最恐戦についての思いも語っていました。これ聞けて良かったなと思うんです。怪談ファンの方々の中には「何で3分?短かすぎん?」「そもそも今年の大会ってどうなん?」みたいな大きな変化に戸惑いや不安を感じた方もいたかと思います。実際SNSでそういった声も見かけました。
ただ運営の方々はあくまでも「怪談という文化をこの世の中に大きく広めてファンを増やしたい」という現代社会に合わせた動きをされたんですね。その動き自体に賛同できない方もいるかもしれない。だけどこれは怪談プレイヤーと怪談ファン両方にとってのメリットではないでしょうか。
新しいファンを獲得して怪談好きの輪を広げることが文化の繁栄になると願って今大会を先導されてきたんだと思います。

じゃあプレイヤーはどういった心持ちで臨めばいいのか、というのもひとつの話題だったと感じます。私が出て思ったのは「賞レースは誰でも出られる」というのが大きなメリット。これはもう誰でも分かりきったことですね。しかも最恐戦は参加費無料。本当に誰だって出られるんです。これは広く色んな方にチャンスが与えられています。私なんて秘境のような田舎に住んでいて普段は主婦業もしてるためなかなか活発には動けません。それでも大会を通して知ってくれた方がいて、私の怪談を聞きに来てくれる人を獲得できる。夢がある大会だと思います。

「わざわざ勝敗をつける必要はない」という考えもよく分かります。一番になること、誰かに勝つことは重要ではありません。でも、揃い踏みしてみることで見えること得られることはきっとあります。「恐さとは何か」に向き合い他の方と自分の尺度を客観的に計ることができる貴重な機会なんですよね。自分が描いていた「怪談界分布図において自身の位置が思ったより違った」みたいな感覚があったりするんじゃないかな。

私のこれらの文章でよく分からんって人はとりあえずファイナル見てくれ。審査員や運営の方々の話まで聞いてくれ。きっとそこから感じ取れる心があります。

これからどうする?

冒頭で深津さくらさんに質問したという話。この質問をしたのは、私自身がこのまま突っ走って行く事に不安を感じたからでした。自分がどうしていきたいのか、何をしたいのか、拭えない劣等感や焦りをどう処理するか…。そういった様々な気持ちを対処していけるのかという不安です。
でもこの最恐戦ファイナルを見て、やっぱり怪談が好きだという初心を思い出しました。怪談も好きだし物語が好きだし語ることが好きだし本も好きだし音楽も好きだし、でもやっぱりライブも好きだし…。
怪談をやっている中での実績ってライブ至上イベント至上だと思っているところがあったんですよね。それは怪談ライブで語ることがこの上なく楽しいからです。でも怪談の楽しさってそれだけじゃないし、なんなら何をライブに捉えるのかと考えると私の視野は狭かったんじゃないかなと思ったりもしました。
自分のために好きなことを好きにやる。これをモットーに活動を始めた気持ちを忘れたくないですね。歩みは止めません。無茶はしないし生き急がない。楽しみながら怪談を集めます。そして自分の出せる個性を見極めながら表現していきたいです。

結局、「最恐」って何だったのか

伊山亮吉さんよりトロフィーを受け取る深津さくらさん

最恐戦に出てみて「恐いとは何か」という課題がありました。これは結構他の怪談師さんも各々考えてらっしゃったように思います。
つい昨日伊勢さんとも話してたんですが、好きな怪談を聞いた時に開口一番出る感想が「面白い」なんです。詳細に言えば「奇妙で怖くてなんだか変で面白い!」って意味合いになります。
それで、私がここ数か月怪談収集や語りをしていて思ったのが「その物語に共感できるか」が恐さに繋がるのでは。というひとつの自論。私は深津さくらさんの最恐戦ファイナルで一番好きだった3話目の話に怨念を強く感じました。でもそれは、私自身の人生経験に共感できるポイントがあったからではないかという事。でも人間は自分自身の体験がなくても、物語の情景や背景、人の心も想像である程度補えると思います。でも、その補う要素を語りの中に散りばめられなければ共感からの恐さを引っ張り上げられないのでは…。みたいに考えたりしました。いや、もちろん恐さってそれだけじゃないと思いますが。
勝ち進んだ方々はごくごく自然に且つ繊細にそういった要素を話しの中に散りばめていたんじゃないかなと思います。だから「恐い」って感情はひとつの塊的感情ではなくめちゃくちゃ複雑に絡み合った絹糸の塊みたいな気がする、というのが私の「恐さとは何か」の一時回答です。

意味わかんないでしょ?これでめちゃくちゃ分かったとか言われたらそれはそれで恐いです。
でもこういった事を考えるのも楽しくて面白い。それが怪談だとも思います。まだ未視聴の方はぜひともアーカイブから体感して脳みそこんがらがせていきましょう!そして2024年怪談最恐戦でまたお会いしましょう!次は絶対!勝ち進みたい!!!!!!!!!!!!!!!


この記事が参加している募集

#イベントレポ

26,089件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?