見出し画像

入院森田療法してきた。④臥褥編

こんにちは。入院森田療法の話の④です。
今回からいよいよ入院生活スタートです。臥褥します。
前回:入院森田療法してきた。③入院したよ編

初めに:
これは某J医大付属病院の森田療法病棟に入院した私の個人の体験です。
それ以上の意味を持ちません。記憶違いもあるでしょう。他の病院、他の患者さんについては知りません。治療についてはまずは医師に相談してください。

さて入院森田療法名物の臥褥です。読めない&書けないですね。「がじょく」と読みます。一発変換されないのでさっき辞書登録しました。森田療法以外ではほぼ聞かないワードです。

画像1

画像2

はい。布団に横になることです。ただそれだけです。本当にそれだけです。

森田療法では、この臥褥期は基本的に7日間です。休養して疲れを取り、次のステップの「軽作業期」に向けて活力を高める期間とされています。
逆に言うとこの臥褥期以降は休ませてもらえません。入院してるのに休めないとはこれいかに。その辺はおいおい書きます。

食事は看護師さんが決まった時間に部屋まで持ってきてくれます。食べ終わったらナースコールすると取りに来てくれます。薬も部屋まで持ってきてくれます。喉が渇いたらナースコールで飲み物を持ってきてくれます。ちなみに飲み物の選択肢は①お水②白湯③お茶(冷)④お茶(温)でした。
徹底して部屋から出ないシステムです。

できる&やっていいことはこんな感じです。
〇トイレ
〇洗顔
〇歯磨き
〇基礎的なスキンケア(パックはNG)
〇着替え(2~3日に1回)

できない&やってはいけないことはこんな感じです。
×風呂
×字を書くこと(筆記用具&ノートは没収)
×読書(本は没収)
×音楽を聴くこと(プレイヤーは没収)
×テレビ(ない)
×会話(誰もいない)
×歌う
×筋トレ
×ネットサーフィン(論外)
×ゲーム(論外)

7日間、風呂にも入れず、スマホもなく、ただひたすら横になるだけです。清拭もありません。看護師さんに「オイニーやばくないっすか?」と訊いたら「冬は夏よりマシです」と言っていたので、オイニーはやばいらしいです。大丈夫です。臥褥期中は看護師さんと主治医にしか会いません。相手はその道のプロです。オイニーのことは忘れましょう。

ぶっちゃけ禁固7日です。禁固刑の人は字を書いたり本を読んだりはできるらしいので、禁固刑より禁固刑です。精神と時の部屋です。時計はあります。

臥褥期に入るにあたっては、「わき起こってくる不安は何とかしようとせず、あるがままに受け入れてください」と言われます。

では、いよいよレッツ臥褥
森田療法では治療の一環で日記を書くのですが、臥褥中はその日記も書きません。日記については次でちゃんと書きます。
以降は、臥褥期後に思い出しつつ書いた日記とメモをもとに書いていきます。

ちなみに、この時点でも私の森田療法に対する認識は、「何かよくわかんないけど言われた通りにすれば良くなるらしい」です。とてもふわふわです。

臥褥1日目
前回の③入院したよ編で書いた通り、入院の手続きやら荷物整理やら心理テスト耐久戦やらがあり、15時くらいにパジャマに着替えて臥褥に入りました。
早速お布団に入って横になります。
「あるがまま」と言われたので、素直に「あるがまま」と思います。
あるがまま。
あるがまま。
あるがまま…。
あるがまま……?
とりあえず寝ました。もともと睡眠障害なのと前日徹夜したのとで爆睡しました。
私は小説を書くのが趣味なので、起きている間はずっと小説のプロットを脳内でねりねりしていました。
夕食は17時半ころに看護師さんが持ってきてくれました。某J医大付属病院のご飯は結構美味しいです。
トイレや歯磨きで部屋を出ると他の患者さんとすれ違いますが、それだけです。この時点では私以外にどんな患者さんが何人いるのか知りません。
消灯時間の23時頃に看護師さんが薬を持ってきてくれて、飲んで寝ました。
暇でした。

臥褥2日目
中途覚醒野郎なので真夜中に目が覚めました。夜中にナースコールしても看護師さんは飲み物を持ってきてくれました。看護師さんって大変。
その後は1時間くらい寝ては起き1時間くらい寝ては起きで、15時ごろまでうとうとしていました。昼食は11時半ころ、夕食は17時半ころです。
なんか森田療法の患者さんは掃除をするそうです。時々掃除してるなって音が聞こえます。ますます寺っぽいですね。
夕方には1時間くらいピンポンピンポン聞こえました。噂の卓球の時間のようです。時々犬の鳴き声も聞こえます。某J医大付属病院の森田療法病棟では犬を飼っています。鳴き声の持ち主にはこの時点ではまだちゃんと会ってません。
日中に主治医が来て診察がありました。臥褥中は1日1回診察がありますが、簡単です。
主治医「どう?」
私「はあ。暇です」
こんくらい簡単です。そういうものらしいです。
起きている間は前日に引き続き脳内プロットねりねりしたり、退院したら部屋の模様替えと断捨離してえなと思って模様替えのシミュレーションしたり、何を捨てようか考えたりしていました。
部屋の窓の障子の枠が4×5だったので、ここに駒置いて将棋できないかなと思ってエア駒で将棋してました。将棋は駒の動かし方を知ってるだけのレベルです。それぐらい暇でした。4×5で将棋は無理でした。
昨日と今日でもう1万1千円か…とかも考えてました。
やることないので洗顔と歯磨きとスキンケアはめちゃめちゃ丁寧にやってましたね。あと着替えは「2~3日に1回」と言われていてこの日が2日目だったのでヒュバッと着替えました。
そんでまた23時頃に薬が届いたので飲んで寝ました。
超暇でした。

臥褥3日目
あいかわらず真夜中に目が覚めます。その後1~2時間寝ては起き寝ては起きです。でも1日目と2日目でだいぶ寝不足は解消したようで、お昼くらいにはしゃっきり目が覚めました。
さて暇です。私がこの日にした暇つぶしはこんな感じです。
・プロットねりねり
・模様替えと断捨離のシミュレーション
・脳内コーディング(プログラミンがちょっとできるので。無理でした。)
・一人しりとり(1時間は潰せました。)
・エア執筆
エア執筆は、手元に空想のキーボードを置いて小説を執筆しました。布団に寝たままでは体勢がつらくて続きませんでした。机に向かったらもうちょっといけそうな気がしましたが、布団に寝てるように言われているのであきらめました。
こんくらい暇でした。
オイニーが気になってきたので布団の横で体育座りしていたら、飲み物を持ってきてくれた看護師さんに横になってろ(意訳)と注意されました。臥褥厳しいです。
起きてた時間が長かったせいか、この日が辛さマックスだったように思います。一日がすっごい長かった。
消灯時間に薬持ってきてもらって寝ました。
めちゃくちゃ暇でした。

臥褥4日目
中間地点です。まだ半分あります。中途覚醒(ryで寝たり起きたりしつつ昼頃に目が覚めました。
臥褥7日間は入院前からわかっていたのでプロット練る用の小説ネタとか脳内に持っていたのですが、いい加減練り尽くしました。
暇です。暇です。
しかし人間は環境に順応する生き物のようです。
前日までは暇で暇で暇で一生懸命暇つぶししていましたが、この日から「ぼーっとする」ができるようになってきました。何を言っているかわからないかもしれませんが、私もどう書いたものかよくわかりません。
私は普段ぼーっとしない人だったみたいです。ちょっと時間が空けばスマホでTwitterやらまとめ記事やらWikipediaやら何かしら読んでいました。三毛別羆事件は名作です。もちろん寝る前もベッドにスマホを持ち込んで寝落ちするまで何か読んでました。ネットワークに繋がっていれば暇つぶしは無限です。
ところが、この日は「ぼーっと」ができるようになっていました。布団に寝たままどこでもないどこかを見つめます。何も考えません。
これ、前日まではできませんでした。入院前にマインドフルネス瞑想を勧められて試したことがあるのですが、よくかんなくてやめました。あのマインドフルネスってこれか!?って感じでした。なんとなく一歩前進した感がありました。退化なのか進化なのか微妙ですが。臥褥ハイって感じ?

某J医大付属病院の入院森田療法はメインとサブで主治医が二人付くのですが、この日の診察には主治医が二人揃ってやってきました。いつもはどっちかです。

「そんなに暇だったら、もう臥褥切り上げる?」

そう言われました。私が診察で暇や暇やと言っていたからですね。
臥褥期は心身を休めて活力を高めるための期間なので、活力が高まったら切り上げもアリみたいです。後で訊いたら、うつの症状が強い人は特に苦痛なく7日間たっぷり休むそうです。私のこの時の症状は睡眠障害がメインで、やる気的には普通でした。
私は少し悩んで、臥褥を続けることにしました。せっかくの機会だから最後までやり遂げようと思ったこと、「ぼーっとする」ができるようになっていたこと、臥褥7日間は生涯のネタになるだろうと思ったこと、この辺が理由です。特に太字部分っすね。
主治医はおkと言って帰っていきました。なおここで断ったことは後でちょっと後悔します。

とはいえ暇です。面壁九年と言って、禅宗の祖の達磨大師は9年間壁に向かって座禅をしたそうですが、暇すぎんだろと思いました。達磨すごい。ちなみに森田療法はよく禅宗っぽいと言われますが禅宗とは関係ないそうです。
日中はなんとなくぼーっとできていましたが、夕食後~消灯時間の5時間は部屋が暗いせいか、逆に頭は冴え冴えでした。もうめちゃめちゃ暇です。
23時薬以下略就寝。
すっげえ暇でした。

臥褥5日目
特に変わりありません。夜中に目が覚(ryで昼ごろ起きました。
というか入院してから1回に眠れる時間がどんどん短くなってます。薬を飲んで寝ても2~3時間で目が覚めます。その後は1時間おきに目が覚めます。ああ6時間寝たい。この日のメモに「我欲安眠!!!」って書いてありました。
こんなんで大丈夫?これで本当に良くなるの?私ちゃんと復職できる?もう今日時点で差額ベッド代合計27,500円なんですけど?…とちょっとネガティブな気持ちになりました。寝れてないからね。
とにもかくにも暇です。この日の脳内は部屋の模様替え・ザ・ファイナルでした。脳内で部屋の模様替えが完了しました。
暇なんで時計を見ます。退院したら何しようかなあと考えます。また時計を見ます。10分しか経っていません。明後日には風呂に入れる…と思います。また時計を見ます。5分しか経っていません。一日そんな感じでした。
とはいえやっぱり「ぼーっとする」はなんとなくできるようになっていて、辛さとしては3日目がマックスでした。
23時薬寝。
とっても暇でした。

臥褥6日目
あいかわらずです。昼頃まで寝て午後からはひまひまタイムです。
翌日の夕方には入浴できるので、ゴールは見えてきました。

私にとって、「暇」は「モグラ叩きのモグラ」のようなものでした。打つべしです。スマホというハンマーがあります。私は字を書くのが好きなので、紙とペンさえあればハンマーです。他にもハンマーはいっぱいいっぱいあります。
ところが、臥褥に入って、ハンマーが全部なくなってしまいました。困りました。
1~3日目くらいまでは素手でモグラをぶん殴ってました。しかし素手には限界があります。殴れなくなって、ぽこぽこ出てくるモグラを前に途方に暮れていました。これが3日目くらいです。
それで、ようやく4日目あたりから、モグラのぽこぽこを黙って眺めていられるようになってきました。まあ飽きるので時々素手で殴ります。殴りますが、全部殴ってた時よりはちょっと楽です。

…という境地に立ったので、私は「もういいんでない?」と思いました。臥褥はもう充分やったんじゃない?さっさと次行ってさっさと復職しよ?1日5,500円掛かってるんだぞ?庶民ですみません。
というわけで診察に来た主治医に「今日で臥褥やめて次に行きたいです」と言いました。
結果的に次には行けませんでした。「残りあと1日だし」「決められたことを守るのも大事なこと」「明日日曜日だから次に行っても見学するものがない」この辺が理由です。臥褥期の次は「軽作業期」でして、軽作業期については次でちゃんと書きますが、最初は先輩患者さんの作業の見学です。この6日目が土曜日だったので、翌日は日曜日です。日曜日は半分休みのようなもの(半分しか休みじゃない)ので、見学する作業がないんですね。
私もそれはそやなと思ったので頷きました。4日目に切り上げなかったのをちょっと後悔しましたが後の祭りです。なので臥褥はもう1日続きます。
とはいえ暇オブ暇です。
暇です。
暇です。
暇です。
23時薬寝。
すっごく暇でした。

臥褥7日目
おめでとうございます!最終日です!
ゴールテープはもうすぐそこです。夕方には風呂に入れます。
最終日ですが特に変化はありません。昼起午後暇。まあ「今日で最後か…」と思うとちょっと心穏やかです。
この日の私の暇つぶしネタを紹介します。「あいうえおしりとり」です。
「あ〇〇い」→「い〇〇う」→「う〇〇え」→「え〇〇お」→「お〇〇か」って感じで、あで始まっていで終わる言葉、いで始まってうで終わる言葉…と、あいうえおで繋げて一人でしりとりをします。暇すぎて考案しました。ちなみに2文字はアウトにしました。
あかがい(赤貝)→いんどぞう(インド象)→うみのいえ(海の家)→えがお(笑顔)→おかか(おかか)…といい感じに続きましたが、な行で死にました。なで始まってにで終わる言葉なんてあります?あったらコメントで教えてください。いまだに思いつきません。
これは結構楽しかったし時間潰せましたね。
そんなこんなで暇してようやく16時半です。臥褥最終日は風呂に入れます。1週間ぶりの!風呂です!
某J医大付属病院森田療法病棟には患者用のお風呂が2つあります。2つのお風呂に順番にみんなで入ります。森田療法は集団生活なので、お風呂は一人30分以内と決められています。これは臥褥最終日の人も例外ではありません。1週間ぶりの風呂が30分です。短いですね。マッハで入浴しました。めちゃめちゃ気持ちよかったです。超さっぱりしました。風呂上がりの体で1週間寝た布団に戻るのがちょっと嫌でしたが仕方ないので戻りました。
もう今日寝たら臥褥終わりです。ほぼ終わったようなものです。紙とペンくらい返してもらえねえかな…とちょっと思いましたが思っただけです。今日はまだ臥褥なので駄目です。あいかわらず夕食後~消灯の5時間がクソ長いです。
23時薬飲んでスヤァ。
お疲れさまでした!暇でした!

これにて入院森田療法の第1ステップ「臥褥期」は終わりです。翌日から次のステップの「軽作業期」に入ります。次回に続きます。

次回:入院森田療法してきた。⑤ 軽作業編その1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?